行政機関による不登校児童への支援制度の充実
- 2024/2/21
- 育児
2023年10月に文部科学省が公表した「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、小中学校の不登校児童生徒数がおよそ299,000人(過去最多)、そのうち学校内外で相談を受けていない児童生徒数がおよそ114,000人(過去最多)でした。
小学校で約60人に1人、中学校で約17人に1人という計算になり、今や不登校は決して他人事ではありません。
そこで今回は、実際に不登校児を抱える親の立場から行政機関の不登校支援制度に絡めて掘り下げてみます。
文部科学省の不登校児童支援対策「COCOLOプラン」とは?
2023年3月31日、近年の不登校増加を受けて、文部科学省は「COCOLOプラン」をとりまとめました。
COCOLOプランとは「不登校により学びにアクセスできない子供たちをゼロにする」を目指すプランであり、主な取り組みは大きく分けて3つあります。
① 学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整える
仮に小中高において不登校になった場合、児童が学びたい時に学べる環境を整えるという取り組みになります。
具体的には、不登校特例校の設置、校内教育支援センターの設置、教育支援センターの機能強化などが挙げられます。
② 1人1台端末を活用し、早期に心や体調の変化を発見する
教師やスクールカウンセラーとの連携を強化し、児童だけでなく不登校の保護者もあわせて支援したりなど小さなSOSを見逃さない支援を強化していきます。
③ 学校を「みんなが安心して学べる」場所にする
学校の風土と児童の欠席日数には関連性が示唆されるとのデータがあることから、学校の風土を「見える化」していきます。
COCOLOプランの実効性を高めるための取り組み
ただし、プランを掲げても実際に効果が出ないと机上の空論で終わってしまいます。
そこで、文部科学省は、実効性を高める取り組みについて以下の4つを掲げています。
① 不登校の児童生徒が学びや必要な支援につながっているかを把握
児童が不登校かつ学校内外の専門機関などで相談や指導を受けていない場合の学びの状況等を把握し、必要な支援につなげます。
また、不登校児とその親が子どもの将来に見通しを持てるよう、実態調査を実施します。
② エビデンスに基づいた、効果的な支援方法を確立
児童1人に対して1台配られる端末データを用いることで早期発見や対応方法の事例を蓄積し、専門的知見とエビデンスに基づいた、支援の確立をします。
③ 学校における働き方改革を推進
学校における働き方改革の推進により、教師が子どもに接する時間を確保します。
④ 文部科学大臣を本部長とする推進本部の設置
文部科学大臣を本部長とするCOCOLOプランのコンセプトである「誰一人取り残されない学びの保障」に向けた不登校対策推進本部を文部科学省に設置し、かつ、こども家庭庁の参画も得ながら、改善を図っていきます。
COCOLOプランは「行政」と「学校」と「民間」が1つのチームとなって連携し、役割分担をしながら不登校児が学問など学ぶことができない環境をゼロにしていく形となります。
不登校児がいる親の立場としては、仕事をしていても「このまま引きこもりになるのではないか?」「子どもの将来はどうすべきか?」などが頭の片隅に常にあるような感覚があります。
人といても孤独感に苛まれる部分がありますので、行政が率先して改善に動いてくれることは喜ばしい限りです。
地方自治体における不登校対策
一方で、不登校の原因は多種多様で一辺倒ではないため、COCOLOプランはすべての不登校児に当てはまる施策ではないとも感じます。
実際に私の娘の場合は、そもそも学校および学校以外の施設には基本的に行けない、端末があっても興味がないといった状況であるため、子どもに合うサービスを自身で探す必要もあると考えています。
そこで実際に住んでいる地方自治体レベルでどのようなサービスがあるか調べてみました。
私が住む横浜市では小中学生の不登校児に対して、不登校児童生徒支援事業を推進しています。
中でも「ハートフルフレンド家庭訪問」と称するサービスは、不登校で家庭にひきこもりがちな児童に対し、専門家などの指導のもと大学生や大学院生等を家庭に派遣するサービスです。
基本的に学習支援は行わず、児童に寄り添うことが目的となっています。
現在は、月に1回、担任が家庭訪問に来て子どもと話してくれますが、上記のようなサービスを併用することで家庭訪問の回数を増やすことが可能となります。
家の外には行けないが家の中ではお話できるという場合は活用してみてはいかがでしょうか。
※
もしも実際に自身の子供が不登校になったら、まずは学校との連携が重要になってくるのですが、今の学校は以前とくらべて無理やり学校に登校させようとはしない傾向があります。
そのため、保護者から「このような場合はどうしたら?」「こういうことはできるのか?」などの相談を自主的に学校側に話していかないとなかなか前に進まない現状も感じています。
そのような時に、現在住んでいる地域で行っている地方自治体の不登校支援制度を有効活用して、自身の子供に合った最良の方法を模索してみてはいかがでしょうか。
<参考>
・ 文部科学省「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
・ 文部科学省「不登校の児童生徒等への支援の充実について(通知)」
・ 文部科学省「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)について」
・ 横浜市「不登校児童生徒支援事業」