家と職場の往復だけになっていませんか?|メンタルを支える「第3の居場所(サードプレイス)」の取り入れ方

新年度が始まり、環境や人間関係の変化に少しずつ慣れてきた一方で、「なんとなく疲れが抜けない」「気持ちが張りつめたまま」という方も多いのではないでしょうか。
日々の生活が「家と職場の往復だけ」になっていると、知らないうちにストレスが蓄積しやすくなります。
近年、こうした状態をやわらげる方法として注目されているのが、「第3の居場所(サードプレイス)」です。
今回は「第3の居場所(サードプレイス)」がなぜ今注目されているのか、そして日常にどのように取り入れていけるのかについてお話します。

なぜ「第3の居場所」がメンタルに良いのか

まず「第3の居場所(サードプレイス)」とは、家庭や職場とは異なる、自分が心地よく過ごせる場所のことを指します。
特別な場所である必要はなく、行きつけの飲食店やカフェ、図書館、公園など、日常の中にある身近な空間でも十分です。
第3の居場所がメンタルヘルスに良い影響を与える理由のひとつは、「役割からの解放」にあります。
職場では仕事の責任や人間関係、家庭では家族としての役割があり、私たちは無意識のうちに気を張っています。
しかし第3の居場所では、そうした役割から一時的に離れ、「ただの自分」として過ごすことができます。
また、適度な距離感の人間関係も大きな特徴です。
職場ほど密接でもなく、完全に孤立しているわけでもない「ゆるやかなつながり」は、安心感をもたらします。
たとえば、顔なじみの店員さんとの軽い会話や、同じ空間にいる人の気配だけでも、「一人ではない」という感覚につながります。
さらに、環境を変えること自体にもストレス軽減効果があります。
いつもと違う場所に身を置くことで、思考や気分がリセットされやすくなり、結果として疲労感の回復につながります。

どんな場所が「第3の居場所」になるのか

第3の居場所は、人それぞれで構いません。重要なのは「自分が落ち着けるかどうか」です。
たとえば、以下のような場所が挙げられます。

・ 行きつけの定食屋やカフェ
・ 静かに過ごせる図書館
・ 近所の公園や散歩コース
・ フィットネスジムやヨガスタジオ

特に「行きつけのお店」は、気軽に取り入れやすい選択肢です。
毎回長居する必要はなく、短時間でも「ここに来ると少し気が楽になる」と感じられれば十分です。
また、誰かと積極的に会話をしなくても問題ありません。
同じ場所に繰り返し足を運ぶことで、自然と安心できる空間になっていきます。

一方で、「無理に新しいことを始める」必要はありません。
自分に合わない場所に行くとかえって疲れてしまうこともあるため、あくまで「心地よさ」を基準に選ぶことが大切です。

今日からできる取り入れ方

第3の居場所は、特別な準備をしなくても始めることができます。
まずは週に1回、仕事帰りや休日に「いつもと違う場所に立ち寄る」ことから始めてみましょう。
続けるためのポイントは、ハードルを低く設定することです。
「毎週必ず行く」と決めるのではなく、「余裕があるときに行く」程度で十分です。
また、滞在時間も短くて構いません。
10分でも20分でも、その場でリラックスできれば意味があります。
もし「どこに行けばいいかわからない」という場合は、通勤経路の途中にあるお店や施設を一つ選び、「一度入ってみる」から始めるのもよいでしょう。
最初は落ち着かなくても、数回訪れるうちに徐々に慣れていくことが多いものです。

ストレス対策というと、運動や睡眠改善などを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、「どこで過ごすか」という視点も、心の健康に大きく関わっています。
家と職場以外に、自分が安心して過ごせる場所を持つことは、日々のストレスをやわらげるシンプルで効果的な方法のひとつです。

まずは気負わず、「少し居心地のよさそうな場所」を一つ見つけることから始めてみてはいかがでしょうか。
その小さな行動が、心の余裕を取り戻すきっかけになるかもしれません。

<参考>
松本雄一「サードプレイス概念の先行研究の検討 : 実践共同体との関連についての考察」(『商学論究』2022年70巻1/2号75~106頁)

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武内 しおり株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

大学卒業後より総合病院の総合集中治療室にて看護師として勤務するなかで、「産業保健」に興味を持つようになりました。皆様の「気になる」を産業保健の視点から情報発信できるよう努めてまいります。
【保有資格】保健師、看護師、第一種衛生管理者
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