花粉症で仕事に支障を感じる人は約8割|職場でできるプレゼンティーズム対策と環境整備のポイント

春先になると、くしゃみや鼻水、目のかゆみなど、花粉症の症状に悩まされる従業員が増えてきます。
花粉症は個人の体質や悩みとして片づけられがちですが、実は企業活動にも影響を及ぼす重要な健康課題の一つです。
スギ花粉症の有病率は38.8%(※1)とされており、働く人の約3人に1人以上が影響を受けているとされています。
つまり、多くの職場で花粉症の症状を抱えながら働いている従業員がいるということになります。
特に花粉症で注目したいのが、「プレゼンティーズム」です。
これは欠勤には至らないものの、体調不良によって仕事の効率が低下している状態を指します。
表面化しにくいため見過ごされがちですが、企業にとっては生産性低下の一因となっている可能性があります。

見過ごせない花粉症の業務への影響

花粉症のある社会人を対象としたパナソニックの調査「花粉症による労働力低下の経済損失額2025」によると、症状が仕事のコンディションに「影響がある」と回答した人は79.0%にのぼりました。
実に約8割の方が、花粉症によって仕事に支障を感じているという結果です。(※2)
花粉症の症状は鼻水や目のかゆみといった不快感だけでなく、集中力や注意力の低下にもつながるといわれています。
「なんとなく仕事がはかどらない」「ミスが増えた気がする」と感じる背景にはこうした症状の影響があるのかもしれません。
出勤していても本来の力を発揮できない状態は従業員本人にとってもつらいものですし企業にとっても見えにくい損失となります。
花粉症対策は従業員の健康を守るだけでなく、職場全体のパフォーマンス維持のためにも重要といえるでしょう。

ちょっとした工夫で職場の花粉症対策は進められる

花粉症対策というと医療機関での治療を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、職場環境の工夫によって症状の影響を軽減することも期待できます。
ポイントは「花粉を持ち込まないこと」と「室内に花粉をためないこと」です。
たとえば、オフィスに入る前に上着についた花粉を払うよう呼びかけたり、入口付近にコートハンガーを設置したりすることで花粉の持ち込み防止に役立ちます。
また、空気清浄機や加湿器の活用も有効な方法の一つです。
さらに、花粉シーズン前に社内掲示や衛生委員会で注意喚起を行うことも大切です。
早めに対策を意識してもらうことで、症状の悪化を防ぐことが期待できます。
空気清浄機のフィルター点検や設置場所の見直しなど既存設備を適切に管理することも欠かせません。
日頃の環境管理は従業員の働きやすさの向上にも役立ちます。

こうした取り組みは特別な準備を必要とせず、すぐに始められるものが多くあります。
衛生管理者による日常的な働きかけが従業員の健康を支える大切な取り組みとなります。

花粉症対策は人材の定着にもつながる

花粉症対策の効果は生産性の低下を防ぐだけではありません。
人材の定着にも関係することが報告されています。
健康経営を実践している企業の分析では花粉症への支援を行っている企業ほど離職率が低い傾向がみられました。
たとえば、花粉の多い時期に在宅勤務などの柔軟な働き方を導入している企業では離職率が0.80%低いという結果が示されています。
また、東急エージェンシープロミックス「花粉症に係る影響等の調査」からは薬の購入補助、花粉症に関する教育、空気清浄機の設置といった取り組みにおいても、離職率の低下がみられています。
企業がこうした対策を行うことは従業員のつらさを軽減するだけでなく、「健康を大切にしてくれている」という安心感にもつながります。
その結果、働きやすさの向上や職場への信頼感が高まり、人材の定着にもつながっていくと考えられます。

花粉症は多くの従業員に関わる身近な健康課題です。
だからこそ、職場での健康管理の一環として対策に取り組むことが大切です。
花粉症の季節を少しでも快適に過ごせるよう、できることから職場での取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。

<参考>
※1 松原篤ほか「鼻アレルギーの全国疫学調査2019(1998年, 2008年との比較):速報―耳鼻咽喉科医およびその家族を対象として」(『日本耳鼻咽喉科学会会報』2020年123(6)、485~490頁)
※2 パナソニック株式会社「花粉症による労働力低下の経済損失額2025」
※3 株式会社東急エージェンシープロミックス「令和5年度産業経済研究委託事業 花粉症に係る影響等の調査(PDF)」

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産業保健新聞編集部株式会社ドクタートラスト

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