
東京商工会議所は、2026年度の新入社員を対象に、社会人生活や仕事に対する意識等を調査し、その結果を公表しました。
今回の調査では、昨年と大きな傾向の変化は見られなかったものの、「コミュニケーション」に関する項目が複数の設問で上位となりました。
人材確保がますます難しくなる中、新入社員がどのような職場環境を求めているのかを理解することは、採用や人材確保・定着を考えるうえで重要なヒントになります。
【調査概要】
・ 調査期間:2026年4月1日~7日
・ 調査方法:Webアンケートシステムを利用
・ 調査対象:上記調査期間に東京商工会議所が実施した新入社員研修の受講者930名
・ 回答数 :858名(回答率:92.3%)
・ 所属企業の業種の割合:建設業:168人(19.6%)、その他サービス業:154人(17.9%)、製造業:138人(16.1%)、情報通信業:109人(12.7%)、卸売業:105人(12.2%)、小売業:26人(3.0%)、金融・保険・不動産業:19人(2.2%)、運輸業:18人(2.1%)、介護・看護業:8人(0.9%)、宿泊・飲食業:4人(0.5%)、その他:109人(12.7%)
入社前から始まるコミュニケーション重視の職場づくり
内定後から入社前までに何らかのイベントや研修があったと回答した新入社員は79.3%でした。
内容を見ると、「会社役員との懇親会」「先輩社員との懇親会」「人事担当者との懇親会」など、社員との交流を目的とした取り組みが上位を占めています。
企業側も、入社前から人間関係を築くことで不安を軽減し、早期離職の防止につなげようとしていることがうかがえます。

出所:東京商工会議所「『2026年度 新入社員意識調査』集計結果」
また、約9割(87.1%)の新入社員が業務外コミュニケーションを求めていることも今回の調査で明らかになりました。
回答の上位は「仲の良い同僚とのランチ」「オフィシャルな懇親会・飲み会」「仲の良い同僚との飲み会」となっており、食事を介したコミュニケーションを希望する傾向が見られます。
この結果からは、新入社員が仕事内容だけでなく、「誰と働くか」を重視していることがうかがえます。
企業にとっては、入社後だけでなく入社前からコミュニケーションの機会を設けることが、安心して働ける環境づくりや人材の定着率向上につながる可能性があるでしょう。

出所:東京商工会議所「『2026年度 新入社員意識調査』集計結果」
新入社員自身も「コミュニケーション力」を重視
入社時点までに何らかのスキルや知識を身につけていると回答した新入社員は84.4%でした。
上位は「ビジネスマナー(31.1%)」「パソコン(28.2%)」で、前回調査と同様の結果となっています。
一方で、今回の調査から新設項目として追加された「コミュニケーション力(24.9%)」が上位にランクインしました。
新入社員自身も、業務スキルだけではなく、円滑な人間関係を築くための力を重要な能力として認識していることがうかがえます。
企業が新入社員に求める能力としてコミュニケーション力をあげることは少なくありません。
しかし今回の結果からは、新入社員側も同様にコミュニケーションの重要性を認識していることがわかります。
そのため、今後企業は知識を一方的に伝える研修だけでなく、グループワークや意見交換など、対話を通じて学ぶ機会を取り入れることがより重要になると考えられます。

出所:東京商工会議所「『2026年度 新入社員意識調査』集計結果」
新入社員の価値観を職場づくりに活かすために
今回の調査では、「入社前の交流機会」、「業務外コミュニケーション 」、「身につけたスキル・知識」といった複数の項目で、「人とのつながり」を重視する傾向が見られました。
近年は人材確保だけでなく、人材定着も企業の重要な課題となっています。
そのためには給与や福利厚生だけではなく、相談しやすい環境や良好な人間関係を築ける職場づくりが求められます。
特に新入社員は職場への適応段階にあるため、上司や先輩とのコミュニケーション機会を確保することが、安心感やエンゲージメントの向上につながるでしょう。
また、今回の結果からは、新入社員がコミュニケーションそのものを負担と感じているのではなく、「良好な人間関係の中で働きたい」と考えていることもうかがえます。
企業にとって重要なのは、単にコミュニケーションの機会を増やすことではありません。
気軽に相談できる関係性や心理的安全性の高い職場環境を整えることが、新入社員の成長や定着を支える土台となります。
人口減少による人材不足が進む中、新入社員の価値観を理解し、働きやすい職場づくりに反映していくことが、今後企業の人材確保・定着につながるのではないでしょうか。
<参考>
・ 東京商工会議所「『2026年度 新入社員意識調査』の集計結果」
・ 株式会社マイナビ「2027年卒 企業新卒採用予定調査」
・ 株式会社マイナビ「企業人材ニーズ調査2025年版」


















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