人材採用の厳しい現状とAIの影響~企業の44.3%が「従来の採用に限界」と回答~

2025年に生まれた子どもの数は、日本で生まれた外国人や外国で生まれた日本人などを含め、前年比2.1%減の70万5,809人でした。
これは、10年連続で過去最少を更新したことになります。
今後も出生数の減少による影響は続くと考えられており、企業にとっても採用など人員確保に大きな影響を与える可能性があります。
こうした背景のなか、株式会社マイナビは企業の採用担当者2,101名を対象に調査した「企業人材ニーズ調査2025年版」を2026年1月に公表しました。
今回は、企業の人材採用の現状と採用に対する危機感、さらにAIによる業務代替があたえる影響について解説します。

44.3%が、これまで通りの採用に限界を感じている

<調査方法>
・ 人材採用に関して「採用実施」「手法選定」「雇用の決定」のいずれかの決裁権を持つ採用担当者を対象にWEB調査を実施(一部決裁権がない担当者含む)(アンケートモニター提供元:外部調査会社)
・ 調査期間:2025年12月5日(金)~12月9日(火)
・ 回答方法:WEBフォームにて回答
・ 有効回答数:2,101名
<分類>
・ 企業分類:上場602名、非上場1,499名、製造659名、非製造1,442名
・ 企業規模(正社員数):300人未満1,194名、300~999人357名、1,000人以上550名
・ 回答者在住エリア:関東888名、東海240名、関西380名、その他593名
・ 回答担当者属性 (各雇用形態別に決裁権を持つ方に限定して回答を集計、重複あり):新卒1,132名、中途1,523名、契約社員・嘱託社員683名、パート・アルバイト971名、派遣558名

本調査において人材採用状況を確認したところ、「これまで通り採用できている」と回答した企業は46.3%にとどまりました。
一方で、「これまで通りの採用にはそろそろ限界が来る」は33.8%、「すでに限界が来ている」は10.5%という結果となっています。
これらを合計すると、「これまで通りの採用に限界を感じている(すでに/そろそろ)」企業は44.3%となり、「これまで通り採用できている」46.3%との差はわずか2ポイントにとどまります。
このことから、人材採用に対する危機感が高まりつつあることがうかがえます。

次に業種別で見ると、「医療・福祉」では「そろそろ限界が来る」43.5%、「すでに限界が来ている」11.9%、「生活関連サービス・娯楽業(クリーニング、理美容、娯楽施設)」では「そろそろ限界が来る」37.6%、「すでに限界が来ている」14.7%となっており、半数以上の企業で従来通りの採用が難しくなっている傾向がみられました。

また、企業規模別の平均では、「そろそろ限界が来る」33.8%、「すでに限界が来ている」10.5%でした。
企業規模別に見ると、従業員300人未満の企業では「そろそろ限界が来る」37.0%、「すでに限界が来ている」14.3%であるのに対し、従業員1,000人以上の企業では「そろそろ限界が来る」28.2%、「すでに限界が来ている」3.6%と、大きな差がみられました。
特に、従業員300人未満の企業では、1,000人以上の企業と比較して19.5ポイント高く、企業規模が小さいほど、従来通りの採用が難しいと感じている採用担当者が多いことがわかります。

AIの業務代替による人員削減

現在、日常の検索行動における生成AIの利用率は、全世代で21.3%となっています。
また、株式会社サイバーエージェントが2026年3月に公表した「生成AIのユーザー利用実態調査」によると、検索エンジンの代替として生成AIを利用した経験があるユーザーのうち、7割(70.5%)が「現在も利用している」と回答しており、全世代において高い定着率が確認されています。
さらに、本調査では、AIによる業務代替が従業員数に与える影響について「すでに人員削減への影響が出ている」は12.3%、「現時点では影響はないが、今後は影響がありそう」は22.9%、「現時点では影響はないが、今後は分からない」は34.2%という結果となりました。
一方で、「人員削減への影響はない」と回答した企業は30.7%となっています。

「影響はない」とする企業は、「宿泊業・飲食店」「教育」「医療・福祉」「建設業」など、人を通じた仕事やサービスの提供が必要とされる職種に多くみられました。
しかしながら、「すでに影響が出ている」および「今後影響がありそう」と回答した企業を合わせると35.2%となり、多くの企業がAIの影響を見据えている現状が明らかとなっています。
また、企業規模別の平均では、「すでに影響が出ている」企業は12.8%でした。
企業規模別に見ると、従業員300人未満の企業では9.7%であるのに対し、従業員1,000人以上の企業では16.2%となっており、規模の大きい企業ほどAI導入が進み、業務代替が先行していることがわかります。

まとめ

本調査から、中小企業や「医療・福祉」分野を中心に、必要な労働力の確保が難しくなっていることが示唆されました。
また、従業員数の多い企業ほどAIによる業務代替の影響が強く現れており、労働力確保の手段としてAI活用が進んでいることがわかります。
今後、人口減少により労働力が限られる中で、採用のあり方は大きく変化していく可能性があります。
企業には、こうした環境変化に柔軟に対応していく姿勢が求められます。
また個人においても、社会の変化に対応するため、AI活用などの新たなスキルを身につけていくことが重要となるでしょう。

<参考>
・ 株式会社マイナビ「企業人材ニーズ調査2025年版」
・ 株式会社サイバーエージェント「生成AIのユーザー利用実態調査」
・ 厚生労働省「人口動態統計速報(令和7(2025)年12月分)」

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須賀 実咲株式会社ドクタートラスト 精神保健福祉士

投稿者プロフィール

大学で臨床心理、福祉を専攻し、福祉介護業界に勤めていました。自立支援や就労支援も経験し、生活での悩みや環境について強い興味関心があります。
日常の健康や不安に向き合える機会や、きっかけになれる情報を発信していきます。
【保有資格】精神保健福祉士
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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