
働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(以下「働き方改革関連法」)とは、長時間労働の是正や多様な働き方の実現を目的に2019年から段階的に施行された国の制度です。
具体的には、時間外労働の上限規制、年次有給休暇の取得義務化、勤務間インターバル制度の普及、同一労働同一賃金の導入など、働く人の健康と公正な待遇を守るためにこの制度が整備されました。
厚生労働省は施行から5年を受け、労働者3,000人に対し労働時間などに関する労働者の意識と意向に関するモニター調査を実施、さらに企業327社に対し時間外労働の実態、働き方改革関連法の施行後の取組などについてヒアリング調査を実施しました。
今回は、2026年3月に公表された本調査結果をわかりやすく解説します。
約6割の労働者が「労働時間はこのままで良い」と回答
労働時間の増減希望状況につき59.5%の労働者が「このままで良い」と回答する結果となりました。
「このままで良い」と回答した理由の44.3%が「仕事と生活バランスを変えたくない」、32.0%が「収入を維持したい」でした。
一方で労働者の10.5%が「労働時間を増やしたい」、30.0%が「減らしたいと」回答しています。
労働時間を増やしたい理由として最も多かったのは「たくさん稼ぎたい」が41.6%、次いで「残業代がないと家計が厳しい」が15.6%でした。
収入確保のために労働時間を増やしたい層が一定数存在することがわかりました。
また労働時間を減らしたい理由として「自分の時間をもちたい」が66.7%、「自身の健康を害しないため」が39.6%でした。
このようにワークライフバランスを重視する声が多い傾向です。
妥当だと考える1カ月あたりの時間外労働などの時間は「20時間以下」が65.6%であり、トータルでは「45時間以下」が93.0%でした。
ほとんどの労働者が長時間労働を望んでいないことがわかります。
327社中201社が「労働時間は現状のままがいい」と回答
現状の労働時間に関し、327社中、201社が「現状のままがいい」、73社が「減らしたい」、53社が「増やしたい」と回答しました。
「現状のままがいい」と回答した理由としては「業務量とのバランスが取れている」や「従業員の健康を守りたい」、「大幅な残業時間を指示した場合は労働者の離職の可能性」、「残業が多いと採用活動が難しくなる」などが挙げられました。
労働時間を「減らしたい」と回答した理由は「人件費の抑制のため」や「従業員の健康の維持を進めている」、「若手や家庭を持つ人材が定着しにくい」、「残業時間が少ないことをアピールし採用につなげたい」などが挙げられました。
これに対して労働時間を「増やしたい」と回答した理由は「受注量を増やしたい」や「人手が足りない」、「従業員から『稼ぐために働きたい』との声があるため」などが挙げられています。
まとめ
働き方改革関連法が施行されて5年、長時間労働の上限規制や年次有給休暇の取得義務など、働く人を守るための仕組みが整えられつつあります。
労働者3,000人への調査結果では、6割近くが労働時間はこのままで良いと回答しており、働き方改革の長時間労働の是正が一定の効果をもたらしていると考えられます。
生活と仕事のバランスを変えることなく、自分時間を大切にしたい人が多いそうです。
一方企業も労働時間に対し現状のままがいいとの回答がほとんどでした。
ただし、企業側の回答にはいろいろ複雑な事情が入り混じっていると考えています。
労働時間を増やした場合、労働者の離職の可能性が高まるほか、受注量の増加などを目的に労働時間を増やしたくても増やせない実情も考えられます。
働き方改革は前進していますが、働く人の現場では「健康」「収入」「ワークライフバランス」「人手不足」などの課題が入り混じり簡単に答えが出せない状況となっているかもしれません。
制度が整いはじめた現在、企業と労働者がお互いの状況を理解し、よりよい働き方を探していく必要があるでしょう。
<参考>
・ 厚生労働省「『働き方改革関連法施行後5年の総点検』の調査結果」


















