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【2022年4月スタート】育児も不妊治療も、仕事と両立する時代!新「くるみん」を詳しく解説
- 2022/1/11
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「くるみん」は、仕事と育児の両立支援に取り組んでいる企業を「次世代育成支援対策推進法」に基づいて厚生労働大臣が認定する制度で、2007年にスタートしました。
また、2015年4月には、両立支援の活動を高い水準で実施している企業を認定する「プラチナくるみん」が始まりました。
そして2022年4月、「くるみん」「プラチナくるみん」の認定基準が変わるとともに、新しく「トライくるみん」、さらに「不妊治療と仕事の両立に関する認定基準」が導入されます。
以下では、くるみん新制度、「不妊治療と仕事の両立に関する認定基準」概要をわかりやすく解説します。
3段階に分かれる「くるみん認定」
くるみんの認定には、以下の条件をすべて満たす必要があります。
① 男性従業員の育休等取得率
② 女性従業員の育休等取得率
③ 全従業員の残業時間
条件は「トライくるみん」「くるみん」「プラチナくるみん」の順に厳しくなっていきます。
(1)トライくるみん~現行の「くるみん」をほぼ踏襲~
2022年4月に創設される「トライくるみん」は、現行の「くるみん」の内容をほぼ踏襲したものです。
前提として、2年以上5年以下の期間にかかる雇用環境の「行動計画」を策定するとともに、社内外での周知、さらに行動計画に定めた目標達成が求められます。
そのうえで、男性従業員について、以下の数値目標のどちらかを満たす必要があります。
・ 育児休業を取得した男性従業員の割合が7%以上
・ 育児休業を取得した男性従業員が1人以上、かつ育児休業または企業独自の育児を目的とした休暇制度を利用した男性従業員が合わせて15%以上
なお、従業員数が300人以下の企業には特例が設けられており、上記数値目標を満たしていなくても、以下のいずれかに該当すれば基準を満たすことになります。
・ 1歳以上の子どもの看護休暇を取得した男性従業員がいること
・ 中学校卒業前の子どものために時短勤務制度を利用した男性従業員がいること
・ 最長3年間で計算したとき、男性の育児休業取得率が7%以上
・ (小学校就学前の子を養育する男性従業員がいない場合) 中学校卒業前の子、または小学校就学前の孫のために、企業独自の育児を目的とした休暇制度を利用した男性従業員がいること
また、女性従業員については、育児休業取得率75%以上が認定基準です。
従業員数が300人以下の企業は、最長3年間で達成できていれば構いません。
このほかの主たる認定条件としては以下があります。
・ 3歳から小学校就学前の子どもを育てている従業員のために「育児休業に関する制度」などを講じていること
・ フルタイム従業員の残業時間の平均が毎月45時間未満
・ 月平均の残業時間が60時間以上の従業員がいない
・ ①残業削減、②有給休暇取得、③短時間正社員制度、在宅勤務のいずれかについて具体的な目標を定め、実施していること
(2)くるみん~認定基準を満たすとともに厚生労働省のウェブサイトで公表~
2022年4月以降の「くるみん」は、①男性従業員の育休等取得率にかかる基準が現行より引き上げられます。
また、育休取得率などについて、厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」で公表しなくてはいけません。
具体的には、男性従業員について、以下の数値目標のどちらかを満たす必要があります。
・ 育児休業を取得した男性従業員の割合が10%以上
・ 育児休業を取得した男性従業員が1人以上、かつ育児休業または企業独自の育児を目的とした休暇制度を利用した男性従業員が合わせて20%以上
なお、従業員数が300人以下の企業には特例が設けられており、上記数値目標を満たしていなくても、以下のいずれかに該当すれば基準を満たすことになります。
・ 1歳以上の子どもの看護休暇を取得した男性従業員がいること
・ 中学校卒業前の子どものために時短勤務制度を利用した男性従業員がいること
・ 最長3年間で計算したとき、男性の育児休業取得率が10%以上
・ (小学校就学前の子を養育する男性従業員がいない場合) 中学校卒業前の子、または小学校就学前の孫のために、企業独自の育児を目的とした休暇制度を利用した男性従業員がいること
上記以外の認定基準は「トライくるみん」と同様です。
(3)プラチナくるみん~認定基準が大きく引き上げられる~
最後に、2022年4月以降の「プラチナくるみん」の認定基準をご紹介します。
プラチナくるみんでは、①男性従業員の育休等取得率、②女性従業員の育休等取得率にかかる基準が現行より大きく引き上げられるとともに、新しい「くるみん」同様、育休取得率などについて、厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」で公表しなくてはいけません。
まず、男性従業員について、以下の数値目標のどちらかを満たす必要があります。
・ 育児休業を取得した男性従業員の割合が30%以上
・ 育児休業を取得した男性従業員が1人以上、かつ育児休業または企業独自の育児を目的とした休暇制度を利用した男性従業員が合わせて50%以上
なお、従業員数が300人以下の企業には特例が設けられており、上記数値目標を満たしていなくても、以下のいずれかに該当すれば基準を満たすことになります。
・ 1歳以上の子どもの看護休暇を取得した男性従業員がいること
・ 中学校卒業前の子どものために時短勤務制度を利用した男性従業員がいること
・ 最長3年間で計算したとき、男性の育児休業取得率が30%以上
・ (小学校就学前の子を養育する男性従業員がいない場合) 中学校卒業前の子、または小学校就学前の孫のために、企業独自の育児を目的とした休暇制度を利用した男性従業員がいること
また、女性従業員については、以下のいずれかを満たしている必要があります。
・ 子どもを出産した女性従業員の90%以上が、子どもの1歳の誕生日まで継続して在籍(育児休業などを利用しているも場合も含む)
・ 子どもを出産した女性従業員と、子どもを出産するために退職した女性従業員の合計数のうち、子どもの1歳の誕生日まで継続して在籍している割合が70%以上(育児休業などを利用しているも場合も含む)
従業員数が300人以下の企業は、最長3年間で達成できていれば構いません。
不妊治療と仕事との両立に関する新たな認定
「くるみん」は「育児と仕事」の両立を支援するための認定制度ですが、今回から新たに「不妊治療と仕事」の両立を支援する認定制度も始まります。
これは各くるみん認定の一類型に位置づけられており、いずれかの「くるみん」認定を受けたうえで、以下のすべてを満たす必要があります。
・ 「不妊治療のための休暇制度」と「不妊治療のための柔軟な勤務制度(半日、時間単位の有給休暇や時差出勤、フレックスタイム制度など)」を設けている
・ 不妊治療と仕事の両立に関する方針、措置を社内に周知する
・ 不妊治療と仕事の両立に関する研修など、理解を促進するための取り組みを実施
・ 不妊治療を受ける労働省がからの相談窓口を設置する
さいごに
新しい「くるみん」認定のスタートにともない、「くるみん」および「トライくるみん」の認定マークも刷新されます。
なお、新しい「くるみん」認定は2022年4月から始まりますが、経過措置として、2022年4月~2024年3月までは現行の「くるみん」認定での申請も可能です。
「くるみん」認定を受けると、企業のウェブサイトや名刺などにマークが利用でき、「働きやすさPR」につながります。
また、「くるみん」「プラチナくるみん」は公共調達において加点評価されるほか、中小企業の場合は上限50万円の助成金が受けられるなど、非常にメリットの大きい制度です。
すでに認定取得済みの企業は、一つうえのランクを、またこれからの企業は、「トライくるみん」取得を目指して、取り組んでみましょう。
<参考>
・ 厚生労働省「令和4年4月1日からくるみん認定、プラチナくるみん認定の認定基準等が改正されます!新しい認定制度もスタートします!」
・ 厚生労働省「両立支援の広場」