3月1日に就活が解禁され、多くの就活生は企業の情報を集め、面接等の採用に向けて準備をしている時期ではないでしょうか?
就職は一人の人間にとって、生活の安定や社会参加を通じての生きがいなど、生きていくうえで極めて重要なものであり、人生を左右しかねない重大な決定にかかわるものです。
また、企業の人事や採用担当者も多くのよりよい人材を確保するために取り組んでいることと思います。
雇用主にも、採用方針・採用基準・採否の決定など、採用の自由は認められています。
しかし採用の自由は、応募者の基本的人権を侵してまで認められているわけではありません。
採用選考を行うにあたって企業側は公正に判断していくことが求められます。
今回のテーマはその採用選考に関してです。
採用選考をする上で基本的なポイント
選考を行ううえで基本的なポイントとしては、次の点などが挙げられます。
・応募者の基本的人権を尊重すること
・応募者の適性や能力のみを基準として選考を行うこと
非常に基本的なことと思われがちですが、2点目の応募者の適性や能力のみを基準とすることに関して、欠けている企業は多くあるのではないでしょうか。
たとえば能力や適性を見る前に、女性だから、高齢だから、といって不採用にしていませんか?
こういった人種・信条・性別・社会的身分・門地などの事項による差別があってはなりません。
採用選考時に配慮すべき点
多くの企業が採用を行う際にエントリーシートなどの提出を応募者に求めているかと思います
しかし、このエントリーシートなどでも記入させる情報には十分な考慮する必要があるのをご存知ですか?
それは適性や能力に関係のない事項の把握はしてはいけないということです。
適性や能力に関係のない事項は、それを採用基準としないつもりでも、エントリーシート等に記入させたり面接時に尋ねたりすれば、その内容は結果としてどうしても採否決定に影響を与えることとなり、就職差別につながるおそれがあります。
応募者にしたら、採用側が採用基準としないつもりの事項であっても、尋ねられればそれが採用選考の基準にされていると解釈してしまいます。
また求職者の個人情報を保護する観点から、職業安定法第5 条の4 、および指針(平成11年労働省告示141号)により、社会的差別の原因となるおそれがある個人情報などについては、原則として収集が認められません。
こういった点に考慮しながらエントリーシートなどを見直していきましょう。
公正採用選考人権啓発推進員
厚生労働省では、雇用主が人権問題等について正しい理解と認識のもとに採用選考を行ってもらうために、一定規模以上の事業場には公正採用選考人権啓発推進員を選任してもらっています。
100名以上の規模の事業場における推進員設置率は95%を超えています。
具体的には、各事業所内で行われる労働者の採用選考が公正なものとなるよう、事業所内での事務的な責任者としての役割を担います。
この役割を果たすために、公正採用選考人権啓発推進員にはハローワーク等が定期的に開催する研修会等に参加し、公正採用選考や人権問題等に関する正しい理解と認識を深めていくことが必要です。
求職者にとっても、こういった正しい知識を持つ公正採用選考人権啓発推進員がいる企業は安心できてとても魅力的ですよね。
求職者・選考を行う担当者、両者が正しい認識を持って就職活動、採用選考活動を行っていくことが望ましいでしょう。
<参考>
【厚生労働省】公平な採用選考を目指して
【厚生労働省】採用選考時に注意すべき事項
【厚生労働省】構成採用選考人権啓発推進員