
現在、日本の就業率は15歳~64歳の女性で73.3%、25~44歳の女性は80.8%となっており近年女性の就業率が高まっています。
その背景としては2016年に施行された女性活躍推進法や育児・働き方支援の強化により結婚・出産後も仕事を続けやすい環境が整備されたことが挙げられます。
しかしながら出産や育児などのライフステージの変化によって継続就業が難しくなりキャリアを諦めてしまう人も少なからず存在しているのが現状ではないでしょうか。
今回は7月30日に厚生労働省より公表された「令和6年度雇用均等基本調査」の中から【女性の管理職割合などに関する状況】をわかりやすく解説していきます。
女性管理職等を有する企業割合
企業規模が10人以上で課長相当職以上の女性管理職を有する企業割合は54.9%(前年度54.2%から0.7%増)となっており、係長相当職以上の場合は64.4%(前年度62.7%から1.7%増)と、どちらも前年度と比べると増加しています。
企業規模が30人以上で課長相当職以上の女性管理職を有する企業割合は60.4%(前年度58.7%から1.7%増)となっており、係長相当職以上の場合は73.7%(前年度71.9%から1.8%増)と年々割合が上がり、規模が大きくなるほど女性管理職を有する企業割合が高くなる傾向になっています。
理由としては企業規模が大きいほど制度が充実していたり、多様な職種・部門があるためライフイベントの変化に合わせた異動も可能な点が挙げられます。
管理職等に占める女性の割合
企業規模が10人以上で課長相当職以上の管理職に占める女性の割合は13.1%(前年度12.7%から0.4%増)となっており係長相当職以上の管理職に占める女性の割合は15.8%(前年度15.1%から0.7%増)となっています。
企業規模が30人以上で課長相当職以上の管理職に占める女性の割合は10.8%(前年度10.4%から0.4%増)となっており係長相当職以上の管理職に占める女性の割合は14.3%(前年度13.6%から0.7%増)となっています。
こちらの場合は規模が大きくなるほど管理職に占める女性の割合が低い傾向になっていることがわかります。
規模別にみると、どの管理職の割合でも10~29人規模が最も高くなっており、課長相当職が20.8%・係長相当職が30.3%となっています。
産業別に課長相当職以上の管理職に占める女性の割合をみてみると、医療・福祉が50.4%と一番高くなっており、続いて生活関連サービス業・娯楽業が26.0%、宿泊業・飲食サービスと教育・学習支援業がともに21.0%となっています。
逆に割合が低いのは電気・ガス・熱供給・水道業が5.7%、鉱業・採石業・砂利採取業が7.5%となっており、こちらについては女性の就業自体が少ないためと考えられます。
さいごに
日本の女性の管理職割合は以前にくらべると増加傾向にありますが、主要国と比べて低い水準となっているのが現状です。
それらは長時間労働やワークバランスへの不安などで管理職になると生活が回らなくなるという懸念があります。
企業の対応としては子育てや介護のために時短や在宅勤務している社員にも責任あるポストに就けるような柔軟な働き方を前提をした管理職制度を導入したり、職場での意識改革を進めていき女性管理職割合の底上げができるよう改善していくことが必要になるのではないでしょうか。
<出所、参考>
・ 内閣府「男女共同参画白書 令和6年版」
・ 厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査」