調査結果からみる定年・継続雇用制度の導入効果とは

定年・継続雇用制度とは

日本の平均寿命は世界でもトップクラスであり、超高齢社会であることは皆さんもご存じでしょう。
医療の進歩や生活環境の改善により私たちの寿命が大幅に延びており人生100年時代と言われている昨今、高齢者もバリバリ働く時代になっています。
今回は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が2024年10月に公刊した「データでみる70歳以上の定年・継続雇用制度の導入効果と工夫」をわかりやすく解説していきます。

そもそも定年・継続雇用制度とは、2013年4月1日に施行された高年齢者雇用安定法に基づくおので、65歳以上の従業員が希望する場合、企業がその雇用を継続することを義務づけています。
具体的には、企業は定年を65歳以上に引き上げるか、または定年後の再雇用制度を整備する必要があります。
これにより高齢者が持つ豊富な経験や知識を活かし労働力としての活躍を促進し、高齢者の生活の安定を図ることができます。

65歳以上の人口と雇用数

「データでみる70歳以上の定年・継続雇用制度の導入効果と工夫」によると日本の65歳以上の人口は2025年には3,650万人を超え、総人口の約30%を占める見通しです。
さらに2040年には約4,000万人に到達、その比率は約35%になる見込みとなっています。

出所:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「データでみる70歳以上の定年・継続雇用制度の導入効果と工夫(PDF)」

また、現在の65歳以上の雇用者数は約540万人で雇用者数全体の9.4%を占めています。

出所:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「データでみる70歳以上の定年・継続雇用制度の導入効果と工夫(PDF)」

定年制・継続雇用制度を導入または選択した効果と65歳以降社員が最も多い職種

「データでみる70歳以上の定年・継続雇用制度の導入効果と工夫」では、定年制・継続雇用制度を導入または選択した効果として、以下が挙げられました。

【メリット】
・ 高齢層が雇用の不安なしに安心して働けるようになった(80.5%)
・ 人手を確保することができた(78.7%)

人材不足の状況にある企業と定年後も働きたいと思っている雇用者のどちらにもメリットがある結果となりました。
これに対して、デメリットは以下が挙げられました。

【デメリット】
・ 組織の若返りが難しくなった(33.2%)
・ 社員の健康問題が増えた(33.0%)
・ (上記のいずれも)あてはまらない(35.4%)

人材は確保できるが新しい人材が入ってこないために組織の若返りが難しいと感じている企業は多かったものの、いずれもあてはまらないが35.4%と一番多い結果となりました。
また、65歳以降社員が最も多い職種は以下となります。

・「専門・技術職」(37.0%):教育・学習支援業
・「生産・運輸・建設などの現業職」(33.5%)」運輸業・郵便業
・「サービス職」(17.3%):宿泊業・飲食サービス業

特に運輸業・郵便業は最も高い数値となっています。
これは2024年4月1日に施行された働き方改革関連法によりドライバーの時間外労働時間の上限規制が設けられ、人材確保が必要になったことが背景にあります。

さいごに

全人口の30%が65歳以となっている日本では高齢者の雇用は社会全体にとても重要な意義を持っています。
個人にとっても経済的安定・社会参加・健康維持などたくさんのメリットがあります。
コロナ禍前の水準に戻り人員が不足している現状もありますので、企業においては定年・継続雇用制度の導入を積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。

<参考>
・ 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「データでみる70歳以上の定年・継続雇用制度の導入効果と工夫(PDF)」
・ 厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保」

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篠塚純子株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

異業種、異職種からの転職のため、日々勉強中です。自分が関心を持ったり興味がある記事を発信していければと思います。
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