3〜4万円の自己負担がゼロへ|2026年4月から始まる妊婦RSウイルスワクチン定期接種とは

2026年4月から妊婦のRSウイルスワクチンが公費負担に

2026年4月より、妊婦の方を対象としたRSウイルスワクチンが公費負担で受けられる定期接種となる予定です。
RSウイルスは、赤ちゃんや小さな子どもがかかりやすい呼吸器の感染症で、毎年流行を繰り返しています。
多くの場合は風邪のような症状で回復しますが、生まれて間もない赤ちゃんが感染すると重症化しやすく、入院が必要になることもあります。
今回の制度は、生まれてくる赤ちゃんを感染症から守ることを目的として始まる新しい取り組みです。
費用の心配をせずに接種を検討できるようになったことで、より多くの方が予防という選択肢を持てるようになります。

お母さんの抗体で赤ちゃんを守る「母子免疫ワクチン」

妊娠中にRSウイルスワクチンを接種すると、お母さんの体の中でRSウイルスに対する抗体(病気から体を守る力)が作られます。
その抗体は胎盤を通して赤ちゃんへ移行し、生まれたときから赤ちゃんを感染から守る働きをします。
このように、お母さんの免疫を赤ちゃんに分けて守る仕組みのワクチンは「母子免疫ワクチン」と呼ばれています。

赤ちゃんは生まれてすぐの時期は免疫が十分ではなく、感染症にかかると重症化しやすい特徴があります。
特にRSウイルスは、生後6カ月未満の赤ちゃんで肺炎や細気管支炎を起こすことがあり、注意が必要な感染症です。
出生直後から守る力を持てることは、赤ちゃんの健康を守るうえで大きな意味があります。

任意接種から定期接種へ ― 公費化の背景

RSウイルスワクチンは、2024年5月末から国内で接種可能となっていましたが、当初は任意接種であり、1回あたり約3〜4万円の自己負担が必要でした。
妊娠・出産の時期は医療費や育児準備などで出費が増えるため、接種を希望しても費用面で迷う方が多かったのが実情です。
実際に、2024年7月から2025年8月に出産した女性1,279人を対象に行われた全国調査では、妊娠中にRSウイルス母子免疫ワクチンの接種率は11.6%にとどまっていました。
この結果からも、費用負担が接種率に影響していた可能性が考えられます。
今回、公費負担となることで経済的なハードルが下がり、赤ちゃんを守るための予防を選びやすくなることが期待されています。
また、乳児の重症例が減ることで、流行期に混雑しやすい小児科医療の負担軽減にもつながると考えられています。
個人の安心だけでなく、地域医療を支える意味でも重要な取り組みといえるでしょう。

接種対象と検討のポイント ― 生まれる前から赤ちゃんを守るために

定期接種の対象は、妊娠28週0日から36週6日までの妊婦の方です。
この時期に接種することで、赤ちゃんへ抗体が十分に移行しやすいとされています。
特に、上のお子さんがいて家庭内で感染が広がる可能性がある方、早期に保育園へ預ける予定の方などは、感染リスクを踏まえて接種を検討するとよいでしょう。
ただし、妊娠中の体調や経過は人それぞれ異なるため、不安や疑問がある場合は、かかりつけの産婦人科医に相談しながら判断することが大切です。
公費負担の内容や接種方法の詳細は自治体ごとに異なる場合がありますので、最新の情報はお住まいの自治体のホームページなどで確認しましょう。
赤ちゃんの健康を「生まれる前から守る」という新しい予防の考え方を知り、自分や家族に合った選択をしていくことが大切です。

<参考>
・ 厚生労働省「RSウイルス感染症(五類・定点)」
・ 国立研究開発法人国立成育医療研究センター「RSウイルス母子免疫ワクチンの接種率は約11.6%~全国調査で判明した『費用負担感』と『情報不足』が課題~」

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丸毛 恭子株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

大学卒業後、行政保健師として勤務しておりました。その中でメンタルヘルスの相談を受けることも多くメンタルヘルス疾患の予防などに携わりたいと思いドクタートラストへ入社いたしました。保健師として、健康を心がけることが身近に感じられるような情報を発信できるよう努めてまいります。
【保有資格】保健師、看護師、第一種衛生管理者、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種
【ドクタートラストの保健師サービスへのお問い合わせはこちら】
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