「Safe Work 建設現場死亡災害撲滅取組期間」の実施結果を公表!
- 2022/9/7
- 労災
東京労働局は「Safe Work 建設現場死亡災害撲滅取組期間」(2022年6月1日~7月31日)の一環として、6月末までに集中的に実施した現場指導の結果を公表しました。
この取組期間は、2022年5月18日時点で建設業死亡者数全体の約7割が墜落・転落によるものであり、墜落制止用器具の未使用等、基本的な災害防止対策が十分に講じられていない状況が認められたため、建設業における死亡災害の撲滅を図るために設定されました。
今回は、実施結果の内容をご紹介します。
法違反の状況と事項別の違反率
指導現場数721現場に対して、違反があった現場数は494現場(68.5%)でした。
494現場のうち、68現場(13.8%)に対しては、労働安全衛生法第98条に基づく作業停止命令および立入禁止等の行政処分が実施されました。
また、違反事項別にみてみると「元請事業者の管理面の違反」が394現場(79.8%)であり、重篤な災害につながる「墜落・転落防止措置の違反率」が287現場(58.1%)でした。
ここからわかることは、全体違反率が68.5%という高い数値であることです。約7割がなにかしらの違反をしている状況であり、さらに元請事業者の管理面での違反が多数を占めていることから、下請業者に対しての安全管理等がおろそかになっていることがわかります。
労働災害の発生状況(2022年6月末日速報値)
建設業の死傷者数は前年同期と比較すると31.1%増加しており、そのうち墜落・転落災害は前年同期より1.6%増加とほぼ同水準であるものの、建設業の死傷災害の21.8%を占めており、手すりの設置など基本的な対策の徹底が必要だとわかります。
死亡災害については、建設業の死亡者数は15人であり、事故の型は「墜落、転落」「飛来、落下」「はさまれ、巻き込まれ」「火災」「交通事故」となっています。
以下は、2022年6月末日までに判明している主な死亡災害事例です。
発生月:1月
業種(事故の型):その他の建設業(はさまれ、巻き込まれ)
職種・年齢・経験:機械修理工・20歳代・1年以上5年未満
発生状況の概要:アスファルト合材を製造するプラントの定期メンテナンスを受託した業者の社長及び労働者1名が、ミキサー内で消耗したミキサーの羽根等を交換していたところ、発注者の労働者が、当該ミキサーを含むプラントの電源を誤って入れてしまい、ミキサー内で作業を行っていた社長と労働者が挟まれ、ともに死亡しました。
発生月:2月
業種(事故の型):建設工事業(墜落、転落)
職種・年齢・経験:土工・60歳代・30年以上
発生状況の概要:戸建を請け負う業者に勤務する60歳代の労働者1名が、脚立を使用して壁面に取り付けた下地材の出幅調整作業を行っていたところ、バランスを崩してしまい、高さ1.1メートルの段上から転落し死亡しました。
この他の事例をみても、天窓を踏み抜いての墜落や、溶接時の炎が着衣に接触し火傷を負ったものなど、年齢や経験にかかわらず事故が起きていました。
また、墜落・転落災害は、足場等からの墜落のみならず、脚立使用時やトラック等の荷台からの墜落など、比較的低所からの墜落災害も多く発生しているため、低所だからと油断せず安全に作業を行うことが求められています。
悲しい事故を起こさないために現場でできることは
上記のような労働災害を防止するために、現場ではどのような取組ができるのでしょうか。
「安全衛生管理活動の活性化で特に重要と考えていることは何か(複数回答)」という問いに対して、「作業計画や手順書の作成・確認」「作業開始前の打ち合わせとKY活動」が上位を占めました。
どれも当たり前のことのように思えますが、建設業に限らず、複数人での手順の確認やKY活動(危険(K)、予知(Y)活動)はヒヤリハットをなくす上でとても重要なことです。
慣れている作業ほど「これはこうだろう」という思い込みで進めてしまいがちですが、一度立ち止まって「これで合っているかな?」と、ひとりではなく複数人で確認するくせをつけて、安全・正確に業務を進めていきましょう。
<参考>
厚生労働省「『Safe Work建設現場死亡災害撲滅取組期間』の実施結果について~8割を超える現場で死亡災害を発生させない旨の決意表明を実施~」