雪が降ったら要注意!油断大敵、転倒災害

2024年12月19日、東京で初雪が観測されました。
平年より約2週間早く、昨シーズンとくらべると25日も早い観測です。
なんと、東京で12月中旬までに初雪が観測されるのは8シーズンぶりのことでした。

都内の積雪・凍結による転倒災害の発生状況

2024年2月5日から6日にかけて、関東甲信地方で大雪が降り、都内で積雪8㎝を記録したことを覚えていますか?
「産業保健新聞」運営元のドクタートラスト本社でも早めに退勤したり、遅延して混んでいる電車に乗っていつもより時間をかけて帰宅したりと慌ただしく動いたことを思い出しました。
この積雪のあった2月5日は40件もの転倒災害が発生し、1年で最も転倒災害が多い日となりました。
積雪・凍結が原因と考えられ、翌6日も27件の転倒災害が発生していました。

冬季における転倒災害防止リーフレット

積雪に備えて、東京労働局が公開している「積雪や凍結による転倒災害を防ぎましょう」リーフレットを紹介します。

東京労働局「積雪や凍結による転倒災害を防ぎましょう(PDF)」

リーフレットでは以下について解説されています。

① 気象情報の活用によるリスク低減の実施
・ 大雪、低温に関する気象情報を迅速に把握する体制の構築
・ 警報・注意報発令時等の対応マニュアルの作成、関係者への周知
・ 気象状況に応じた出張、作業計画等の見直し
② 通路、作業場所の凍結等による危険防止の徹底
・ 屋外通路や駐車場における除雪、融雪剤の散布による安全通路の確保
・ 事務所への入室時における靴裏の雪、水分の除去、凍結のおそれのある屋内の通路、作業場への温風機の設置等凍結防止策の実施
・ 屋外通路や駐車場における転倒災害のリスクに応じた「危険マップ」の作成、関係者への周知
・ 凍結した路面、除雪機械通過後の路面等における荷物の運搬方法、作業方法の見直し
・ 凍結した路面や凍結のおそれがある場所(屋外通路や駐車場等)における転倒防止のための滑りにくい靴の着用の推奨
③ 働く高齢者の特性に配慮した転倒災害防止対策
・ エイジフレンドリーガイドラインに基づき、働く高齢者の特性に配慮した対策を実施

エイジフレンドリーガイドラインとは?

上記のうち「エイジフレンドリーガイドライン」とは、2020年3月に厚生労働省が策定した「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」のことです。
働く高齢者に配慮した安全な職場を目指すために策定されました。
以下に概要を紹介します。

<エイジフレンドリーガイドラインの概要>
① 安全衛生管理体制の確立
② 職場環境の改善
③ 高年齢労働者の健康や体力の状況の把握
④ 高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応
⑤ 安全衛生教育

「③高年齢労働者の健康や体力の状況の把握」は自己申告や、ぱっと見ただけでは正確な判断を行うことが難しい項目です。
そんなときのために役立つチェックツールが用意されていますのでぜひ活用してみてください。

・ 中央労働災害防止協会「転びの予防 体力チェック」
・日本整形外科学会「ロコチェック」
・長崎労働局「転倒等リスク評価セルフチェック票」

そのほかの転倒災害防止対策

・ 東京労働局「労働者の転倒災害(業務中の転倒による重傷)を防止しましょう(PDF)」
・  日本眼科啓発会議「アイフレイルチェックリスト」

他人事ではない、転倒災害!

毎日天気予報をチェックして気を付けることも大切ですが、雪の予報はプロでも難しいといわれるほど難易度が高いため、いつ雪が降ってもいいように準備しておくことがとても大事です。
通勤や業務に支障が出ることが予想される場合は、テレワーク等の利用も想定しておきましょう。
また、体力チェックツールは高年齢者だけでなく全年齢の労働者に対しても利用できるため、半年や1年に1回、会社全体で実施してみるのもよいでしょう。
寒さに負けず、健康で安全に働くことができるよう、取り組みを進めてみましょう。

<参考>
・東京労働局「積雪や凍結による転倒災害を防ぎましょう」

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坂田 ひとみ株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

大学では臨床心理学を専攻し、メンタル不調に陥る前にできることはないのか疑問に感じました。働く世代のメンタルに興味をもつ中で「産業保健」という分野のドクタートラストを知り入社。医療職でなくとも働く世代を支えることができる仕事にやりがいを感じ、日々業務に励んでいます。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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