前回の記事「働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動の先進的な取組事例①」では、中央労働災害防止協会から発表された安全・安心確保のための取組んでいる企業とその事例を紹介しました。
今回は、前回とは別の業種に触れてみます。
介護事業での取り組み
オリックス・リビング株式会社
首都圏および関西圏において、有料老人ホーム、高齢者向け賃貸住宅等を運営するとともに、これらの施設で必要とされる生活支援関連サービスや介護サービスなどを提供。
「次世代型介護」への取組みとして、①介護リフトの積極的活用、②見守りシステムの導入、③タブレット端末・インカムの導入等を行い、2017年2月には厚生労働省と公益財団法人テクノエイド協会が主催する「介護ロボット導入好事例表彰事業」において優秀賞を受賞しました。
具体的事例
介護リフトの積極的活用
オーストラリアで看護職が移乗介助時にスライディングシートやリフトなどの補助具を有効活用している例を参考に、介護リフトを導入し、介護職員の腰痛の軽減や労働時間の削減を実現しました。
また、入居者やその家族からも「もう寝たきりと思い諦めていたが、介護リフトでは、 車イスに移乗して散歩したり、浴室の介護リフトで入浴を楽しむことができた」「移乗時の転落の不安が解消された」「四肢の拘縮(関節の動きが制限された状態)も改善した」「入居者の表情が穏やかになった。」と非常に好評のようです。
見守りシステムの導入
企業内で入居者の事故やトラブルについて調査したところ、「転倒・ずり落ち」が 63.3%と多数、なかでも大半は目撃者がいない居室で起きていることが判明し、居室見守りシステムをメーカーと共同開発・導入しました。
赤外線距離センサーを用い、ベッド上の人の姿勢を把握し、転倒・転落につながる危険な予兆動作があれば、自動的に介護職員への通知を行うシステムで、導入前後で、認知症の症状のある要介護4または5の対象者について、転倒回数が半数以下に減少、介護職員の見守りの負担も大きく軽減しています。
また、転倒前の通知だけでなく、転倒前後の状況も把握できるので、今後の改善策を具体的に検討・予防できるようになりました。
タブレット端末・インカムの導入
事務処理の時簡短縮・迅速かつ正確な情報提供を行い、入居者に対するきめ細かい介護サービスの向上につなげています。
また、入居者が一命を取り留めた事例も多数あるようです。
時には、器具・システムの導入も必要
高齢化が進みニーズが高い中、人材不足な業界であるため、取り組み事例をぜひ参考にしてください。
介護施設運営以外でも、必要な器具・システムの導入による業務効率化・満足度向上は参考になるでしょう。
なお、中央労働災害防止協会は、小売業・飲食店のトップを対象としたセミナーを実施、過去実施分のテキストを公表しています。
ご関心のある方は、厚生労働省職場のあんぜんサイト「働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動」をご覧ください。
<参考>
厚生労働省「働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動の先進的な取組事例集」
中央労働災害防止協会「働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動」
厚生労働省職場のあんぜんサイト「働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動」