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「時差Biz」は通勤ラッシュ問題にとどまらない
- 2017/8/30
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都心部にお勤めの方の多くは、毎日通勤ラッシュにもまれていることでしょう。
筆者自身も、満員電車に詰め込まれる日々を送っていますが、まったく慣れることはありません。
通勤ラッシュ解消に向けた「時差Biz」
「満員電車」は、政策面からも注目を集めており、昨夏の都知事選で小池百合子知事が、満員電車解消を公約に掲げたことは記憶に新しいです。
その公約実現へ向けた第一歩として、7月11日から25日まで、東京都では「時差Biz(ビズ)」キャンペーンが行われました。
時差Bizキャンペーンとは、通勤ラッシュ回避のために、通勤時間をずらし、オフピーク出勤を促すキャンペーンです。
期間中は、実際に約230の企業・自治体が時差通勤になんらかの形で取り組みました。
また、鉄道事業者側でも、オフピーク時の乗客に対して様々な特典を用意し、キャンペーンの取り組みに働きかけました。
そのうちいくつかを下記にご紹介します(通年で実施しているものも含む)。
・ 東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)
■ ポイントプレゼントによるオフピーク通勤の促進
・ 東京急行電鉄「グッチョイモーニング」
■ 午前6時台に田園都市線で臨時特急「時差Bizライナー」の運行
■ 他社と連携した早朝限定のクーポン配信
・ 東武鉄道株式会社「快適通勤ムーブメント “時差Biz”応援キャンペーン」
■ 早朝の有料列車利用者へのポイント付与
・ 京王電鉄株式会社「楽・得・通勤キャンペーン」
■ 早朝の駅利用者へのポイント付与
・ 東京地下鉄株式会社(東京メトロ)「東西線早起きキャンペーン」
■ 早朝時間帯の臨時列車の運行
・ 東京都交通局
■ 豪華景品のあたるポイントキャンペーン
・ 東京臨海高速鉄道株式会社(りんかい線)「時差Biz~りんかる早起きキャンペーン」
■ 早朝利用者に応募用紙の配布・抽選で景品
政策だけで通勤ラッシュは解消しない
都としては通勤ラッシュ解消への取り組みを施策として打ち出しました。
しかし、そもそも始業時間が事業者側で固定されている限りは、いくらキャンペーンがあったとしても、時差出勤が根付くことは難しいのではないでしょうか。
今回の「時差Biz」は「働き方改革のひとつ」という側面もありますが、始業時間を決めるのが経営者側であるとするならば、「働かせ改革」といったほうが適切なようにも感じられます。
そのように考えると、「ラッシュ時の通勤」が生産性などにどのように影響を及ぼすのかといった視点で、経営層に訴えかけることが求められることでしょう。
満員電車回避が人材確保につながるかも?
一昔前であれば、都心部で働く人にとって「満員電車やむなし」だったかもしれません。
しかし近年は、多様な勤務形態を用意する企業も徐々に増えてきており、活用の仕方次第では、通勤ラッシュを回避することも可能です。
直近であれば、クレジットカード事業を運営する株式会社クレディセゾンが8月14日付けで、これまであった複数の雇用形態を「正社員」に一本化すると発表し、あわせて「1時間単位有給」「育児・介護以外での短時間勤務」「テレワーク」「フレックスタイム制」を導入することとしています。
小池百合子知事の公約により、これまで以上に「通勤ラッシュ」は注目を集めることになりました。
これまでは子育て中の人材を確保する観点から「柔軟な勤務形態」がうたわれていたところ、「通勤ラッシュ」を回避したい人材を確保するという観点からも「柔軟な勤務形態」をアピールする企業も出てくる気がします。
<参考>
・ 東京都「時差Biz」公式サイト
・ 株式会社クレディ・セゾン8月14日付けプレスリリース(PDF)