熱中症予防 ~2017年は企業の責任がさらに明確に~

2016年度の熱中症の死傷者数は?

2016年度、職場での熱中症による死傷者は、462人と報告されています。

これは、厚生労働省がまとめた「平成28年の熱中症の発生状況(確報値)」でわかったもので、このうち死亡者は12人でした。

熱中症による死傷者数の推移をみていくと、猛暑だった2010年以降も毎年400~500人で高止まりしており、減少の兆しは見えていません。
更に死亡者の状況を詳しくみていくと、業種の内訳は、建設業が7人と半分以上を占め、他は商業、清掃・と蓄業、農業、林業、その他でそれぞれ1人でした。
建設業の死者数は5年連続で1位を記録しています。

屋外での長時間に及ぶ作業が多い建設業ですが、熱中症を防げなかった原因はなんだったのでしょうか?

熱中症を防げなかった原因とは

熱中症が発生してしまった原因として、「WBGT値(暑さ指数)の測定をしていなかった」「熱への計画的な順応期間を設定していなかった」など基本的な対処を怠っていたケースが多いことが挙げられています。

WBGT値(暑さ指数)は、職場環境を数値化できるため、熱中症予防対策をのための適切な対処法を取るための有効的な情報となります。

しかし、残念なことに、この指数に対する理解・知識は浸透しているとは言い難いのが現状です。
厚労省労働基準局安全衛生部安全衛生課の担当者も、この指数に関して「建設業などを中心に測定をお願い」しているそうですが、測定の有無は事業者の裁量に委ねられているうえ、「どの程度浸透しているかは未知数」と述べる程浸透しているかも定かではない状況があるようです。

新たな熱中症予防対策

今夏も気温が平年並み以上となる見通しとなっていおり、新たな熱中症予防対策のためのキャンペーンが始まっているのをご存知でしょうか。

厚労省では9月30日までを期間とする「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」を実施しています。

今年度のキャンペーンの特徴は、使用者・従業員双方の対策の中でも、使用者側の取り組みが強調されている点にあります。
キャンペーンの実施要項に詳しく書かれているように、単に「水を飲もう・塩分を取ろう」という呼びかけだけでなく、

・WBGT値の機器を現場に持ち込んで随時測定を行う。
・WBGT値が一定の基準以上になった場合、作業の中断や時間短縮を行う。
・休憩場を適切に整備する。
・管理者、労働者に向けて事前に熱中症への教育を行う。

などの取り組みを、企業主導で行う点が重視され、わかりやすくまとめられています。

STOP!熱中症クールワークキャンペーンについては、今年から導入されたキャンペーンであり、厚生労働省でも多くの情報を配信しているためぜひご確認ください。

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