皆さんはトラックやバス・タクシーといった自動車運送事業についてどのような印象があるでしょうか?
長時間の運転や深夜の運転で心身ともに疲労するなどマイナスなイメージを持つ方も多いのではないでしょうか?
国土交通省の発表によると、自動車運送業は全職業の平均と比較して労働時間が1~2割、所定外労働時間が2~3倍長いにも関わらず、賃金が1~3割低いということが分かりました。
人手不足も年々深刻化しており、人材の確保が必須の状況となっています。
国土交通省はこれらの課題を改善するため、昨年度に「働きやすい職場認証制度」を創設し、今月2021年7月19日に再度申請の受付を開始しました。
今回は制度の概要などを解説していこうと思います。
「働きやすい職場認証制度」とは?
自動車運送事業は先述のとおり、労働環境のマイナスなイメージにより人材不足が顕著です。
そのため、「働きやすい職場認証制度」を通じて各事業者の職場環境改善を「見える化」し、イメージを払しょくすることで求職者の増加することを目的としています。
現在、バス(乗合・貸し切り)・タクシー・トラック事業者の合計2,545社が認定を受けており、認証を受けた企業は厚生労働省と連携し認定事業者と求職者のマッチング支援やイメージ刷新に向けた情報発信を実施しています。
また、この認証制度を取得するということはその企業が労働者に対して働きやすい職場であることを表す印になることから、交付された認証マークを車両等に表示することや、会社のホームページに掲載をすることで取引先や利用者に良い印象をアピールすることができます。
申請方法と審査要件について
手続きは国土交通省から指定を受けた一般財団法人日本海事協会(ClassNK)が受付、審査及び認証手続きを実施しています。
申請の受付期間は令和3年7月21日~ 9月21日、認証事業者の公表は令和4年2月21日(予定)、審査料は1申請あたり5.5万円(税込)となっており、審査料の振込後に順次審査になるという流れとなります。
認証の審査要件は中小企業の申請を容易にする目的などから主に以下の5分野になります。
① 法令遵守等
② 労働時間・休日
③ 心身の健康
④ 安心・安定
⑤ 多様な人材の確保・育成
また、これらに加えて自主的・先進的な取り組みに関しては参考点として点数化されます。
さいごに
今回は自動車運送業に特化した認証制度について取り上げましたが、その他の分野においてもさまざまな認証制度が存在します。
労働安全衛生に関して積極的な取組を行っている企業を認定する「安全衛生優良企業認定」や、女性の活躍促進に関する状況などが優良な企業を認定する「えるぼし認定」などはどの分野の企業においても取得する価値があるかと思われます。
手続き準備や費用の問題など取得が大変なイメージがあるかもしれませんが、それ以上に企業のイメージアップや世間への認知度など、メリットが多いのも事実です。
それらも加味したうえで、皆さんもお勤めの会社に合った認証制度を探してみてはいかがでしょうか?
<参考>
・ 国土交通省「『働きやすい職場認証制度』申請受付開始~バス、タクシー、トラック事業者の取組を見える化~」
・ 国土交通省「自動車運転業務の現状」(PDF資料)