副業・兼業は何したらいいの?

巷間で「副業・兼業」が取りざたされるようになり、久しくなりました。
就業規則が改定されて「副業・兼業」が可能になったために、あるいは新年度になったのを機に、「なんかやってみようかな」と考えている人も読者のなかにはいらっしゃるのではないでしょうか。
「副業・兼業の促進」については、特に厚生労働省が主導になって進めているところであり、2018年1月には企業や働く方が現行の法令のもとでどういう事項に留意すべきかをまとめた「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(以下、「本ガイドライン」という)を公表しています。

本ガイドラインの内容

本ガイドラインでは、下記の事項に触れられています。

  •  副業・兼業の現状
  •  副業・兼業の促進の方向性
  •  企業の対応
  •  労働者の対応
  •  副業・兼業に関わるその他の現行制度について

上記のうち、大部分は「企業の対応」以下に紙幅が割かれています。
つまり、本ガイドラインの存在意義は、「副業・兼業を企業が容認するとき(あるいは労働者が副業・兼業をするとき)に気を付けなくてはいけない会社の事柄」を周知するという点にあると考えられます。

ちなみにこうして国は積極的に「副業・兼業」を後押しする機運を見せていますが、具体的な副業・兼業の「職種」までは明らかにしていません。
ですので、いざ「おれも何かやりたい!」と思っても、そもそも何をしたらいいのかわからず、Google検索などで「副業 おすすめ」と検索したり、ものの本を立ち読みしてみたりくらいで止まってしまうのではないでしょうか。

「副業 おすすめ」で検索してみた

「副業 おすすめ」で検索してみると、上位に出てくるのは「サラリーマンにおすすめの副業●選」「人気副業ランキング」などのサイトです。
簡単な作業なので、ぜひともお試しください。
ちなみにこれらのサイトはほとんどが「アフリエイトサイト」と呼ばれるもので、サイト内に掲載されている広告で儲けを出すしくみとなっています。
会社員の傍ら、こういった「副業」をしていらっしゃる方もいらっしゃるようです。

これらサイトで「会社員向け」として紹介されている副業をまとめてみたのが以下です。

・ Youtubeで動画を投稿する
→広告収入を得る手段です。1回の再生あたり0.1円になるようです。

・ せどり
→古典的な方法です。某有名古本屋において希少な古本を安値で仕入れ、ネットショップやオークションで高く売って差益を得ます。

・ FX
→正式名称「外国為替証拠金取引」。いわゆる金融取引の一つです。その他「株式投資」なども挙げられています。

・ クラウドソーシング
→詳細は後述します。企業と専門的な職種を結ぶ役割を果たしています。

クラウドソーシングでライターデビュー?

クラウドソーシングは仕事を依頼したい人(クライアント)と仕事を受けたい人(ランサー)を結ぶしくみです。
たとえば企業で新しいウェブサイトを構築しようとしたとき、ウェブ制作会社にいちいち問合せをして、見積もりを取って云々という手順を踏みますが、クラウドソーシングの場合は「この納期、この料金でウェブサイトを作ってください」とクライアントが依頼を出すと、それに対して「やります」とランサーが手を挙げ、そのなかからどこに(あるいは誰に)依頼するかを決めるわけです。

役所の「入札」にちょっと近い感じがしますね。

① どんな仕事があるの

さて、このクラウドソーシングで募集のある求人ですが、主に下記のものがあります。

  •  システム開発・運用
  •  ウェブ制作・デザイン
  •  デザイン
  •  データ作成、入力
  •  写真・動画・音楽
  •  翻訳
  •  ライティング

前項で記載のとおり「専門的な職種」がメインになってきますので、知識がないとできなさそうな求人が多く見えますが、「文章を書くのは好きだし、ライティングならなんとかできそうだな。副業でライターデビュー……いいかも!」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

② 夢のライターデビュー

そんなわけで、クラウドソーシングのサイトでライティングに関する求人情報を開いてみると、これが結構たくさんあります。
テーマに沿った記事執筆、商品レビューなどなど。
金額は案件によって記載は異なりますが、特段何か専門的知識に長けた人向けではない、一般的な案件ですと「よくても1文字1.5円」あたりです。

③ 皆さんの月収は時給換算するといくら?

たとえば、月収20万円で、1日8時間労働×月20日の人がいたとします。
この人の月収を時給に換算すると

20万円÷(8時間×20日)=1,250円

1文字1.5円の案件で、原稿用紙3枚分(1,200文字)を1時間で書き上げるとしたら、1,800円になります。
ですので、まあまあ割りのよさそうな仕事に思われますが、執筆にあたっては、何かを参照したりといった「下調べ」の時間が必要になります。
また、現実問題として1時間で1,200文字を書けるのか……ということもあります。

もちろん、「収入の足しに」と考えた場合には「会社の仕事より割安」であっても、そこまで問題ではないと思いますが、たとえば国が声高に言っているような「スキルアップ」といった点からは、ちょっとしょっぱい気がしてきます。

現状では、それらしい「副業」はできない?

長々と書いてまいりましたが、前提にあるのは「平日日中は会社で働き、隙間時間に副業をする」ということです。
そうすると、よほどご自身で「新しい仕事」や「新しい商売」をひらめかない限りは、なかなか「お小遣い稼ぎ」以上の副業ができなさそうです。

まして、夜遅くまで副業に精を出し、翌日の本業が眠くて仕事にならない……なんてことになったら本末転倒ですしね。

雛が先か卵が先かの議論ではありませんが、「兼業・副業」を進めていくうえでは、「就業規則で『副業・兼業』の項目を上書きする」のではなく、そもそも「週に5日」「9時から17時まで会社で働く」といった「今の就業ルール」を根底から覆す必要があるように思われます。

<参考>
・ 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」

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蜂谷未亜株式会社ドクタートラスト 編集長

投稿者プロフィール

出版社勤務を経てドクタートラストに入社。産業保健や健康経営などに関する最新動向をいち早く、そしてわかりやすく取り上げてまいります。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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