罪悪感で休めない?有給休暇を心置きなくとるために

学生たちも夏休みに入り、子どもたちも親の夏休みを心待ちにしているこの時期。
お盆休みをとる人も多いのではないでしょうか?
有給休暇を利用して存分に休みを満喫するぞ!とワクワクする気持ちとは裏腹に、
実は罪悪感を感じていたりしませんか?

日本の有休消化率はワースト2位

エクスペディア・ジャパンが2015年に行った26ケ国、18歳以上の有職者男女を対象とした有給休暇・国際比較調査では、日本の有給休暇取得率は韓国に次いで下から2番目という結果となりました。
現在オリンピックで盛り上がるブラジルは、30日間の有休に対して消化率100%であるのに対し、日本は20日間の支給に対して消化率60%。

昨年度の同調査では50%であったことから、10%向上しているものの、他国に比べると支給率も消化率も決して良いとは言えない状況です。

また、厚生労働省発表の平成27年就労条件総合調査結果によれば、日本企業における有休取得率は1,000人以上の企業では52.2%、300~999人の企業では47.1%、100~299人の企業で44.9%、30~99人では43.2%と、会社の規模が小さくなるに従って取得率が下がっていきます。

さらに驚くべきことは自分の有休支給日数を知らない人の割合です。
有休消化率が最下位である韓国でさえ、支給日数を知らない人は23%。アメリカは16%であるのに対し、日本は53%と半数が知らないと回答。これは驚くべき状況といえるでしょう。

世界で最も有休取得に罪悪感を感じる国

同調査の中で、有休取得に罪悪感を感じるかという調査でも日本はワースト1位。
さらに、Yahooが行った有休取得に罪悪感を感じるか、という調査では「感じる」と答えた人の割合は38%。5人中2人は罪悪感を感じながら有休を取得しているのです。
その理由について、1位は「人手不足」という結果が出ています。

前述の通り、大手企業であればあるほど有給の取得率が上がっているのは、大人数であるからこそのフォロー体制等がしっかりでき上がっているからとも考えられます。

有休とは本来、仕事を忘れて休息をとりリフレッシュするためのもの。罪悪感を感じているようでは、本当に休めているかどうか心配です。

有休は権利だが、事前申請が必要

皆さんもご存知の通り、会社は労働者が有給休暇を取得したいと申出た時に、その理由によって有給休暇取得を断ることは出来ません。

有給休暇は労働者の当然の権利として与えられているものだからです。
万が一「会社として業務の正常な運用を妨げる理由」があった場合に限り、会社は時季変更権と呼ばれる権利を利用し、有給取得を別の日にしてほしいと命令することはできます。もちろんそれはあくまで「時季を変更してほしい」という命令であり、休んではならないという命令ではありません。

会社は就業規則により労働者に有給休暇を付与し、労働者は会社との取り決めの中で有給休暇を取得します。
時季変更権が行使されなければ、双方合意の上で取得しているということです。

しかし、会社に拒否をされないならいつどんなタイミングでどのように休んでもいい、というふうに考えるべきではありません。有休を取る前にしっかりを自分の仕事の調整を行う等、できる限りの配慮は必要でしょう。

そして、有休取得には事前申請が必要だということも覚えておきましょう。

有休取得率を上げるために企業ができること

有給休暇を取ることを会社が推奨すること。
そして有給休暇中、しっかりと休める体制を整えること。
これが消化率を上げるための最も大切な取り組みではないかと思います。

例えば、休暇をとる人を批判するなど、取得を悪いことと感じるような対応をしていないか。
例えば、休暇中に仕事のことを思い出すような連絡をしていないか。

そうした小さなことも有給休暇の取得率を上げるための第一歩です。
産業保健新聞では他にも企業ができる有休取得率を上げるためのアイディアもご紹介しています。

社員の有休取得率を上げる企業アイディアあれこれ

これからの夏休み、ぜひ有給休暇を取ってしっかりリフレッシュしてくださいね。

 

参考調査

■世界26ヶ国 有給休暇・国際比較調査2015
・サンプル数 :計9,273名/26カ国
・年齢: 18歳以上の有職者男女(フルタイム、パートタイム、自営業)
・調査対象:日本、インド、アラブ首長国連邦、オーストラリア、韓国、香港、シンガポール、マレーシア、タイ、ニュージーランド、米国、カナダ、メキシコ、ブラジル、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オーストリア、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、アイルランド、オランダ、フィンランド
・調査方法:インターネットリサーチ
・調査会社: Northstar
・調査期間:2015年10月6日~10月22日

■Yahoo意識調査 有休取得に罪悪感を感じる?

・投票数:63,929
・実施期間:2014年12月11日~2014年12月21日

 

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大沼 泉株式会社ドクタートラスト ストレスチェック研究所

投稿者プロフィール

結婚・出産・育児といったライフイベントを乗り越えながら女性がいきいきと働くには、どんな職場環境が望ましいのか。ブラック企業から転職し、産休育休を経た経験をもとに、産業カウンセラー、そして働くママ社員の立場からさまざまな情報をお伝えしてまいります。
【保有資格】産業カウンセラー
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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