加熱式たばこなら大丈夫!?知っておくべき身体への害と企業ができること
- 2025/3/21
- 禁煙

我が国において、加熱式たばこは世界に先駆けて2016年より発売が開始され、その後急速に流行しています。
習慣的喫煙者の約3割が使用するまでに流行しており、特に20~40代の流行が顕著です。
そんな中、2025年2月にJT(日本たばこ産業株式会社)が加熱式たばこを含む24銘柄の値上げを申請しました。
認可されれば2025年5月1日から小売価格が20円引き上げられます。
現在、加熱式たばこの税率は紙巻たばこの約8~9割にとどまっていますが、2027年度以降にはすべての加熱式たばこの税率が紙巻たばこと同じ水準に引き上げられる予定です。
昨今の加熱式たばこの普及に伴い、税率の引き上げと価格の上昇が見込まれています。
今回は、現在注目されている「加熱式たばこ」の基礎知識についてお伝えします。
加熱式たばこの影響
「紙巻たばこ」は、たばこ葉を燃焼させて喫煙しますが、「加熱式たばこ」はたばこ葉を加熱して喫煙します。
「加熱式たばこ」の主流煙には、多くの種類の有害物質が含まれるものの、ニコチン以外の物質の量は少なかったと報告されています。
しかし、販売開始からの年月が浅いため、長期使用に伴う健康影響はまだ実は明らかになっていません。
どちらのたばこもニコチンが含まれており、発がん性物質が含まれている可能性もあるので、すべてのたばこにがんなどの健康への影響の懸念があります。
また、がん以外にも脳卒中のリスクや循環器疾患の発症リスク、また男女のホルモンへの影響もあり、特に、女性は妊娠・出産への影響も高まります。
受動喫煙の影響
たばこの煙には3種類の煙があると言われています。
・主流煙…喫煙者自身が吸いこむ煙
・副流煙…火のついたたばこから立ち上がる煙
・呼出煙…喫煙者が吐き出す煙
実は、副流煙に含まれる有害物質は、主流煙より濃度が高いことがわかっています。
そのため、脳梗塞の発症リスクは非喫煙者の1.3倍、虚血性心疾患は1.2倍、肺がんは1.3倍発症リスクが高まり、乳幼児突然死症候群はなんと4.7倍に高まります。
また、喫煙をすると、呼気が喫煙前の状態に戻るまで45分かかるといわれています。
分煙やマナーを守っていたとしても、周りの人へ知らず知らずのうちに影響を与えています。
企業が出来る禁煙支援
従業員の健康は企業の生産性向上に不可欠です。
喫煙はさまざまな健康リスクを高めるため、企業として禁煙支援に取り組むことは、従業員の健康を守り、ひいては企業全体の活性化につながります。
具体的な禁煙支援策の例としては、以下が挙げられます。
(1)禁煙に関する情報提供
・喫煙の健康リスク、禁煙のメリットに関する情報を、社内報やポスターなどで周知する。
・禁煙方法(ニコチンパッチ、禁煙外来など)に関する情報を提供する。
・禁煙に関する相談窓口を設置し、専門家(医師、保健師など)による相談機会を設ける。
(2)禁煙プログラムの実施
・禁煙セミナー、ワークショップなどを開催し、禁煙に必要な知識やスキルを習得する機会を提供する。
・禁煙チャレンジなど、参加型のイベントを実施し、禁煙を促進する。
・禁煙成功者への表彰制度を設け、モチベーションを高める。
(3)職場環境の整備
・職場内を全面禁煙とする。
・喫煙場所を撤去、または隔離する。
・禁煙を推奨する雰囲気づくりを行う。
(4)禁煙治療のサポート
・禁煙外来の費用を補助する。
・禁煙補助薬の購入費用を補助する。
(5)産業医・保健師によるサポート
・産業医、保健師が禁煙相談に応じる。
(6)外部機関との連携
・地域の医療機関、禁煙支援団体などと連携し、禁煙に関する情報提供やサポート体制を強化する。
禁煙支援で健康的な職場環境を構築
禁煙支援は、従業員の健康を守るだけでなく、企業のイメージアップにもつながります。
企業全体で禁煙を推進し、健康的な職場環境を構築しましょう。
<参考>
・厚生労働省「加熱式たばこにおける科学的知見」
・e-ヘルスネット「加熱式たばこの健康影響」
・厚生労働省「加熱式たばこの規制強化」