
2025年1月30日に公益財団法人日本生産性本部が「第16回 働く人の意識に関する調査」(以下、本調査)を公表しました。
本調査は働く人の意識の変化を把握することを目的に、20歳以上の企業・団体に雇用されている1,100を対象に実施したものです。
働く人がどのような意識を持っているのか見ていきましょう。
日本の景況

出所:公益財団法人日本生産性本部「第16回 働く人の意識調査(PDF)」
働く人の景況感は「悪い」「やや悪い」と回答した割合が59.0%であり、2024年7月調査時の59.9%からわずかに減少しました。
一方、「良い」「やや良い」との回答は8.8%であり、改善の兆しは見られないが、今後の景気見通しについても、「どちらとも言えない」が39.9%で最多となり、先行きに対する不安が続いています。
また、社会的制度・システムに対する信頼性については、「政府(国)」への信頼は25.3%で、わずかに上昇したものの依然として低い傾向です。
勤め先への信頼と職場の変化・生産性

出所:公益財団法人日本生産性本部「第16回 働く人の意識調査(PDF)」
勤め先が健康に配慮していると感じる割合は合計66.3%と、前回調査より増加しました。

出所:公益財団法人日本生産性本部「第16回 働く人の意識調査(PDF)」
また、「勤め先の業績に不安を感じる」との回答は47.7%で、前回よりやや増加し、自身の雇用に不安を感じる割合は48.3%で、10回連続で50%未満を維持しましたが、過去とくらべるとやや低下傾向です。
2020年は、新型コロナウイルスの影響もあり、勤め先の業績に「かなり不安を感じる」と回答した雇用者はここ5年以内で最多でしたが、年を重ねるごとに減っているのがわかります。

出所:公益財団法人日本生産性本部「第16回 働く人の意識調査(PDF)」
一方、勤め先への総合的な信頼度は、「信頼している」が9.6%、「まずまず信頼している」が48.6%で、合わせて58.2%となり、前回より増加しました。
信頼度と最も関連が強いのは「健康への配慮」であり、業績や雇用の不安よりも影響が大きいことがわかりました。
次に生産性について見ていきましょう。

出所:公益財団法人日本生産性本部「第16回 働く人の意識調査(PDF)」
職場での生産性向上の取り組みとして、「業務の進め方の効率化」(38.4%)、「情報共有の推進」(36.2%)、「コスト削減」(35.9%)が多くの職場で実施されていました。
一方で、新商品・新サービスの導入は26.4%にとどまり、業務効率化に重点が置かれていることがわかります。

出所:公益財団法人日本生産性本部「第16回 働く人の意識調査(PDF)」

出所:公益財団法人日本生産性本部「第16回 働く人の意識調査(PDF)」
また、従業員数が多い企業ほど生産性向上の取り組みが進んでおり、100名以下の企業と1,001名以上の企業では、実施率に20ポイント以上の差が見られました。
さらに、テレワーカーのほうが生産性向上の取り組みへの認識が高く、実施率も非テレワーカーを大きく上回っています。
従業員の生産性を考えて、テレワークを実施していない企業は導入を検討するなどといったヒントになるかもしれません。
兼業・副業

出所:公益財団法人日本生産性本部「第16回 働く人の意識調査(PDF)」
「現在、兼業・副業を行っている」との回答は9.3%で、前回より少し増加しました。
しかし「行う気はない」と回答した人は調査を重ねるごとに増加傾向です。

出所:公益財団法人日本生産性本部「第16回 働く人の意識調査(PDF)」
「副業を行ってみたい」と回答している方の兼業・副業の実施意向は雇用不安と関連しており、雇用に不安を感じている層では、合計49.3%が実施・希望しているのに対し、不安を感じない層では24.4%にとどまりました。
では、勤め先は今後どのような教育を提供しなければならないのでしょうか。
雇用者が今後具体的に伸ばしたいスキルとしては、「ITを使いこなす一般的な知識・能力」(16.5%)、「専門的なIT知識・能力」(12.5%)が上位を占め、デジタルスキルの重要性が増していることが示されています。
また、「コミュニケーション能力・説得力」(12.2%)、「チームワーク・協調性」(10.3%)も高く、対人関係スキルの向上を求める声も多かったので、企業側として、ITを使いこなすためのセミナーや講習会などを開催してみてはいかがでしょうか。
本調査から、働く人の景況感は依然として厳しいものの、社会制度や勤め先への信頼感が若干回復していることや、副業を行なっている人が増加していることがわかりました。
本稿が、企業側で新しい取り組みや考えにつながるきっかけにつながれば幸いです。
<参考>
・ 公益財団法人日本生産性本部「第16回 働く人の意識に関する調査」