【保健師が解説】腸内細菌を整える食事のポイントは“増やす”と“元気にする”
- 2024/9/24
- 食事
腸内フローラ(腸内細菌)って?
ヒトの腸内には、細菌がおよそ1,000種類、100兆個も生息していることが知られています。
特に小腸から大腸にかけて多くの腸内細菌が生息しており、お互いに影響しあいながらバランスをとっています。
この腸内細菌が腸内にびっしりと隙間なく壁に張り付いている様子を顕微鏡で見ると、まるで「お花畑」、英語で言うと「フローラ」のように見えることから、「腸内フローラ」とも呼ばれています。
腸内フローラの種類
腸内フローラには「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類があります。
1) 善玉菌
善玉菌は、悪玉菌(後述)の侵入や増殖を防いだり、腸の運動を促したりすることにより、お腹の調子を整え、ヒトの身体に有用な働きをする細菌です。
代表例:ビフィズス菌、乳酸菌など
2) 悪玉菌
腸内で有害な物質を作り出し、悪玉菌が増えると、便秘や下痢、さらには肌荒れも引き起こしてしまいます。
また、大腸がんのリスクの上昇、糖や脂質の代謝にも影響しており、生活習慣病(脂質異常症や糖尿病、高血圧など)にも関わっていることが明らかとなってきています。
代表例:ブドウ球菌、ウェルシュ菌など
3) 日和見菌
日和見菌は、善玉菌、悪玉菌どちらにも属さない菌ですが、腸内で最も数の多い細菌です。
腸内の善玉菌・悪玉菌の数の多い方に同調して作用することが特徴です。
代表例:大腸菌(無毒株)、バクテロイデスなど
これら3種類の腸内フローラですが、理想的な状態とされるのは「善玉菌2割:悪玉菌1割:日和見菌7割」の割合です。
このバランスに腸内環境を保つことが大切で、悪玉菌優勢になってしまうと、日和見菌も同調して作用してしまうので、善玉菌を優勢にする必要があります。
次項より善玉菌を増やすための食事のポイントを解説します。
腸内環境を整えるための食事のポイント
腸内の善玉菌の割合を増やす方法は大きく分けて2つあります。
1) 善玉菌を増やす
1つ目は「善玉菌を増やす」方法です。
健康に有用な作用をもたらす善玉菌を直接摂取します。
食品では、ヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆やキムチなどの発酵食品や、漬物などにはビフィズス菌や乳酸菌が含まれていますが、これらの菌は腸内に住み着くことはないので、毎日続けて摂取することが望ましいとされています。
また、善玉菌は「生きたまま腸に届かないと意味がない」といわれがちですが、菌が死んでしまっても効果は期待できます。
2) 善玉菌を元気にする
2つ目は「善玉菌を元気にする」です。
善玉菌を元気にするには、「食物繊維」、「オリゴ糖」を摂取することが望ましいです。
食物繊維には、「水溶性食物繊維」「不溶性食物繊維」の2種類があります。
水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は、水に溶けるもので、腸内細菌のエサとなります。
代表例:ワカメや昆布など海藻類、サトイモ、バナナなど
不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は、便のかさが増えるので、快便感がアップします。
代表例:レンコンやゴボウなどの根菜類、キノコ
オリゴ糖
オリゴ糖は、ビフィズス菌などの善玉菌の栄養源となっており、それらを増やす効果があります。
代表例:大豆、タマネギ、ゴボウ、ネギ、ニンニク、アスパラガス、バナナなど
おわりに
腸内フローラのバランスが崩れていないかを自身で簡単にチェックできる方法が「便の観察」です。
理想的な排便は、黄色から黄色がかった褐色で、においがあっても臭くなく、バナナ状の形です。悪臭があったり、黒っぽい便が出ている時は、腸内フローラのバランスが崩れている可能性があります。
自身で気軽にチェックできますので、試してみてください。
食事では「善玉菌を増やす」「善玉菌を元気にする」ことが望ましいとご紹介をしましたが、食事以外の腸内フローラを整える方法としては、睡眠不足や不規則な食生活を正し、規則的な生活習慣を送ることや、ストレスをためないこと、運動も効果的です。
腸内環境を整えることが健康にもつながるので、ぜひ意識してみてください。