なんとなく身体がだるい原因はかくれ脱水?冬も熱中症になるって本当?

「原因はわからないけど、なんとなく身体がだるいな」「疲れが取れないな」最近そのような症状はありませんか?
実は、上記のような症状の一因に「かくれ脱水」が考えられます。
今回は冬でも起こり得る「かくれ脱水による熱中症」について解説します。

かくれ脱水状態

脱水は「水分摂取量の減少」、または「水分喪失量の増加」が発生することで起こります。
人間の体液は、汗や尿の他、皮膚からの水分蒸発によっても外へ出ていきます。
この現象を「不感蒸泄」といいます。
成人では1日に900ml(皮膚から600ml、呼気から300ml)程度ですが、湿度が低く、乾燥するこれからの季節は、この不感蒸泄が進むため、より体液が失われやすい傾向にあります。
また、冬場は夏にくらべると喉の渇きを感じにくく、水分摂取量も減りがちです。
このように、身体の外へ出ていく水分は多いのに身体の中へ補給される水分は少なくなっていくため、「かくれ脱水」になりやすくなるといわれています。

かくれ脱水の主な症状と発症タイミング

以下では、かくれ脱水の主な症状と発症タイミングを紹介します。

口の渇き

水分が足りていない主なサインです。
冬の寒さで喉が渇きにくいですが、温かい飲み物や水をこまめに摂取しましょう。

尿が濃い

主な脱水のサインとして尿の色が濃くなることがあります。
水分補給が必要な状態です。

疲労感

水分不足の状態により、体内の代謝が低下し、疲労感が増すこともあります。
また、脳への血流も悪くなるため、集中力が低下したり、注意散漫になることがあります。

循環器系症状

脱水症状が進行すると、めまいや立ちくらみ、動悸などの循環器症状が現れることもあります。

また、「かくれ脱水」になりやすいタイミングもあります。

・ 長距離の移動時や会議等があり、積極的に水分を取りづらいとき:人間の体内にある水分は、じっとしていても少しずつ失われていきます
・ 室内で暖房を使用しているとき:エアコン使用時は空気が乾燥しやすく、湿度が下がるので、体液が失われやすい状態といえます
・ 高熱や下痢の症状があるとき:高熱が出ている時や、下痢の症状がある場合は、平常時よりも多く水分が失われやすいです

症状が進むと、場合によっては点滴や入院が必要となってくる場合がありますので、速やかに受診しましょう。

かくれ脱水にならないために

冬でも「かくれ脱水」にならないように、以下のポイントを意識してみましょう。

1)こまめな水分補給を心がける

こまめな水分補給は、かくれ脱水を予防するために特に重要なポイントです。
特に暖房によって乾燥した空気にさらされることが多い冬場は、喉の渇きを感じなくても、こまめに水分を取るようにしましょう。
たとえば、朝食前後、入浴前後、のように水分摂取のタイミングを決めておくのもよいです。

2)室内の湿度を保つ

室内でのかくれ脱水の予防には、室温28度以下、湿度は50~70%を保つようにしましょう。また、室内でも乾燥することがあるので、加湿器の使用も良いと考えられます。

3)スキンケアも忘れずに

乾燥した空気は、肌からも水分を奪います。肌の乾燥を予防するために、化粧水や乳液、保湿クリームなどの使用を心がけましょう。また、唇も乾燥しやすいので、リップクリームも使用し、防ぎましょう。

脱水症状は夏場だけではなく、冬場も注意が必要です。冬場をより快適に過ごすために、まずはこまめに水分補給を行いましょう。

<参考>
・ 一般財団法人日本気象協会「熱中症ゼロへ 熱中症について学ぼう:熱中症のメカニズム」
・ 公益財団法人長寿科学振興財団「脱水症」
・ 一般社団法人日本救急医学会「不感蒸泄」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

楠原 綾香株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

大学時代から公衆衛生看護学に興味を持ち、保健師を志していました。大阪の病院で消化器外科・内科、回復期リハビリテーション病棟に勤務し、患者さまと関わっていくなかで、予防医学への関心も高まったことから、産業保健師として活動すべくドクタートラストへ入社。
看護以外に、新人教育や対面での学習会の開催もしてきました。これらの経験を活かし、保健師として情報を発信していきます。
【保有資格】看護師、保健師、第一種衛生管理者
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

この著者の最新の記事

関連記事

解説動画つき記事

  1. 【動画あり】「コロナかも」従業員が激増!会社はどう対応する?~コロナが疑われる従業員、休ませた場合の手当は会社が支払うべき?~

一目置かれる健康知識

  1. 夜勤勤務者は、いつ、何を食べると太りにくい?押さえておきたい食事のポイント
ページ上部へ戻る