たんぱく質を1日100g取るにはどうしたらよい?食事に「あれをちょい足し」
- 2024/4/24
- 食事
「たんぱく質」には、筋トレしている人が摂取する栄養素というイメージを持つ方も多いかもしれません。
けれどもたんぱく質は、栄養素のなかでも、炭水化物、脂質と並び体を動かすエネルギー源となる三大栄養素の1つであり、私たちの体に必要不可欠な栄養素です。
筋肉をつくる役割だけでなく、皮膚や髪、爪、臓器、骨、血液の主成分でもあり、なおかつ体のさまざまな働きを調節するホルモンや免疫物質にもなります。
また、感情をコントロールさせ、安定させるホルモン「セロトニン」を増やすためにも必要とされます。
つまり「たんぱく質」は、筋トレしている人だけでなく、心身ともに健康に過ごすためしっかり取ってほしい栄養素なんです。
たんぱく質の1日目安は男性100g、女性75g!
健康の保持・増進・生活習慣病の予防のために1日のエネルギー量や主要栄養素(35種類)をまとめた「日本人の食事摂取基準」では、成人のたんぱく質の摂取量について3つの基準を設けています。
① 推定平均必要量:男性50g、女性40g
② 推奨量:男性65g、女性50g
③ 目標量:18~49歳15~20%(1日に必要なカロリーのうち、たんぱく質で摂取する比率を示しています)
「目標量」の算出方法
30~49歳身体活動レベル2(普通)総エネルギーの15%で計算した値を示しています。
身体活動レベル2とは、「座って過ごすことが多いが、職場内で移動をしたり、立ち仕事をすることもある。 通勤での歩行や軽いスポーツを日常的に行う。出社をして働く活動スタイル」とされています。
①1日に必要な摂取カロリー(30~49歳):男性2,700kcal、女性2,000kcal
②1日に必要な摂取カロリーから1日のたんぱく質のカロリー量を算出:男性2,700×0.15(15%)=405kcal、女性2,000×0.15(15%)=300kcal
③たんぱく質は1gあたり4kcalなので、必要量(g)を算出:男性405÷4=100g、女性300÷4=75g
上記の計算により、たんぱく質摂取の「目標量」は男性100g、女性75gと導き出されました。
なお3つの基準(推定平均必要量、推奨量、目標量)には幅があります。
このうち「推定平均必要量」は、人による必要量の平均値。50%の人が満たすと推定された量です。
「推奨量」はほとんどの人(97~98%)が必要量を満たすと推定される量です。
そして「目標量」は、生活習慣病の予防のために日本人が当面の目標とすべき摂取量です。
筋肉量、筋力低下は、20~30代から起こります。
筋肉量や筋力を維持するため、若いうちからたんぱく質を意識しましょう。
なお「日本人の食事摂取基準」は5年に1度改定されますが、最新版では成人の年齢の区分とたんぱく質の目標量の下限値が引き上げられ、たんぱく質の積極的な摂取、およびフレイル予防の重要性を伝えています。
日本人の食事摂取基準2015年版(旧版)
年齢区分 | 目標量 |
18歳以上 | 13~20% |
日本人の食事摂取基準2020年版(最新版)
年齢区分 | 目標量 |
18~49歳 | 13~20% |
50~64歳 | 14~20% |
65歳 | 15~20% |
たんぱく質の摂取不足は、フレイルやサルコペニアにつながります。
特に50歳以上の方は、たんぱく質を意識した食事をしていく必要があります。
フレイル:健康な状態と要介護状態の中間の状態、つまり将来介護がなければ日常生活を送れないリスクが高い状態
サルコペニア:高齢になるにつれ骨格筋の量が低下し、筋力や身体機能が低下した状態
たんぱく質がしっかり取れるのは「定食」!不足しがちなメニューはどうしたら良い?
厚生労働省「令和元年の国民健康・栄養調査」によると日本人の平均たんぱく質摂取量は、男性78.8g、女性66.4gです。
目標とは約20gの差があることから、1日あたりプラス20g、1食あたり男性33g、女性25gの摂取を意識しましょう。
料理別のたんぱく質量
ご飯とお肉やお魚など定食のようなスタイルで食事をされている方は、たんぱく質を比較的に多めに摂取できています。
一方で菓子パン、パスタやうどんなどの麺類、サラダ、丼ものといった料理では、炭水化物の量が多く、たんぱく質の量が少なくなる傾向にあります。
ただし、丼ものでもかつ丼や親子丼では、たんぱく源となる卵、肉を使用しているため、たんぱく質が摂取しやすくおすすめです。
たんぱく質の多い料理を選ぶコツは、おかずである主菜に「重さ」があるかどうかを重視することです。
昼食をコンビニのパスタや菓子パンで済ませる方も多いと思いますが、ここに肉類や魚介類、卵、大豆製品、乳製品を1~2品足せると理想です。
また、最近ではスーパーやコンビニに「たんぱく質がとれる○○」「高たんぱく」と記載されたサラダやおかず、ヨーグルトなども販売されているので、迷ったら名前選んでみましょう。
もう1品買ったり、お金もかかるから手軽に食べたいという方は、飲み物で牛乳や豆乳などを選んだり、ゆで卵を1個プラスする方法だと費用も抑えられておすすめです。
<食品別のたんぱく質量の例>
・ 牛乳(200ml):6.8g
・ 豆乳(200ml):7.1g
・ ゆで卵1個:5.8g
たんぱく質摂取のコツは「大豆製品でちょい足し」
食事相談をしていると、サラダ、お肉やお魚などのおかず、ご飯を揃えている、または揃えようと意識している方が多い印象を受けます。
そうした方たちは、特に夜ご飯で質はたんぱく質をしっかり摂取できているようです。
一方で、朝食では時間がなく、パンやヨーグルトだけ、卵かけご飯だけといった方も多いです。
朝食を食べているだけでも素晴らしいことではありますが、たんぱく質の目標量からは比較しがちです。
そうした方たちからは「朝食でのたんぱく質摂取が難しいので、その分を昼食や夕食で多く取れば大丈夫?」といった質問をいただきますが、たんぱく質は常に分解されていて一度にたくさん取ってもため込むことが難しいとされています。
朝、昼、夜と同じバランスで量をとることが理想です。
もし、「たんぱく質摂取が難しい……」と思ったときは、以下のようにちょい足ししやすい「大豆製品」を取り入れるのがおすすめです。
大豆製品は、消化に時間がかかるので腹持ちも良く満足感もあり特に朝食にはおすすめです。
・ 卵かけご飯+納豆:1パックあたり8.4g
・ インスタントお味噌汁に+豆腐:1個あたり9.3g
・ ヨーグルト+きなこ:大さじ1杯で2.7g
朝は食欲がわかない方もいますし、たんぱく質の摂取量を増やすために食事量をいきなり増やすのは難しいと思います。
そうした方は、まず飲み物(牛乳、豆乳)でたんぱく質を取り入れてはいかがでしょうか?
今回はたんぱく質の摂取目標量や摂取するコツについて紹介しました。
現在の摂取量からプラス20g、男性1日100g、女性75gを目指していきましょう!
<参考>
・ 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
・ 厚生労働省「令和元年度国民健康栄養調査」
・ 公益社団法人東京都医師会「フレイル予防」
・ 厚生労働省e-ヘルスネット「サルコペニア」
・ 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」