毎年3/1~3/8は厚生労働省の定める「女性の健康週間」です。
女性が生涯を通して健康で明るく、充実した日々を過ごすための総合支援を目的として制定されています。
今日は女性を取り巻く健康問題の中でも、特に働く皆さんに知っていただきたい「痩せ」のリスクについてお伝えします。
痩せとは
体格を定量的に判断するにはBMIという身長、体重から算出される数値を用います。
BMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))
上記計算式の結果、18.5~25未満の方は「標準」、18.5未満の方は「痩せ」、25以上の方は「肥満」となります。
もちろん「肥満」の方はその解消が望ましいのですが、標準の数値以下である「痩せ」に該当する方も注意が必要です。
近年は、SNSの普及やボディイメージの変化から「痩せている=綺麗、好ましい」と考えている人が大変多いように感じます。
働く世代の女性の生活習慣をみても、摂取カロリーと消費カロリーがともに低く、「痩せ」であるパターンが散見されます。
また、痩せている女性に多いのが「隠れ肥満」といって体脂肪率が高く筋肉量が少ない状態です。
筋肉量が少ないことで燃費の悪い身体になり、生活習慣病のリスクが高くなります。
本記事を読んでくださった方は、これを機にご自身のBMIや運動習慣、計測できる場合は体脂肪率や筋肉量を把握してみていただければと思います。
痩せのリスク
近年の研究では、痩せている女性は糖尿病のリスクや将来のフレイルのリスクが高くなるといわれています。
順天堂大学の研究グループによると、標準体重の女性と比較して痩せている女性では、血糖値が正常より高い状態にある「耐糖能異常」の割合が約7.4倍だったそうです。
糖代謝についてはまだ明らかになっていない部分も多いのですが、研究内では、運動量や筋肉量が少ないことで、痩せているにもかかわらず、血糖値を下げるホルモンである「インスリン」の効きが悪くなってしまうことが原因として示唆されていました。
また、「フレイル」とは加齢によって心や身体が疲れやすく弱った状態のことをいいます。
運動習慣がほとんどなく筋肉量が少ないと、年齢を重ねた時に自分で歩くなど、日常動作をするときに支障が出る可能性が高くなってしまいます。
特に、脚の筋肉は全身の中で最も落ちやすい筋肉であり、20代をピークにどんどん量が減っていってしまいますが、自立した生活を送るうえで非常に重要な筋肉でもあります。
ですので、食事の量を減らして運動はあまりしない生活は、将来のご自身の体にとって非常にリスクの高い状態であるということになります。
痩せの改善方法
「痩せ」を改善するためには、食事での摂取カロリーと運動での消費カロリーのバランスを、高い水準でとることが重要です。
食事については、炭水化物、脂質、たんぱく質をそれぞれバランスよく食べるようにしましょう。
例えば、コンビニでおにぎりだけ、サラダだけ、という単品食べをするのではなく、【おにぎり+たんぱく質をとれるおかず(鶏肉や魚など)+サラダや具沢山のスープ】など、組み合わせて選んでみてください。
食事量を減らしている女性は、特にたんぱく質が不足しがちな傾向があるので、肉や魚のおかず、卵、豆製品、乳製品などを意識して取り入れるのがおすすめです。
そして、しっかり活動量を確保することも重要です。
理想は、歩く・走る・ストレッチをするなどの「有酸素運動」と筋力トレーニング(無酸素運動)を組み合わせて行うことです。
しかし、日頃運動習慣がなく、前述のような運動はハードルが高いなと感じる方は、少しでも「今より動くことを心がけるイメージ」で過ごすましょう。
私自身は、1日の目標歩数を決めてそれを達成できるように歩いたり、家で歯を磨いたり髪の毛を乾かす時間を活用してちょっとした筋トレなどを行うようにしています。
筋トレと聞くと「マッチョ」のイメージが強く敬遠する方もいるかもしれませんが、かなりの高強度のトレーニングでなければマッチョになることはありません。
疾患予防のため、代謝を落とさないためにもぜひ活動量を増やしていきましょう。
本記事では女性の痩せについてまとめました。
将来を見据えた健康づくりを目指して、バランスの良い食事と日頃の活動量を増やすことを心がけていただければと思います。
【参考文献】
Motonori Sato.et al.「Prevalence and Features of Impaired Glucose Tolerance in Young Underweight Japanese Women」(『The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism』Volume106、Issue5、May 2021、Pe2053–e2062)