人材確保のカギは両立支援~働く世代が企業に求めること~

2023年度も残すところ1か月となり、新入社員を迎え入れる季節が近づいてきました。
将来有望な人材の確保は、各企業共通の最重要課題となりつつあります。
そこで今回は「こども未来戦略」から見えてくる人材確保のポイント「育児と仕事の両立」について説明します。

人口減少による労働力確保の難航

人材の確保と切っても切り離せない問題が、労働力人口の減少です。
日本の人口は、ここ100年で急激に減少しており、就活市場においても、売り手の状況が続いています。
特に15歳~49歳の人口減少は今後加速していく見込みのため、企業の労働力確保はより困難になることが予想されます。
では、就職活動中の学生や転職を希望する社会人のニーズはどこにあるのでしょうか。

働く世代が望むこと

学生のニーズ

学生の働き方に関する意識を調査したところ、共働きや育児休暇取得を希望する声が大きいことがわかりました。
特に男子学生はここ最近の意識の変化が目立ちます。
株式会社マイナビが2023年2月に公表した「マイナビ 2024年卒 大学生のライフスタイル調査」によると「育児休暇を取って子育てをしたい」と回答した男子学生の割合は、2019年卒世代までは40%を切っていたにもかかわらず、2024年卒では61.3%に達しており、その差は約20ポイントにも上っています。
「共働きが望ましいと考える割合」についても64.1%と、ともに6割を超えている結果です。
それ以外の部分でも、残業時間や休日出勤の実態、在宅勤務やフレックス制度の有無などを確認しているという回答が多く、ワークライフバランスに重きを置いていることがわかります。

社会人のニーズ

株式会社マイナビが2023年3月に公表した「転職動向調査2023年版」によると、20代の転職経験者が、現在の会社を転職先に決定した理由としては「休日や残業時間が適正範囲内で生活にゆとりができる」を選択する人が多く、フレックス制度やリモートワーク制度を希望する意見も見られました。
この結果から、就業した後も学生同様に、プライベートとの両立のしやすさを重視する傾向が強いことがわかります。
また、株式会社日本能率協会総合研究所が2023年3月に発表した「仕事と育児の両立等に関する実態把握のための調査研究事業 令和4年度厚生労働省委託事業」によれば、出産や育児のために辞職した女性は1年間で14万人を超えており、うち3割の女性が仕事を続けたかったと回答していることから、短時間勤務やテレワークなど、育児と両立できるような制度を設けることは人材の流出防止にもつながると言えます。

企業が取り組むべき両立支援

政府はこのような状況を受け、2023年12月22日に「こども未来戦略」を策定ました。
この戦略では、男女が共に働き共に子育てをする「共働き・共育て」を推進することを掲げています。
具体的な施策としては、男性育児休暇取得率の目標の大幅な引上げや、3歳~小学校就学前までの間の柔軟な働き方を実現させるための措置(フレックスタイム制度や短時間勤務制度など)などがあげられます。
また、目標を掲げるだけでなく、本戦略では中小企業に対する助成措置を大幅に強化されていることも注目のポイントです。
企業が人材を確保していくためには、従業員が子育てなどの私生活と仕事を両立できるような体制を整備していく必要があります。
それには、政府が打ち出している制度や方針をしっかりと理解し、うまく活用していくことが近道です。

就労と育児を両立できない働き方の問題は、人口減少の要因の一つとしても上げられます。
そのため、男女の垣根を超えた子育てと仕事の両立支援は企業に労働力確保につながるだけでなく、日本の人口減少を食い止める糸口にもなると言えるでしょう。
今一度自社の採用戦略について見直し、働きやすい職場の構築を目指してみてはいかがでしょうか。

<参考>
・ 株式会社マイナビ「マイナビ 2024年卒 大学生のライフスタイル調査」
・ 株式会社マイナビ「転職動向調査2023年版」
・ 株式会社日本能率協会総合研究所「仕事と育児の両立等に関する実態把握のための調査研究事業 令和4年度厚生労働省委託事業」
・ 厚生労働省「人口減少社会への対応と人手不足の下での企業の人材確保に向けて」

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伊藤 早紀株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

体調を崩したことをきっかけに、健康の大切さを多くの人に伝えたいと思うようになり、ドクタートラストに入社いたしました。
ダンサーとしても活動をしているため、自身の特殊な経歴を生かし、さまざまなバックボーンの方に寄り添った記事を発信していきます。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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