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コロナ5類移行後、初の社内流行~圧倒的に多い症状は発熱や咳~
- 2023/8/1
- ドクタートラストニュース, 新型コロナウイルス
2023年5月8日、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下、感染症法)」における新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の位置づけが2類相当から5類に移行されました。
それと同時にテレビやニュースでの報道も少なくなり、街や職場でマスク着用をしている人も減少しました。
「コロナは過去のもの」という印象の方も多いのではないでしょうか。
しかし、「産業保健新聞」運営元のドクタートラストでは、6月末から7月中旬までの3週間で、計13名の社員が「コロナ陽性」になりました。
これは全社員のうち14.9%を占めます。
過去にも感染拡大期には、社内で数名のコロナ陽性者が発生しましたが、今回が最大の陽性者数でした。
そこでドクタートラストでは、衛生管理者である保健師がコロナ陽性となった13名の社員から感染時の症状や医療機関受診状況などをヒアリングし、実態を調査しました。
本記事は一企業の、あくまで自由記載の個人ごとの報告を集計したものではありますが、現在のコロナの様子を知る一助になれば幸いです。
どんな症状が多多かった?
※呼吸器症状=咳や痰など
13人の陽性者から「どんな症状だったか」をヒアリングしたところ、もっとも多かったのが「発熱」で100%でした。
38℃以上の高熱がほとんどであり、なかには40℃の発熱がみられた社員もいました。
次いで多かったのは咳や痰といった「呼吸器症状」でおよそ85%(11人)でした。
そのほかには、味覚障害や嗅覚障害の出た方もいました。
症状の継続期間は、発熱は2日程度で治まったものの、一方では呼吸器症状や嗅覚障害や味覚障害などの症状が2週間程度長引いている方もいました。
なお、本結果には注意が一点あります。
それは、発熱の症状が出た場合は大半がPCR検査や抗原検査を受ける一方、喉の痛みや倦怠感といった体調不良では、感染を疑うことなく市販薬の服用などで対応、検査を受けない例もみられる点です。
コロナ陽性者が必ず発熱するわけではありません。
医療機関の受診状況
発熱などの体調不安を感じた際、気になるのは「すぐに医療機関を受診できるか」ではないでしょうか。
かかりつけ医があったため、すぐ受診できた方もいましたが、全国的にコロナ以外にもインフルエンザや風邪が流行しており、受診から薬の処方まで4時間かかった方、そもそも当日は予約がいっぱいで受診が翌日以降になった方もいました。
また、5類に移行したことで幅広い医療機関で受診が可能になる見通しが政府からは示されていたものの、「かかりつけの患者しか受け入れない医療機関もあり、医療機関探しが難しかった」という意見もありました。
5類感染症に移行したものの、ウイルスが弱毒化したわけではありません。
受診時には裏口のような場所やほかの患者とは違う場所など、空間を仕切って対応している医療機関もあるようです。
また、2類相当に指定されていたときは公費負担で無料だった検査費用が、5類移行に伴い自己負担(保険診療)となったことで、検査を受けるかどうか説明を受けた方もいました。
検査方法に関しては、その場で結果がわかる抗原検査や、コロナとインフルの両方測定できるPCR検査があったようです。
「受診が大変だった」という意見もあり、抗原検査キットを自宅に準備するほか、発熱したらどの病院を受診するかを事前に検討しておくことが必要だと考えます。
処方内容
同じコロナであっても、処方された薬などは、はさまざまでした。
咳止めや解熱剤などを5~6剤処方された方もいれば、解熱剤のみだった方も数名みられました。
新型コロナウイルスの経口治療薬を処方された方は2名で、どちらの方も内服後、翌日には症状が軽快し、呼吸器症状や味覚障害、嗅覚障害はなかったとのことでした。
また、発熱と夏の暑さによって通常より発汗し、喉の痛みなどの呼吸器症状でうまく水分が摂取できなかったことから脱水状態になり、受診の際に点滴を受けた社員もいました。
会社に求められる対応とは
社内全体の対応
コロナウイルスの排出は発症2日前からとされています。そのため、発症前の感染者と一緒に食事を取る、マスク着用なくオフィス内で会話したなどが、コロナの感染拡大の要因となってしまったのではないかと考えられます。
5類移行後は感染症法に基づき、基本的に感染症対策は個人の判断にゆだねられています。
ドクタートラストでは、感染者が10名を超えたタイミングでの対応策として「フルリモートの推奨」を行い、出社率を20%程度に抑え、人との直接の関わり減らす対応を取りました。
フルリモート移行後の感染者は1名にとどまり、流行は収まりました。
コロナ陽性者の勤怠取り扱い
ドクタートラストでは、コロナ陽性者の勤怠取扱いは、インフルエンザ同様に学校保健法を参考に下記の対応を行っています。
・発症日を0日として、5日間を経過し、症状が軽快した後1日を経過するまで出社停止
・出社停止の5日間のうち、上限3日まで特別休暇を付与する
体調によっては、上長の許可が下りれば在宅勤務を認めています。
そのため、3日間は特別休暇を取り、2日間は在宅勤務を選ぶ方もいました。
こうした制度が設けられていたことから、体調不良にもかかわらず無理して出勤を続ける人はおらず、受診にも前向きだったと考えられます。
前記のとおり「感染に伴う症状の種類」には個人差があります。
体調不良の際には、抗原検査や受診など、症状を悪化させない、周囲にうつさない行動が必要です。
そのためにも、会社としては安心して休める環境を作る、抗原検査キットを購入して社員に配布する、特別休暇の付与など、事前の対応を検討しておきましょう。
コロナは5類に移行しましたが、ウイルスの感染力が低下したわけでもなく、感染による症状が軽くなったわけでもありません。
引き続き、ストレスを緩和する、よく寝てよく食べるといった基本的な生活習慣を整えることも必要です。引き続き、ドクタートラストでは、産業保健に関する最新情報も発信していきます。
<参考>
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について」