未だ収束の兆しが見えない「新型コロナウイルス」。
集団感染が発生した大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号の乗客は、14日間も船内に隔離され下船することができませんでした。
乗客の中にはその間仕事を休まなければならなかった方もいることでしょう。
このような場合、休んだ分のお給料はどうなるのでしょうか。
有給休暇を使用する、もしくは欠勤となり休んだ分だけお給料が減ってしまうのでしょうか。
使用者の責に帰すべき事由
賃金は、原則としてノーワークノーペイの原則に従い、労務の提供がなされないときは会社側に支払い義務は生じません。
しかし、労働基準法では「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければならない」と定めています。
厚生労働省は「2020年2月1日付けで新型コロナウイルス感染症が指定感染症として定められたことにより、労働者が新型コロナウイルスに感染していることが確認された場合は、感染症法に基づき、都道府県知事が就業制限や入院の勧告等を行うことができることとなり、それに従う必要がある」としています。
この場合、国の要請に応じる形となり使用者の責に帰すべき休業に該当するとは言えず、賃金の支払い義務、すなわち60%の休業手当支払いは発生しないと考えられます。
今回の船内に隔離された乗客のケースでは、感染しているかどうかにかかわらず使用者の責に帰すべき事由には該当しないことから、必ずしも休業手当を支払わなければならないということにはなりません。
判断はどっち?
新型コロナウイルスに限らずインフルエンザなども同様に感染しているかどうかわからない時点で、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休む場合は、通常の病欠と同様に取り扱われます。
しかし、たとえば熱が38度以上あることなど一定の症状があることのみをもって一律に労働者を休ませる措置をとる場合のように、使用者の自主的な判断で休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があるでしょう。
傷病手当金
医師が「療養のため労務不能」と認めれば、業務外の事由による病気やケガのために仕事を休み、会社から給与を受けられない場合には、待期期間(3日間連続して休んでいること)を満たしたうえで、4日目の休みから健康保険の傷病手当金を受給することができます。
傷病手当金については以下の記事をご覧ください。
仮に病気やケガが業務上の事由と認められ、医師が「療養のため労務不能」と認めれば、休業4日目から労災保険の休業補償給付(賃金の60%)・休業特別支給金(賃金の20%)を受給できます。
また、最初の3日間の休業については、事業者が休業補償(賃金の60%)をする義務があります。
従業員が自主的に、または事業者の勧めにしたがって病院等に行き、行政上の措置に従って、または医師の判断等を尊重して自ら休業を選択した場合には、今回ご紹介したような休業補償を受けられない場合もあります。
だからといって無理に出社をし、結果的に周りの人にうつすようなことがあってはいけません。
感染症などにかからないためにも常日頃から手洗いうがいをしっかり行うことを習慣にしましょう。
手洗いうがいについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。