今年の冬は暖冬といわれていますが、それでも毎年この時期になるとインフルエンザが流行したりと何かと体調を崩しやすい季節です。
あなたがもし体調を崩して会社を休まなければならなくなったら。
もしくは会社の誰かが体調を崩して休んでしまったら。
1、2日であれば、有給休暇を使って休むこともできるでしょう。
しかし、長期間休まなければならず、欠勤で無給となってしまったら……。
考えるだけでも不安になりますよね。
今回は衛生管理者として、会社の人事として、もしくは自分自身のために知っておきたい、健康保険の制度についてお話ししていきたいと思います。
傷病手当金とは
傷病手当金とは、健康保険の加入者が、業務外の病気やケガで働くことができない状態になったとき、給与の2/3の額を最長で1年6ヶ月受け取ることができる制度です。
傷病手当金は健康保険協会、健康保険組合、共済組合から支給される給付です。
そのため、自営業者などの国民健康保険の加入者は対象になりません。
健康保険の加入者で、いくつかの条件を満たせば申請することができる傷病手当金。
冒頭でお話ししたようなインフルエンザなどの感染症により会社を休まなければならなくなった場合もそうですが、やむを得ず会社を休職した際や産休前にお休みに入らなければならなくなった場合でも申請することができます。
申請の条件は?
1. 対象は被保険者のみ
2. 仕事を4日以上休んでいること
療養のために仕事を休み始めた日から連続した3日間(待期期間)を除いて、4日目からが支給対象です。
3. 給与の支払いがないこと
給与が一部だけ支給されている場合は、傷病手当金から給与支給分を減額して支給されます。
有給休暇を使って通常通り賃金が支払われている場合は、申請できません。
4. 療養のため労務不能であること
労務不能とは、被保険者が今まで従事している業務ができない状態のことで、労務不能であるか否かは、医師の意見及び被保険者の業務内容やその他の諸条件を考慮して判断されます。
5. 業務外の病気やケガで療養中であること
業務上や通勤途上での病気やケガは労働災害保険の給付対象となります。
また、健康保険の給付対象とならない治療(美容整形手術など)のための療養は除きます。
傷病手当金の申請は、給与の支払い有無について会社側の証明が必要になりますので、1ヵ月単位で給与の締切日ごとに申請するのが良いでしょう。
申請の流れ
インターネットから「申請書類」を取得する
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本人記入欄に必要事項を記入
↓
病院で主治医に「傷病名」などを記入してもらう
↓
会社に提出する
会社が「勤務日数や給与の支払状況」などを記入し、健保組合等に提出する
傷病手当金を申請する時点で過去12ヵ月間に勤務先が変更した場合、もしくは定年再雇用等で被保険者証の番号が変更した場合、または退職後に任意継続被保険者になった場合は、別途書類の提出が必要ですので気を付けましょう。
また、傷病手当金の受給中に会社を退職した場合は、退職後の期間についても下記2点の条件を満たしていれば、引き続き残りの期間について傷病手当金を申請することができます。
・退職日までに継続して1年以上の被保険者期間(健康保険任意継続の被保険者期間を除く)があること。
・資格喪失時に傷病手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること。
退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないために資格喪失後(退職日の翌日)以降の傷病手当金は受け取ることができません。
傷病手当金の申請をしよう!
健康保険の加入者で一定の条件を満たせば申請できる傷病手当金。
労務につくことができず無給を余儀なくされた人にとっては非常にありがたい制度です。会社で長期休職者が出た際には、「傷病手当金」の受給資格があるか否かをまずは確認するとよいでしょう。