コロナ禍でリモハラやコロハラが急増!2022年ハラスメント実態調査からわかったこと

2022年3月28日、キャリアや就職・転職全般に関する研究や各種調査を行う機関「Job総研」を運営する株式会社ライボは、勤務先でのハラスメント被害の実情や、コロナ禍との関連、勤務先での防止対策などを調査した「2022年ハラスメント実態調査」を発表しました。
今回は、コロナ禍でのハラスメントの状況や内容、企業が取り組んでいる防止対策について詳しく解説します。

コロナ禍で「リモハラ」や「コロハラ」が増加

「2022年ハラスメント実態調査」によると、過去1年間で「実際にハラスメントの被害を受けた」と答えた方が31.9%、「当事者ではないが社内でハラスメントがある」と答えた方が11.7%で、43.6%の方が何かしらのハラスメントを感じているようです。
ハラスメントの内容は、「パワハラ」が64%と最多で、前年にくらべて15.7ポイント減少していますが、「リモハラ」が26.9%と前年にくらべて21.1ポイント増加し、「コロハラ」は24.2%と前年にくらべて20.7ポイント増加と、それぞれ20ポイント以上ずつ増加しました。
また、コロナ禍のハラスメントへの影響については、「影響している」と答えた方が55.4%。
増加したハラスメントとしては「コロハラ」が37.5%、「リモハラ」が35.9%、「パワハラ」が21.7%となり、「リモハラ」や「コロハラ」が多くを占める結果となりました。
この「リモハラ」や「コロハラ」は、新型コロナウイルスの流行によりニュースやSNSで話題になったこともあり、多くの人が耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「リモハラ」とは「リモートハラスメント」略称で、コロナ禍によりテレワークが主流になったことで、オンラインを介して行われるハラスメントで、常時カメラやWeb管理システムなどを起動させ監視することや、服装や化粧、部屋の様子について言及することを、また業務時間外に社員に連絡をとることを強要することをいいます。
一方、「コロハラ」とは「コロナハラスメント」の略称で、コロナウイルス感染症以外の病気や感染症などで咳をしていても、わざと距離をとるような行動をとったり、配偶者や家族が医療従事者であることを理由に出社を制限したりすることをいいます。

ハラスメントの防止対策とその内容

このようなハラスメントに対し、勤務先の対策について「十分な対策がされている」と回答した方が24.2%、「十分ではないが対策がされている」が44%と、半数以上の68.2%が何かしらのハラスメント対策がされている結果となり、「対策なし」が31.8%でした。
具体的な防止対策については、「相談窓口を設けている」が51.4%と最多で、次いで「ガイドラインの周知」が38.5%、「研修及び教育を実施」が31.1%という結果となりました。
半数以上の勤務先で、何かしらの対策がされているのはとてもいい傾向でしょう。
しかし、2020年6月から大企業でパワハラ防止法が施行され、2022年4月から中小企業も施行されることになり、すべての企業でこのパワハラ防止法が義務づけられているのに対して、3割ほどがまだ対策をしていないという結果は見過ごせません。
まだ対策を実施していない企業は、早急に取り組みましょう。

厚生労働省が発表しているハラスメント防止対策の具体例では、以下が示されています。

・ ハラスメントの内容、方針等の明確化と周知・啓発
・ 行為者への厳正な対処方針、内容の規定化と周知・啓発
・ 相談窓口の設置
・ 相談に対する適切な対応
・ 事実関係の迅速かつ正確な確認
・ 被害者に対する適正な配慮の措置の実施
・ 行為者に対する適正な措置の実施
・ 再発防止措置の実施
・ 業務体制の整備など、事業主や妊娠等した労働者等の実情に応じた必要な措置
・ 当事者などのプライバシー保護のための措置の実施と周知
・ 相談、協力等を理由に不利益な取扱いを行ってはならない旨の定めと周知・啓発

上記のうち「周知・啓発」は一度行えばいいというものではないので、すでに対策を実施している企業でも全従業員に定期的に以下のような工夫を行っていきましょう。

・ 定期的に研修を実施する
・ 管理職層を中心に階層別に分けて研修を実施する
・ 正規雇用労働者だけでなく、パート、アルバイト、派遣労働者などの非正規雇用労働者も対象に含めて研修を実施する
・ 新入社員の入社時期、異動の多い時期に合わせて研修を実施する

また、社内ネットワーク上に周知文書を掲載しているだけで、従業員側が知らないという場合もあるようです。掲載されていることを従業員側が知らなければ周知しているとは言えませんので、掲載や更新の都度、メールなどで従業員に周知しましょう。
社内アンケートなどで従業員のハラスメントへの意識や実態を把握したり、社内の対策について意見を聞くことは、職場におけるハラスメントの未然防止や働きやすい職場環境の整備に有効的なようです。

最後に

新型コロナウイルス感染症が流行し、2年以上が経ちますが、まだまだ「リモハラ」や「コロハラ」に対するハラスメント防止対策が充分でないと、今回の調査で明らかになりました。
また、テレワークが主流となったことによって、コミュニケーションが激減したことから起きているハラスメントが増えているとの結果から、これまでのコミュニケーションの形を考え直す必要があるでしょう。
ハラスメントは、個人の考え方や価値観の違いから発生します。
改めて相手と自分では考え方や捉え方が違うことを意識し、お互いを尊重したコミュニケーションや関わり方ができるよう、コミュニケーションのあり方について今一度、見直すことが重要になるでしょう。

<参考>
株式会社ライボ「2022年 ハラスメント実態調査」
厚生労働省「ハラスメントに関する法律とハラスメント防止のために講ずべき措置」

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丹野 雪株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

前職は鉄道会社で働いていました。鉄道業界は夜勤もあり不規則な勤務のため体調を崩す同僚も多かったので、働き方で悩んでいる方々の健康をサポートしていけたらいいなと思っています。
読みやすくわかりやすい情報を提供してまいります。

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