現在の採用市場は超売り手状態であり、若手社員の人材確保が難しくなっていると「産業保健新聞」でも以前ご紹介しました。
「人手不足が深刻化!若年層の定着率をUPするには」(産業保健新聞)
上記記事では、若年労働者の多くが「働きやすさ」に不満があり、退職する傾向があると説明しています。
逆にいえば、従業員にとっての「働きやすさ」を会社として考えていけば、優秀な人を含む人材の流出が防げるわけです。
かのビル・ゲイツは、人材について以下のように語っています。
<原文>
The competition to hire the best will increase in the years ahead. Companies that give extra flexibility to their employees will have the edge in this area.<翻訳>
今後の数年間、優秀な人材を確保する競争は一層激しくなります。
社員に十分な柔軟性を与える企業は他社より優勢を占めることができるでしょう。引用元:Bill Gates Says You Must Offer This Perk if You Want to Hire the Best People(Inc.)
つまり、優秀な人材確保につながる「働きやすさ」を目指すうえで重要なのは、フレキシビリティ(柔軟性・融通性)であるということです。
では、労働者は、働き方のどの部分に柔軟性を求めると思いますか?
大多数が思い浮かべるのは、以下の2つでしょう。
◎仕事をする「場所」の柔軟性:どこで仕事をするか
◎仕事をする「時間」の柔軟性:いつ仕事をするか
順番に考えてみます。
「場所」の柔軟性
場所の柔軟性と聞いて、一番最初に思い浮かべるのは、「リモートワーク」でしょう。
いわゆる「在宅勤務」のことです。
東京で電車やバスに乗って通勤している労働者からすれば、会社に行かず自宅で仕事ができるメリットは大きいです。
特に満員電車に長時間のって通勤することは相当なストレスであることもわかっており、リモートワークの導入は精神的にも余裕ができるでしょう。
地方の方で、車通勤している方はガソリン代の削減にもなりますね。
さらに、最近日本でも猛威を振るっているコロナウイルスは濃厚接触での感染が確認されており、満員の電車やバスはできれば避けたいものです…
なかには午前7時~10時に電車に乗ることを禁止し、満員電車をさけて通勤してもらうようにした企業もあるようです。
会社で仕事したい人は会社で、自宅で仕事したい人は自宅でと選択肢があり、状況によって働く場所を選べるという柔軟性がワーク・ライフ・バランスから見ても、今後会社には必要になってくるかもしれません。
「時間」の柔軟性
上記のように、「場所」も重要ですが、筆者はより「時間」の柔軟性が大切だと思っています。
なぜなら、筆者自身、以下のような場面で「もっとこういうふうに時間が使えたらな~」と思うことが多いからです。
・ 役所や銀行に行かなければならないとき(引っ越しをしたときが少々大変でした)
・ 通院しなければならない時(最近は、夜も19時まで開いているクリニックも増えましたが、その時間は大体すごく混んでいます)
他にも次のような状況が考えられます。
・ 子どもがいる方は保育園への送り迎え
・ 家族が病気の時の通院付き添いや介護
時間に柔軟性を与える制度として有名なのは「フレックスタイム制」です。
すべての社員が自由な時間に出勤退勤されては困る場合はコアタイムを設定し、他の時間の利用方法について労働者にある程度、裁量権を与えるだけでも違います。
フレックスタイム制度に関しては、以下の記事も参考にしてください。
「2019年4月から採用可能! 新フレックスタイム制度」(産業保健新聞)
メリットとデメリット
柔軟性ある制度を導入すると、どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
◎ メリット
従業員側のメリット
・ ストレス軽減
・ 平日に用事が済ませられる
企業側のメリット
・ 離職率が減り、従業員の定着が見込める
・ 従業員の仕事への満足度が高まる
・ 経費削減につながる
・ 生産性が向上する
経費削減?と思うかもしれませんが、働き方に柔軟性をもたせると、従業員側はより健康になるはずです。
健康になった従業員の生産性は向上し、かつ会社が支払う健康保険料は減るのです。
◎ デメリット
・ 従業員の自己管理能力に委ねられるため、ルーズな状態になる可能性がある
・ コミュニケーション不足
・ 急な会議などの対応が難しい
リモートワークやフレックスタイム制を導入する場合は、上記のようなデメリットをどうして改善していくかも考える必要があります。
コミュニケーション不足などは、社員同士のコミュニケーションを図れる社内のツールや電話面談などをうまく活用することで解消することができるでしょう。
時代が変われば、求められる働き方も変わります。
「いままでずっとこうだったから」ではなく、会社のためにも、従業員のためにも「これからどうやっていくか」を真剣に考えてみてほしいと思います。