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時短成功企業に学ぶ「とっておき残業削減術」
- 2016/10/24
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残業なんてしたくない。できることなら早く帰りたい。
それは誰もが抱く当然の感覚だと思います。
先日より報道されている電通や関西電力の社員の自殺に関しては、昼夜問わずの業務による過労や体を壊すほどの重圧が原因であるとして、労災認定を受けています。
考えてみれば、私たち社会人の生活は、仕事に大きく依存しています。
1日は24時間。睡眠時間を6時間取ったら、起きているのは18時間。
8時間勤務に通勤時間などを含めたら、起きている時間の約半分、残業をすればそれ以上、私たちは仕事に向き合っていることになります。
その時間を私たちは有効に使えているでしょうか。
会社は、その時間を社員がより効率的に使えるようになるための努力をしているでしょうか?
ここでは、社員の「早く帰りたい!」を実現させている会社から、今すぐにでも導入できる効率化の方法を学んで行きたいと思います。
ケース①株式会社ランクアップ
株式会社ランクアップは「5時ピタ退社」導入に成功した会社です。
震災の直後「帰り道が心配だから、仕事が終わっていたら5時に帰ってもいいよ」という暫定ルールを導入したことが始まりでした。
震災の余波が落ち着いてきたためそのルールを廃止しようとしたところ、5時退社のままがいい、という意見が複数の社員から上がったといいます。
施策1:会議は30分。パワポ資料は禁止!
ランクアップでは会議は30分と決まっているといいます。
しかし会議が30分で終わったとしても、その会議のための準備に2時間も3時間もかかっていては元も子もありません。
そこでPowerPointを利用した資料の作成は禁止となりました。
会議はコンパクトに、無駄なく。
その意識を会社全体に広げることで、過剰な業務を減らすことができるようになりました。
施策2:残業の多い社員を抽出・発表し、原因を皆で考える
社員の残業理由を分析するために、毎月残業の多い社員を抽出・公表し始めました。
それをもとになぜ残業が多いのか検討し、早く帰るための施策を考えるよう部署ごとに指示。
無駄な業務はないか、効率化を図れるところはないか…会社が業務の細部に介入していくことで、社員にも効率化への意識が募り、皆で一丸となって「早く帰ろう」というムードになったと言います。
ランクアップは女性社員が多く、育児中の女性が3割程。
30分でも早く帰りたいという希望が社員たちの中にあったからこそ、達成に向けてのモチベーションも高かったのだそうです。
目標を立て、そこに向かって社員皆で話を進めていくということが大切なのではないでしょうか。
ケース②SCSK株式会社
こちらの会社もかなり珍しい施策を導入し、残業の削減に成功した会社です。
この会社の取り組みは、残業時間が長かった32部署に残業時間半減の指令を下したところから始まります。
全社で集中的に残業時間削減に取り組んだことで成果は上がったものの、繁忙期を迎えると残業時間は急増。元の木阿弥となってしまいました。
このままでは残業削減は実現しない、という危機感のもと、なぜ残業がなくならないのかを根本から見直したといいます。
施策1:社員の生活を保障
なぜ残業が減らないかを検討していて、別の視点に気付かされることになりました。
それは残業を減らすことが社員にマイナスに働くこともあるという点、つまり「残業代」は、社員にとって大きな収入源であるという点でした。
そこでこの会社では、「残業代の還元システム」を導入しました。
50時間の残業を20時間に短縮できたら、30時間の残業代は全部翌年のボーナスで戻す、という施策です。
仕事を早く終えて帰っても、収入は減らない。それなら早く帰るほうが得。
仕事のあり方について社員が自分で考えられるよう、会社側が大きく働きかけをしていきました。
施策2:立ち会議の導入
残業を減らす有効な方法のひとつは、会議の短縮であることに気づきました。
そこで会議を立って行う「立ち会議」を導入し、長々とした会議を廃止することにしました。
座っていれば耐えられた長い話も、立っているために自然と短くなり、資料もコンパクトにわかりやすくして、効率的な会議を意識的に行うようになりました。
施策3:帰る時間を提示する
立ち会議のほかにも、「私は何時に帰ります」という宣言を目に見えるかたちで共有しよう、という運動を始めた部署もあります。
そのように宣言することで、自らに何時に帰るという目標を課し、改めて自分のタスクを見直し、整理すつことで、時間の効率化ができるようになったといいます。
実は、ここで取り上げた施策1や2は、社員が自発的に始めた取り組みだそう。
SCSK株式会社では、社員自らが「そうしたい」と思う環境を与えることが会社の役割という考えのもと、多くの取り組みにチャレンジしているようです。
「帰ろう」と社員が思える環境に
2社ともに、道のりは決して平坦ではなかったでしょうし、未だ改善の途上ではないでしょうか。
時短は、会社からの命令のようなかたちで強制的に帰らせたところで、持ち帰り残業のようになってしまっては意味がありません。
「無理やり帰らされた」と社員が感じるような施策ではなく、「自発的に帰ろう」「帰るために工夫をしよう」と思える環境を整えること。
会社としてまず行うべきは、そこからではないでしょうか。