キャリアコンサルタントの現状とその課題

2023年12月、厚生労働省は、「キャリアコンサルタント登録制度等に関する検討会報告書」を取りまとめました。
日々変化する社会環境や長期化が進む職業人生の中で私たちは自分の今後の人生についてどう過ごしていきたいか、どう働いていくのか、すなわちキャリア形成について考えていく必要があります。

筆者自身も転職活動の際に公的機関や自治体にてキャリアコンサルティングを受けたことがあります。
キャリアを通して自分がどのような人生を送っていきたいかを第三者の視点を交えながら考える非常に貴重な機会でした。
一方で初めて利用するまではなかなか勇気が出ず、どんなことを話して良いか分からないという不安があったのも事実です。

本記事はそんなキャリア実現の支援をするキャリアコンサルタント制度の現状と課題について解説していきます。

キャリアコンサルタント制度とは

キャリアコンサルタントは、労働者の職業の選択や職業生活設計、職業能力の開発、および向上に関する相談に応じ、助言・指導(キャリアコンサルティング)を行う専門家であり、国家資格のひとつです。
また、名称独占資格であるため、資格を持たない者がキャリアコンサルタントを名乗ることはできません

受験資格を得るためには、厚生労働大臣の認定を受けた養成講習(150時間以上)を受講するか、3年以上の実務経験が必要です。
試験に合格した者は登録を行い、キャリアコンサルタントとして活動することができますが、5年ごとに登録の更新をする必要があります。

キャリアコンサルタントの現状

2016年4月にキャリアコンサルタント登録制度が創設されてから 国家資格登録者は年々増加しており、2023年3月末時点で 約6.6万人となっています。
一方で、2022年度に独立行政法人労働政策研究・研修機構において実施された「キャリアコンサルタントの活動状況調査(第2回)」 では、キャリアコンサルタント登録者のうち、キャリアコンサルティングに関連する活動を行っている者は70.3%、 活動していない者が 29.7%という結果が分かりました。

活動していない理由として以下が挙げられました。

・ 関連のない組織・部署に所属(53.4%)
・ 関連する仕事(ニーズ)がない(34.7%)
・ 他の仕事などで忙しく、自分自身に時間的余裕がない(18.2%)
・ 所属する組織(企業)がキャリアコンサルティングに熱心ではない(17.0%)
・ 自分自身のスキル・知識に自信がない(16.7%)

この結果からキャリアコンサルタントの資格を取ったにかかわらず、その知識を活かせる場がなかなかないという現状が分かります。

また、2023年に厚生労働省が発表した能力開発基本調査では、キャリアに関する相談を利用した労働者は全体の10.5%であり、そのほとんどがキャリアコンサルタントではなく「職場の上司・管理者」に相談していることがわかりました。
企業内においては、従業員に対してキャリアコンサルティングを行う仕組みを導入している事業所は45.3%、そのうちキャリアコンサルタントを活用しているのは10.7%となっています。

上記の結果からキャリアコンサルティングを利用する労働者、従業員にキャリアコンサルティングを行う仕組みを導入している企業はまだ少ないことがわかります。

キャリアコンサルタントのニーズと今後の課題

一方で、昨今の激しく変化する社会環境に対応するために、新しい知識やスキルを学ぶことへの支援やキャリアアップや転職などの相談ができるキャリアコンサルタントのニーズは高まっています。
しかし、まだその活躍の場が少ないという現状があります。

こうした問題を解決するためには、まずはキャリアコンサルタント自身の知識・能力向上や講習内容のアップデート、労働者や企業に対してキャリアコンサルティングの特性や利用するメリットを正しく発信して理解してもらうことが必要となります。

また、自分のキャリアについて他人に相談することに抵抗があると感じる人も多いと思います。
そのため、気軽に利用できるキャリアコンサルティング相談窓口の設置も大切です。

<参考>
厚生労働省「キャリアコンサルタント登録制度等に関する検討会報告書」
厚生労働省「能力開発基本調査」

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瓜生 なつ株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

前職で体調を崩したことをきっかけに心身ともに健康で働くことの大切さを実感しました。自身の経験から私も活き活きと働く人を増やすお手伝いがしたいと考え、ドクタートラストに入社いたしました。
皆様のお役に立てるような情報の発信に努めてまいります。

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