感染不安と勤め先への業績期待は改善傾向に~5類移行後、働く人の意識はどうなった?~

2023年8月7日、公益財団法人日本生産性本部は「第13回 働く人の意識調査」結果を公表しました。
本調査は、組織で働く人を対象に、勤め先への信頼度や働き方に関する考え方などを定期的にアンケート調査しているものです。
第13回は新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)が、感染症法上の5類に移行してからおよそ2ヶ月が経過した7月に、組織で働く人1,100人を対象として、実施されました。
以下では、組織で働く人の感染や雇用への不安、また働き方への意識などがどう変化したかを、本調査に基づいて解説します。

新型コロナ感染に不安を感じているのは50.9%で過去最小

まず、自分自身が新型コロナに感染する不安の程度については、「かなり不安を感じている」が11.2%、「やや不安を感じている」が39.7%で過去最小でした。
2023年1月の調査では、「かなり不安を感じている」「やや不安を感じている」の合計(以下、「不安を感じている」)は66.8%だったことを踏まえると、5類移行が、働く人の感染不安に対して、大きな影響を及ぼしていることがわかります。
また、年代別に不安を感じている割合は以下の通りで、若い世代ほど、不安感が薄いようです。

20代:33.4%
30代:48.3%
40代:52.5%
50代:59.7%
60代:54.9%
70代以上:59.7%

また、不安感が薄まったことと呼応して、「不要・不急の外出」を避ける人も減少しています。
不要・不急の外出について「できるだけ避けるようにしている」が13.3%、「多少は避けるようにしている」が35.5%で、不安感同様に過去最小でした。
また、「まったく避けていない」は20.5%で、2023年1月の同結果10.6%とはおよそ2倍もの開きがあります。
実際、東海旅客鉄道株式会社が公開している「月次ご利用状況」によれば、2023年7月の東海道新幹線輸送量は対前年比で133%、また8月(8月8日時点、以下同じ)は150%と、大きく伸びています。
ただし、新型コロナの影響がなかった2018年とくらべると、7月は92%、8月は89%と、完全に回復したとは言い切れない状況です。

勤め先への不安は薄れる

勤め先が健康に十分配慮しているかの問いに対しては、「そう思う」が10.3%、「まずまずそう思う」が50.1%で、肯定的にとらえている人が6割以上いました。
また、勤め先の業績について、「かなり不安を感じる」が10.5%、「どちらかと言えば不安を感じる」が38.8%で、少しずつではありますが、業績不安も減少傾向にあります。
2023年6月に財務省が発表した「法人企業景気予測調査」では、大企業の景況感を示す指数がプラスの数値となっており、法人、個人ともに先行きに対して明るい期待を抱いているようです。

さらに、勤め先への信頼の程度については、「信頼している」が8.2%、「まず信頼している」が49.6%で、そこまで大きな変化はありませんでした。

テレワークの業務効率は向上している一方で、実施率は過去最低

また、テレワークの実施率は2023年1月の16.8%から15.5%に減少し、「働く人の意識調査」が始まった2020年5月以来、過去最低でした。
特に従業員規模別で1,001名以上の勤め先で前回34.0%から22.7%に減少し、全体の実施率低下に寄与しています。

その一方で在宅勤務における業務効率について「効率が上がった」が22.7%、「やや上がった」が48.9%でこれまでの調査では最高の数値となりました。
当初は「感染対策」を目的にテレワーク、在宅勤務を導入した企業も少なくありませんでした。
しかし今では新型コロナとは関係なく、人材確保の一環としてこれら働き方を導入しているところもIT系の企業を中心に見られます。
実際、今後もテレワークを行いたいかについて、「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」の合計は、2023年1月調査の84.9%から86.4%へと増加しています。


今回は、新型コロナが、感染症法上の5類に移行してからの、働く人の意識を見てきました。
コロナ禍は、働き方も含めた私たちの生活を大きく変化させ、それがアフターコロナと言われる現在にも少なからず影響を及ぼしていることがわかります。
企業においては、採用戦略を推進するうえでも、こうした意識とのすり合わせが求められるのではないでしょうか。

<参考>
・公益財団法人日本生産性本部「第13回 働く人の意識調査」
・東海旅客鉄道株式会社「月次ご利用状況」
・財務省「法人企業景気予測調査」

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蜂谷未亜株式会社ドクタートラスト 編集長

投稿者プロフィール

出版社勤務を経てドクタートラストに入社。産業保健や健康経営などに関する最新動向をいち早く、そしてわかりやすく取り上げてまいります。
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