ワクチン接種の副反応で発熱! 解熱剤はどうしたらいいの?
- 2021/7/1
- 新型コロナウイルス
当初の予定から遅れながらではありますが、少しずつコロナワクチンの接種が広まっています。
2021年6月14日時点で日本の接種状況は人口の14.6%(1回目接種を終えた人の割合)。
世界全体でみると人口の20.8%です。
自治体によってかなり差があるのが現状ですが、場所によっては65歳未満の方でもすでに始まっているところもありますね。
さて、接種が始まると気になるのが副反応のことです。
以前別、私自身の1回目接種についてレポートしましたが、みなさんの周りでも「熱が出た」「腕が痛かった」「何ともなかった」などさまざまな反応が耳に入ってきていると思います。
働く世代は高齢者にくらべて「仕事」「子育て」「家事」など、どうしても外せない予定があるケースが多いので、むしろ若い方のほうが副反応の心配をされているかもしれません。
今回はコロナワクチン接種後に発熱や痛みなど副反応が出た場合の対処についてご紹介します。
解熱剤はなんでも大丈夫
ワクチン接種後の発熱に「アセトアミノフェン」(医薬品名:カロナール)が良いのではないかということで、一部アセトアミノフェンを含む解熱剤が品薄になっているところがあるとの報道を耳にします。
なぜ、こんな話になっているのでしょう?
他の解熱剤ではだめなのでしょうか?
解熱剤(鎮痛剤)でよく使われるものとして「ロキソニン」「カロナール」があります。
それぞれ成分は違いますが、どちらも解熱や鎮痛目的で使用されています。
「カロナール」は赤ちゃんからお年寄りまで広く使われている解熱鎮痛剤です。
「ロキソニン」は子どもにはほとんど使いませんが、子宮収縮を抑える働きもあるため、生理痛にもよく効き、痛み止めの効果としてはカロナールよりも強いと感じる方が多いと思います。
効果がはっきりしている一方で、長期間の投与や高齢者への投与では、胃の粘膜を荒らす(腸の粘膜のこともあります)、腎障害を起こすなどの副作用があります。また、妊娠後期のロキソニン服用は胎児の動脈管開存症を引き起こすことがあるため妊娠中はロキソニンを避けるなどの問題があります。
また、インフルエンザでまれに「インフルエンザ脳症」という重篤な合併症を起こすことがあるのですが、ロキソニンやボルタレンなどの解熱剤を内服した時に、わずかに発症率が高まるという結果が出たため、インフルエンザの時はロキソニン等の内服は避けることになっています。
その他にも一部の抗生剤と飲み合わせが悪いといったこともあるため、場合によってはロキソニンの投与は慎重に行うことがあります。
①何かわからないけれど感染症で発熱した時はまずアセトアミノフェン(カロナール)を使うのが安全、②インフルエンザの時にロキソニンは飲まない、③高齢者では連用を避けるが一般的です。
おそらくこの辺りの情報の解釈の仕方によって、「ワクチン接種後の発熱にはアセトアミノフェン」という情報が生まれたのではないかと思います。
しかし、ワクチン接種後の発熱や痛みは一時的なものであること、コロナウイルス感染症を発症しているわけではないことを考えると、アセトアミノフェンでなくても、ロキソニンでもバファリンでもイブでも市販の薬で特に問題ないと考えられています。
人によって合う・合わないがあると思うので、普段頭痛や生理痛の時に飲んでいる解熱剤で十分対応可能なのです。
ちなみに、私はロキソニンを飲みました(たまたま手元にあったからです)。
副反応で病院に行く基準は?
ところで、実際に熱や痛みが出ると、意外とびっくりしてしまうものです。
私も翌日に腕が上がらないほど痛かった時「え!こんなに痛いの!?」と感じました。
熱も人によっては38〜39℃出ることがあるため、事前に聞いてはいても、やはり気が動転してしまうことがあると思います。
発熱時の対応基準
① 接種から48時間以内:高い熱が出ることもありますが、解熱剤(よく使っているもの)を内服してゆっくり休みましょう。微熱程度でも、辛いと感じたら解熱剤を内服して大丈夫です
② 発熱が48時間以上続く:病院に連絡し、受診の指示を仰ぎましょう
③ 熱以外に咳や鼻水、喉の痛みなどの症状を伴う:病院に連絡し、受診の指示を仰ぎましょう
接種部位の痛み別対応基準
① 痛み止め(解熱剤と同じ)でコントロールできる程度:様子をみましょう
② 翌日に強い痛みが出たが、少しずつ良くなっている:様子をみましょう
③ 接種翌日よりも翌々日の方が痛いなど、悪化しているとき:受診してください
④ 痛みが強く上腕全体(二の腕全体)が腫れて熱感を持っている:受診してください
副反応の頻度が高い【発熱】【痛み】の受診の判断の参考にしてください。
発熱に関しては、ごく稀ですが、何らかの感染症にかかった状態で接種を受けて(接種の時はまだ症状が出ていなかった)、時間が経って症状が出てきている可能性が否定できないので、48時間以上発熱が続く場合は病院に連絡しましょう。
また、痛みに関しても、ごく稀ですが、注射部位から細菌感染を起こしている可能性を否定できません(蜂窩織炎といいます)。
この場合、どちらもワクチンの副反応ではなく別の病気なので治療が必要になります。
予防的な内服はNG
副反応が心配な気持ちはとても自然なことだと思います。
しかし、熱が出るかもしれないから予防的に解熱剤を飲もうという考えはやめましょう。
熱が出た時、腕が痛くなった時、その時に初めて薬を飲むかどうか考えても十分間に合います。
特に、副反応による熱や痛みは一過性のものなので、ほとんどの方が1回もしくは2回飲むくらいで良くなります。
たくさん買い置きする必要はありませんし、熱が出る前から飲んでおく必要もありません。
家に常備してある解熱剤や鎮痛剤、以前処方された解熱剤の残りでも大丈夫です(錠剤なら2年以内が使用の目安です)。
不必要な解熱剤の購入や服用は、医薬品の品薄にもつながり、本当に必要な人に行き届かなくなってしまう可能性があります。
すでに職域接種、大学生への接種等も始まっていますが、今一度落ち着いて、正しい情報を理解するようにしていきましょう。