令和元年調査の重点項目
厚生労働省は2020年10月27日に、2019(令和元年)年11月に実施した「国民健康・栄養調査」の結果を公表しました。
この調査は、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料として、国民の身体の状況、栄養摂取量および生活習慣の状況を明らかにするために毎年実施されています。
1945年(昭和20年)より毎年実施をされていましたが、2020年(令和2年)調査については、新型コロナウイルス感染症への対応が優先であること、調査の際の統計調査員と対象者との接触が好ましくないなどの観点から中止となりました。
過去に「国民健康・栄養調査」について取り上げた記事につきましては、下記ご覧ください。
令和元年調査では、毎年実施している基本項目に加え、社会環境と生活習慣などに関する調査が重点項目とされ調査されました。
調査の結果、各世代や年齢、BMIの違いによる食生活、健康な食習慣の妨げとなる点、食生活に影響を与えている情報源などが明らかになりましたので、解説していきたいと思います。
食習慣の改善の意思について
食習慣の改善の意思について、「関心はあるが改善するつもりはない」と回答した者の割合が最も高く、男性で24.6%、女性で25.0%でした。
また、すでに食生活の改善を6か月以上取り組んでいる人は、下記の表のとおり50代からやや増え始め、60代が各世代の中で1番多く食習慣の改善に取り組んでおり、70代以上になるとやや減少し「食習慣に問題はないため改善する必要がないと考える人」が増加する傾向にありました。
20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代 | |
---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 5.0% | 5.9% | 9.4% | 17.4% | 20.8% | 17.2.% |
女性 | 5.4% | 10.1% | 10.5% | 16.1% | 21.7% | 18.0% |
また、BMIの状況別の食習慣改善の意思については、男女ともに BMIが普通および肥満の人では「関心はあるが改善するつもりはない」と回答した者の割合が最も高く、やせの人では「食習慣に問題はないため改善する必要はない」と回答した者の割合が最も高くなりました。
保健指導員として「肥満」の人に対して、改善する意思までもっていくための話し方の工夫などを考えなければならないと感じました。
また「やせ」であることも、さまざまなな病気のリスクにつながるので「やせ」の人に対して、個人としても企業としても問題意識を持ってもらうための情報発信に今後力をいれる必要があると考えます。
健康な食習慣の妨げとなる点について
健康な食習慣の妨げとなる点について「特にない」という回答が最も多く、特に60〜70代の男女では4割以上でした。
比較して、20代男性の「面倒くさい」という回答を除き、20代女性〜50代男女までの働く世代では「仕事(家事・育児等も含む)が忙しくて時間がない」と回答した人が多くいました。
健康な食習慣は、健康な身体作りのためにもかかせませんし、仕事の生産性を低下させないため、メンタル不調を起こさないためにも重要です。
企業として、社員が健康な食習慣を身につけられるよう残業時間の管理や、労働環境の整備が必要となるでしょう。
食生活に影響を与えている情報源
食生活に影響を与えている情報源について、男女・年代の合計総数では「テレビ」と回答している方が最も多く、男性で43.2%、女性では60.4%と約半数近くの方がテレビから情報を得ているようです。
確かに、保健指導をしていると「テレビで○○ダイエットとやっていたのでそれを実行しています」など、テレビからの情報を参考にしている人が多くいました。
しかし、健康番組で取り上げている内容は、あくまで健康な方向けの場合が多いので、持病がある人などは医師や管理栄養士など、医療職の指示に従いましょう。
また20〜50代では、ウェブサイトやソーシャルメディアと回答している人の割合が多くみられました。
ウェブサイトやソーシャルメディアから健康情報を得るとき、情報は正確であるのか、自分に適したものなのか取捨選択をする必要があります。
こうした力をヘルスリテラシーと言いますが、今後このような力を身につけることが重要です。
私も管理栄養士として、皆さんの食生活に良い影響が与えられるような情報発信の仕方を考えていきたいと思います。