冬の定番スポーツとして、ランニングはすっかり定着していますね。
2007年の東京マラソンをきっかけに、ランニング人口が増加し、今や毎週のように各地で開催されている市民マラソン。
皆さまも一度くらいは挑戦されたことがあるかもしれませんね。
健康のために始めたランニングですが、気を付けたいのが「スポーツ性貧血」です。
ランニング中に「あれ? いつもと同じペースなのに今日はしんどいな…」と感じたことのある方も多いのではないでしょうか。
一般の貧血とスポーツ貧血の違い
一般に貧血は、血液中の酸素不足で起こります。
赤血球に含まれるヘモグロビンはヘム鉄とグロビンというたんぱく質でできており、肺で取り入れられた酸素はヘム鉄と結合して全身に運ばれます。
体内の鉄が不足して起こる貧血を「鉄欠乏性貧血」といい、若い女性に多くみられます。
一方、「スポーツ貧血」は「鉄欠乏性貧血」とは違い、激しい運動をすることで起こる貧血です。
マラソンやサッカー、バレーボールのように足底に繰り返し衝撃がかかるスポーツや、剣道など身体に衝撃がかかるスポーツでは物理的な原因で赤血球が破壊され、ヘモグロビンが血球外に溶出する「溶血」によって貧血を起こします。
また、発汗で塩分(ナトリウム)が奪われるように鉄分も喪失し、貧血の原因ともなります。
ただし、貧血または貧血気味の人が運動することで誰もが「スポーツ貧血」になるわけではありません。
スポーツ貧血は日常生活にも影響が及ぶ
酸素量を満たすために血液が大量に運ばれ心臓が拍動を早めるので「すぐ息切れがする」「頭痛がする」「疲れやすい」「食欲不振」「ボーッとして集中力が低下する」などの症状が見られます。
外見では、皮膚、眼瞼結膜、爪の蒼白が起こりますが、徐々に起きた場合は症状を自覚しない人もいます。
パフォーマンスが低下し、競技成績が伸びず、日常生活にも悪影響が出てきます。
スポーツ貧血は予防できる
スポーツ貧血では予防が重要です。
貧血は血液検査で判断できるため、少なくとも1年に1回は血液検査をして、自分の普段の状態を把握しておくことが大切です。
鉄不足はまず貯蔵鉄が減少し、時間をかけて貧血へと悪化するため、貯蔵鉄の回復前に時間がかかりスポーツ貧血になってから治療を始めたのでは、数か月間、十分なトレーニングや試合ができなくなります。
もし、スポーツ貧血が疑われたら、病院で即効性のある注射や内服薬(鉄剤)を服用、市販薬(OTC)の鉄剤で治療します。
鉄分の吸収量は1日1~1.5mgと極めてわずかで、食事中の鉄の大部分は便中にそのまま排泄されるので鉄の吸収のためには、動物性たんぱく質やビタミンCを一緒に取ることが望ましいです。
貧血になる人は、鉄分だけでなく、エネルギーやたんぱく質なども不足したり、バランスが取れていない食生活の可能性もあります。
食事を全般的に見直し、日ごろから鉄を積極的に取りいれ、スポーツを効果的に楽しみ、継続して行きましょう。
また、規格基準の定められている「栄養機能食品(鉄)」である鉄剤やカプセル、ゼリー、ヨーグルト、グミ、キャンデーなど、手軽にとれるのでおやつとしても上手に取り入れてください。