2019年4月から、産業医にまつわる法律が変わります!

現在、産業医が訪問し産業保健の分野を助けてくれている、という企業はたくさんあると思います。
しかし、2019年4月の法制度の変更に合わせて、さまざまなことが変わってくることをご存知でしょうか?
今日は、知っておいてほしい事項についてまとめて確認しましょう!

産業医の面談対象者の選出方法が変わります!

過去の記事でも触れましたが、時間外労働時間の上限を月45時間・年360時間を原則とし、臨的な特別事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働を含む)、複数月平均80時間(休日労働を含む)を限度に設定しました。
これを法律として格上げすることで、違反した場合罰則が課され、大きな抑止力となることを見込んでいます(一部の除外業務を除く)。

それに伴い、今まで、時間外労働・休日労働時間が1月あたり100 時間を超えた場合に医師による面接指導が必要となるところ、この時間数を定める省令が改定され、80 時間となります。

法第六十六条の八第一項の厚生労働省令で定める要件は、休憩時間を除き一週間当たり四十時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が一月当たり八十時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であることとする。ただし、次項の期日前一月以内に法第六十六条の八第一項又は第六十六条の八の二第一項に規定する面接指導を受けた労働者その他これに類する労働者であつて法 第六十六条の八第一項に規定する面接指導(以下この節において「法第六十六条の八の面接指導」という。)を受ける必要がないと医師が認めたものを除く。

引用元:労働基準法 第五十二条の二

さらに、新商品等の研究開発業務の従事者や高度プロフェッショナル制度の適用労働者については、一定の時間を超える場合に、事業者は面接指導を実施しなければならないこととなります。

衛生委員会で産業医に伝えるべき情報が増えます!

続いて、産業医・産業保健機能の強化があげられます。
注目すべき項目は13条3項と4項です。

(産業医等)
3項 産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識に基づいて、誠実にその職務を行わなければならない。

4項 産業医を選任した事業者は、産業医に対し、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の労働時間に関する情報その他の産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報として厚生労働省令で定めるものを提供しなければならない。

引用元:新労働安全衛生法 第13条1 3-4項

今回の改定では、事業者は労働者の勤務時間などの把握が義務付けられています(高度プロフェッショナル制度適用労働者も含む)。
事業者は産業医が問題なく業務を行えるよう、把握した内容を衛生委員会などで産業医へ報告し、勧告を受けなくてはなりません。
報告すべき情報は以下の通りです。

・ 健診、面接指導、ストレスチェック後の就業上の措置内容
・ 面談対象者(上記月80時間を超えて勤務した者の氏名)、勤務時間など情報
・ その他健康管理上必要なもの

これらは厚生労働省令で「産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報」と定めたものです。

また、産業医は労働者の健康を守るために事業者に対し「勧告」をおこなうことができます。
今までは産業医の勧告についてはあくまで「尊重」どまりでしたが、今後は事業者は「当該勧告の内容その他の厚生労働省令で定める事項を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければならない」となります。

5項 産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。この場合において、事業者は、当該勧告を尊重しなければならない。

6項 事業者は、前項の勧告を受けたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該勧告の内容その他の厚生労働省令で定める事項を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければならない。

引用元:新労働安全衛生法 第13条1 5-6項

これは、産業医の指摘に対し、事業者が真摯に対応することが求められている一文です。

産業医について社内で周知しましょう!

さらに体制づくりについても強化しなくてはなりません。

事業者は、産業医又は前条第一項に規定する者による労働者の健康管理等の適切な実施を図るため、産業医又は同項に規定する者が労働者からの健康相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。

引用元:新労働安全衛生法 第13条3

労働者が産業医に相談することができるよう、産業医の職務や相談方法など、きちんと社内で周知することが義務付けられました。
気を付けるべきは以下の項目です。

・ 産業医の職務内容
・ 産業医に対する健康相談の申出方法
・ 産業医による労働者の心身の状態に関する情報の取扱い方法

せっかく産業医に訪問してもらったとしても、従業員が産業医へ相談できることを知らないなど、有効活用ができていなければ元も子もありません。
会社として、産業保健体制に対する整備が強く求められていることとなります。

いかがですか?
今回の改定により、産業医が、企業の産業保健体制の軸となることが求められているということがよくわかりますね。

今あなたの会社には産業医がいますか?
どんな先生か、会ったことはありますか?
もし、この質問の答えがNoであるならば、4月からあなたの会社は、何らかの違反をしているような状況となってしまうかもしれません。
今一度、自社の産業保健を見直してみてはいかがでしょうか?

・ 選任はしているけど、産業医は訪問していない
・ 産業医に来てもらっても何をお願いしていいかわからない

など、お困りのことがございましたら、ドクタートラストまでお問合せください。
貴社のご状況に合わせたサポートをお約束いたします。

※ドクタートラストHPはこちら!※

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大沼 泉株式会社ドクタートラスト ストレスチェック研究所

投稿者プロフィール

結婚・出産・育児といったライフイベントを乗り越えながら女性がいきいきと働くには、どんな職場環境が望ましいのか。ブラック企業から転職し、産休育休を経た経験をもとに、産業カウンセラー、そして働くママ社員の立場からさまざまな情報をお伝えしてまいります。
【保有資格】産業カウンセラー
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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