「働き方改革」はなぜ必要? やらなきゃダメ?

こちらのサイトでも何度も何度も触れている「働き方改革」。
確認してみたところ、産業保健新聞に掲載されている約3,000本の記事のなかで、本記事は「働き方改革」にまつわる第76本目の記事となるようです。

2018年6月29日の参議院本会議で、働き方改革推進法案が賛成多数により可決しました。
新しい制度が2019年4月から順次導入されるといわれているものの、大きな恩恵を感じる環境にもない私個人としては、導入に関しても少しばかり他人事に感じております。
今働いている環境では何が不十分なの? そんなに騒ぎ立てなくてはならないこと?
そんな疑問とともに、どことなく、「働き方改革」という言葉ばかりが独り歩きしている印象を受けてしまっているのです。

「働き方の多様性」や「より良い働き方」を目指してはどうかという提案が多い中、実際働いていて、「働き方改革をしなくては」と感じている会社員の方はどれくらいいるのでしょう。

なぜ働き方改革は必要なの? しないとダメ?

そう感じるのは、私個人が「働き方改革とは何たるか」をきちんと理解していないためではないかと思い当たりました。
本日は働き方改革がなぜ騒がれ、必要とされているのか、改めて考えてみたいと思います。

働き方改革はなぜ必要か

Webで働き方改革と検索すると関連する検索キーワードは「働き方改革 簡単に」や「働き方改革 わかりやすく」「働き方改革 事例」といったものが並びます。

そしてこの検索結果をあたっていくと、企業での取り組みや、メリット・デメリットについての説明、また前述した働き方改革推進法案の解説が掲載されています。

働き方改革について「働き方の多様制」や「より働きやすい環境づくり」を目指し企業が行う取り組みだと受け止めている人が多いのではないかと推測しました。
ではどうして改めて多様性を持たせる必要があるか、より良い働き方を目指す必要があるか、正確に答えられますか?

ポイントは 「高齢化社会」にあります。

ここで突然ですが、クイズです。
現在の日本の人口約1億2,000万人ですが、2060年には何人になっている見通しでしょう。

答えは「8674万人」。
これは、総務省による平成28年版通信情報白書に記載された予測です。
ざっくり3,000万人以上人口の減少が予想されています。
団塊の世代と呼ばれる世代が2025年には75歳以上に突入することになり、寿命等による人口減少の結果です。
問題はただ人数が減るというだけではとどまりません。
少子化等による「働き盛り」ともいえる労働者世代(15~65歳)の人口も大幅な減少が予想されます。
その数は現在のおよそ4割減となる4,418万人とされています。
人口の約半数が65歳以上となる超高齢化社会に突入します。
また、少子化対策を行わない限り、若年層の人数は減少を増すばかりです。

私自身は現在30歳。
問題となる2060年ともなれば、70才を超え、ちょうど年金受給と共に若年層に支えてもらう世代となります。
果たして、人口の半数にまで膨れ上がった高齢者を労働者世代が支えることができる状態なのか。

こうした状況に備えるべく、少しでも多くの労働者を確保する必要がある、と考えた政府は、労働者世代でありながら、労働を行っていない人たちに目を向けます。

働き方改革の目的は「労働者の確保」と「生産効率の向上」

ここから「働き方の多様制」や「より働きやすい環境づくり」を今から行っていく必要があると考えました。
子育て中の女性等が働きやすい職場を作ることで労働者の減少と少子化対策を行う必要があります。
また介護など、時間の制限が発生することによって労働ができなくなる人や、残業時間等によるメンタル不調や体調を崩しての離職、休職を行う人への対策も必要です。

働き手の減少により、企業は常に人手不足になります。
今まで働けなかった人が働こうと思えるような環境作りや、より良い環境への転職などを防ぐため労働環境を整える必要が出てきますね。
また、時間や手間が減少しても同じだけの生産性を保つためには、より効率的な生産方法を編み出したりすることもとても重要です。

キーワードは「労働者の確保」と「生産効率の向上」。
以上が「働き方改革」の目的であり、行わなくてはならない理由なのです。

各企業が取り組むべき課題

これまでの話を聞けば「やらなきゃダメ?」という冒頭の私のような質問を受ける人はあまりいないのではないでしょうか。

とはいえ、いったいどのように対処をすべきなのか。
まずあなたの働く職場での問題点を探してみてください。
どうなったらもっと働きやすくなるのかをいう視点で見てみると、小さなところでは物の配置や申請手順など、すぐに直すことのできるところから、あなたが子育てをする立場になったときに働けるかどうかまで、さまざまな課題が出てくることと思います。

また、こうした問題と対策は企業によって異なります。
問題がわかっても対策方法がわからない、と感じたら、ぜひ産業保健新聞に掲載された他の75記事について目を通してみてください。
世界各国の働き方改革や対策についての事例、また失敗例がたくさん公開されています。

【産業保健新聞】カテゴリー:働き方改革

政府の掲げる働き方改革法案については、以下の記事にて解説を行っています。

働き方改革法が成立!本改正の3つのポイントとは?

どうしたらあなたが長く働きたいと思える職場環境になるか。
一個人では、会社全体を変化させることが難しいことかもしれません。
それでも小さなところから改革を行っていくことでその波は広がり、良い流れへと向かうことと思います。
日本社会全体を支えていくことを考え、ぜひ改めて働き方改革について考えてみてはいかがでしょうか。

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大沼 泉株式会社ドクタートラスト ストレスチェック研究所

投稿者プロフィール

結婚・出産・育児といったライフイベントを乗り越えながら女性がいきいきと働くには、どんな職場環境が望ましいのか。ブラック企業から転職し、産休育休を経た経験をもとに、産業カウンセラー、そして働くママ社員の立場からさまざまな情報をお伝えしてまいります。
【保有資格】産業カウンセラー
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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