健診結果は該当!法改正にともなう「要配慮個人情報」の取り扱いポイントとは
- 2017/6/14
- 健康診断
春の健康診断の結果が続々と届いている時期かと思います。
そんな中、個人情報保護に関する法律(個人情報保護法)が改正されたことをご存知ですか?
今回は法改正に伴う、健康診断結果などの健康情報管理方法をお伝えします。
改正個人情報保護法とは
平成29年5月30日、改正個人情報保護法が全面施行されたことにより、中小企業をはじめとするすべての事業者が個人情報保護法の適用対象となりました。
今改正の主なポイントは下記の4つです。
1. 要配慮個人情報の新設
新たに「人種・信条・社会的身分・病歴・犯罪の経歴・犯罪被害の事実」等が要配慮個人情報として改めて定義され、配慮して取り扱うようルールを新設。
2. 要配慮個人情報の取得の厳格化
上記、要配慮個人情報を取得する際には、あらかじめ本人の同意を得なくてはならないよう義務づけ。
3. 第三者提供の制限の厳格化
会社が従業員の氏名などの個人情報を、第三者に伝える際のルールを厳格化。
4. 第三者提供の記録、受領確認の義務化
第三者提供に関して、記録の作成や保存や受領の際の確認を義務づけ。
今改定で会社での健康情報の取り扱いはどのように変わるのでしょうか。
Q&A形式でお答えしていきたいと思います。
Q.会社で取り扱う「要配慮個人情報」とはどんなもの?
A. すべての健康情報は原則要配慮個人情報に含まれると考えるとよいでしょう。
会社で取り扱う要配慮個人情報は以下のとおりと考えられます。
■ 会社が保持するもの
- 労働安全衛生法に基づき取り扱われる健康情報:定期検診や特殊健診の結果、長時間労働の面接指導からの健康情報など
- ストレスチェック制度に基づき取り扱われる個人情報
- 休業や復職の際の診断書、法定項目以外の健診結果、保健師同や健康相談の内容など
- 身体障害や知的障害、精神障害に関する情報
■ 従業員が所持する情報
- 高齢者の医療の確保に関する法律にもとづき取り扱われる健康情報:特定健診結果、特定保健指導の内容
- 人間ドックやがん検診の結果、保健指導の内容
- レセプトなどに記載された病歴、診断、調剤の記録
- 身体障害や知的障害、精神障害に関する情報
Q、改定により健診結果を取得するときは本人の同意が必要?
A. 労働安全衛生法にもとづいた健診結果のみ同意は不要。それ以外は同意が必要
前述のとおり、健診の結果は要配慮個人情報にあたります。
前述2にもとづき、要配慮個人情報を取得する際には、あらかじめ本人の同意を得る事が義務付けられました(第17条2項)。
個人情報の保護に関する法律
(適正な取得)
第17条 個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。
2 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはならない。
一 法令に基づく場合
二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
五 当該要配慮個人情報が、本人、国の機関、地方公共団体、第七十六条第一項各号に掲げる者その他個人情報保護委員会規則で定める者により公開されている場合
六 その他前各号に掲げる場合に準ずるものとして政令で定める場合
しかし、法令に基づく場合は本人の同意を得なくても取得が可能となっています。
会社が労働安全衛生法にもとづいて実施した健診の結果を健診実施期間から取得することは問題ありません。
注意すべきなのは、前述が当てはまるのはあくまで「労働安全衛生法に基づいた健診の結果」のみであるということです。
そのため、たとえばがん検診の結果などを取得する際には、あらかじめ本人の同意が必要となります。
さらに、健診等を受診したという事実は要配慮個人情報に該当しませんが、保健指導などを受けたという事実や、病院等を受診したという事実、薬局などで調剤を受けたという事実は該当します。
また、ストレスチェックの結果などについても同様に注意が必要でしょう。
大きく変わらないように思われるが……
ポイントを整理すると、もともときちんと管理をしていた方は大きく変更したようには感じられないかもしれません。
しかし、今まで不明瞭だったものについて「要配慮個人情報」として定められたということは、今までどおりであったとしても、改めて厳密な管理を求められるものである、ということです。
これを期に、社内での取り扱い方法などを見直してみてはいかがでしょうか?