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育児・介護休業法改正――仕事と介護の両立を目指して
- 2016/8/22
- ワークライフバランス, 労働安全衛生法, 労働環境
最近では、育児休暇や育児休業は広く世間に認知され、「イクメン」などの言葉が示すように男性でも育児休暇や育児休業を取得する人がずいぶん増えてきたように思われます。
その一方、介護休暇や介護休業については、どうでしょう。
家族の介護や看護を必要としながらも介護休暇や介護休業を取得できず、介護休業の取得割合は3.2%(2012年)にとどまり、遂には仕事を辞めてしまう人は、中高年を中心に年間約10万人もいます。
国は、こうした離職は社会の活力低下につながるとして、介護休業が取得しやすくなるよう『育児・介護休業法』を改正しました。
この制度は、平成29年1月1日より施行されますが、改正の内容を詳しく見ていきましょう。
介護休業の分割取得
<現行>
介護休業について、介護を必要とする家族(対象家族)1人につき、通算93日まで原則1回に限り取得可能
<改正後>
対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として、介護休業を分割して取得可能
介護休暇の取得単位の柔軟化
<現行>
介護休暇について1日単位での取得
<改正後>
半日(所定労働時間の2分の1)単位での取得が可能
介護のための所定労働時間の短縮措置等
<現行>
介護のための所定労働時間の短縮措置(選択的措置義務)について、介護休業と通算して93日の範囲内で取得可能
<改正後>
介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用が可能
介護のための所定外労働の制限(残業の免除)
<現行>
なし
<改正後>
介護のための所定外労働の制限(残業の免除)について、対象家族1人につき、介護終了まで利用できる所定外労働の制限を新設
介護休業等の対象家族の範囲の拡大
<現行>
配偶者、両親及び子ども、配偶者の両親、同居かつ扶養している祖父母や孫、兄弟姉妹
<改正後>
現行に加え、同居・扶養していない祖父母や孫、兄弟姉妹
いわゆるマタハラ・パタハラなどの防止措置の新設
<現行>
事業主による妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする不利益な取扱いは禁止
<改正後>
現行に加え、上司・同僚からの、妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする嫌がらせ等(いわゆるマタハラ・パタハラなど)を防止する措置を講じることを事業主へ新たに義務付け。また、派遣労働者の派遣先にも、育児休業等の取得等を理由とする不利益取扱いの禁止。妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする嫌がらせ等の防止措置の義務付け。
介護休業給付金(休業開始前賃金の給付割合)
<現行>
介護休業開始が平成28年7月以前の場合、条件によっては収入の40%を上限として支給
<改正後>
介護休業開始が平成28年8月以降の場合、条件によっては収入の67%を上限として支給
まとめ
高齢化社会、晩婚化に伴い、育児と介護が同時に生じるケースも少なくない中、このような制度を取得しやすい世の中にするには、企業や一緒に働く人たちの理解がとても大切です。
将来に備え、各々がこのような制度改正をきちんと理解していくことが必要でしょう。