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テレワークに踏み切れない理由は、セキュリティ上の課題~企業規模が大きいほど導入傾向あり~
- 2020/5/12
- ワークライフバランス, 労働環境, 新型コロナウイルス
新型コロナウイルス感染症に関連して、国や地方自治体から「外出自粛」が要請されています。
実際、東海道新幹線や東北新幹線などの2020年4月上旬の利用率は、昨対比でおおむね80%の減少がみられています。
出張や旅行で遠出する人が減っていることがわかります。
一方、首都圏の鉄道に目を向けてみると、地下鉄や私鉄などでは、前年比60%減程度にとどまっているようです。
社会的状況から、否応なしに働き方、特に働く場所の見直しが迫られ、「テレワーク」という言葉を見ない日はありません。
しかし、実態としては言葉の大きさの割には、導入が進んでいない現状があります。
ここでは東京商工会議所のアンケートをもとに、テレワークの最新動向をご紹介します。
情報通信業では実施しやすいテレワーク
以下では、東京商工会議所が会員企業に対して2020年3月に実施した「会員企業の防災対策に関するアンケート」の付帯調査結果をもとにしながら見ていきます。
まず、テレワークをそもそも実施しているか否かです。
回答全体では、テレワークを実施しているのは26.6%、実施検討中は19.5%で、実施予定なしは54.4%で、およそ半数近くの企業が実施、または検討中であることがわかります。
これを業種別に分解すると、情報通信業では実施または検討中である企業が全体の80.2%が実施、または検討中であるのに対し、建設業・不動産業や交通運輸・物流・倉庫業ではおよそ65%が実施予定なしと回答しています。
テレワークを実施する・しないよりも、そもそも業種として「テレワークができる・できない」が大きく影響していると考えられます。
パソコン上で仕事が完結することの一長一短
また、テレワークを実施していない企業では、何が課題となってくるのでしょうか。
「テレワーク可能な業務がない」という課題を除くと、上位に挙がってくるのは以下の3つです。
① 社内体制が整っていない(仕事の管理、労務管理・評価など)
② セキュリティ上の不安がある
③ パソコンやスマホ等の機器やネットワーク環境(LAN等)も設備が十分ではない
このうち、①については社内規定などソフト面の課題で、②、③についてはパソコンなど、ハード上の課題と整理することができます。
先行企業のノウハウを参考にする
前述のうち①は、比較的解決しやすい課題です。
といのも、先行企業のノウハウが多く公開、参考にすることができるためです。
厚生労働省「テレワーク総合サイト」には、労務管理上のQ&Aやモデル就業規則などが掲載されています。
これらを自社に当て込んで使ってみましょう。
また、②、③については、「セキュリティ」「設備」と表現しつつも、その実態は「費用の問題」であると考えられますが、厚生労働省などが特例での助成金交付などに踏み切っています。
企業の経営層の方に置かれましては、これら制度を活用し、大切な社員を守ってください。
<新型コロナウイルス感染症に関連した主なテレワーク導入助成>
・総務省「令和2年度テレワークマネージャー相談事業」
テレワークの導入について専門家から無料でアドバイスをもらえる
・厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」
新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規で導入する中小企業への助成
・経済産業省「IT導入補助金」
中小企業や小規模事業者などが課題やニーズに合ったITツールを導入する際の経費を一部補助
・東京都「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」
都内企業のテレワーク環境整備を支援する助成金
・東京都「ワークスタイル変革コンサルティング」
都内企業のテレワーク導入を推進するため、専門のコンサルタントが無料でアドバイス
・東京都「はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)」
都内企業のテレワーク導入を推進するため、テレワークにトライアルするための環境構築経費、および制度整備費を補助
・東京都「テレワーク活用・働く女性応援助成金」
都内中堅・中小企業を対象に、テレワーク機器導入費用などを助成
<参考>
・東京商工会議所「『新型コロナウイルス感染症への対応に関するアンケート』調査結果」