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「治療と職業生活」を企業がいかに支援するか
- 2016/2/25
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医療技術の進歩と職業生活
日本では近年、治療技術の進歩等により、がんや脳卒中、糖尿病などの病気は「不治の病」から「長く付き合う病気」へと変化してきました。例えば、がん5年の相対生存率は平成5〜8年53.2%に対して、平成15〜17年は58.6%へと向上しています。
仕事を持ちながら、がんで通院している方は平成22年の時点で32.5万人と一見多く思えますが、治療と職業生活の両立に悩む方、また事業場は少なくありません。
実際に従業員が私傷病になった際、企業が従業員の適正配置や雇用管理等に苦慮する事業所は90%にも及ぶという統計があります。
そのような背景もあり、厚生労働省では「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を公表しました。
「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」とは
このガイドラインは、事業場が、がん、脳卒中などの疾病を抱える方々に対して、適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行い、治療と職業生活が両立できるようにするため、事業場における取組などをまとめたものです。
ガイドラインのポイント
ガイドラインのポイントは、大きく分けて下記の3つです。
1.治療と職業生活の両立支援を行うための環境整備
・労働者や管理職に対する研修などによる意識啓発
・労働者が安心して相談・申出を行える相談窓口を明確化
・時間単位の休暇制度、時差出勤制度などを検討・導入
2.治療と職業生活の両立支援の進め方
・労働者が事業者に支援を求める申出(主治医による配慮事項などに関する意見書を提出)
・事業者が必要な措置や配慮について産業医などから意見を聴取
・事業者が就業上の措置などを決定・実施
3.がんに関する留意事項
・治療の長期化や予期せぬ副作用による影響に応じた対応の必要性
・がんの診断を受けた労働者のメンタルヘルス面への配慮
3月にセミナーも開催
厚生労働省は、今後、このガイドラインの普及や企業に対する各種支援によって、
疾病を抱える方々が治療と職業生活が両立できるような環境整備に取り組んでいく様子です。
なお、3月10日に東京で、このガイドラインを解説するセミナーも開催されますので、
病気治療と職業生活の環境整備に関してお困りの方は、ぜひ参加されてはいかがでしょうか。