どう向き合う? 20代・30代の乳がんと検診

フリーキャスターの小林麻央さん、芸能人の北斗昌さんなどの乳がんに関するニュースがたびたびメディアで報道されています。
特に若い方の乳がんに関して、不安を感じる方も増えてきているのではないでしょうか。

年に1回の検診では不十分?

専門家で構成される「がん検診に関する検討会(厚生労働省)」の指針では、乳がん検診は2年に1回で十分とされています。
また、年齢も40歳以上が推奨されており、ほとんどの自治体が、40歳以上・2年に1回の検診を無料で実施しています。

これらの基準は、40歳以上で乳がんにかかる確率が急上昇するという医学的統計をもとに判断されています。
しかし、昨今では、報道や映画などから20代・30代で乳がんを発症するケースが知られてきており、「まだ若いけれど乳がんが心配」と感じる人も増えてきています。

20代・30代という若い年齢では、どのように乳がんと向き合えばよいのでしょうか。

20代・30代で乳がんにかかるリスクが高い人

乳がん患者さんの10人に1人が、遺伝性の乳がんであることがわかっています。
遺伝性乳がんは、BRCA1もしくはBRCA2という遺伝子のどちらかに変異をもつことで、50歳までに乳がんを発症する確率が16-25倍程度に跳ね上がります。

●若年性乳がんを発症しやすい人(遺伝性乳がんと呼ばれます)

□50歳未満で乳がんを発症した血縁者がいる
□年齢を問わず、卵巣がんになった血縁者がいる
□年齢を問わず、血縁者に原発乳がんを2個以上発症した人がいる
□血縁者に男性乳がんになった人がいる
□乳がんになった血縁者が自分を含め3人以上いる
□BRCAという遺伝性乳がんの遺伝子変異が確認された血縁者がいる
□抗がん薬、分子標的薬、ホルモン療法薬のいずれもの治療が難しい(トリプルネガティブ)といわれた乳がんの血縁者がいる

●乳がんにかかるリスクを高める要素

・飲酒習慣
・喫煙習慣
・成人期の高身長
・出生時体重が重い
・初経年齢が早い
・妊娠・出産経験がない

上記を満たす方は、2年に1回ではなく、1年に1回の乳がん検診が必要とされています。

乳がんの遺伝子検査

ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが検査を受け、予防的に乳房を切除したことで報じられたのが、「遺伝子検査」です。
これは、自分が遺伝性乳がんに遺伝子変異を持っているかを事前に調べるための検査です。

現在の日本では、自費診療のため20~30万円ほどの費用がかかりますし、検査できる医療機関も限られています。
しかし、上記の【若年性乳がんを発症しやすい人】に当てはまる方で、検査を希望される方は、まず検査を受けるかどうかのカウンセリングから受けることが出来ます。

乳がんに関する情報サイトまとめ

・乳がん検診を受けられる病院検索やピンクリボン運動について
日本乳がんピンクリボン運動
・乳がんに関して多い質問と回答
がん情報サービス 乳がん検診Q&A

・遺伝性乳がんや遺伝子検査について相談できる病院検索など
「遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の情報サイト」(株式会社ファルコバイオシステムズ)

・ピンクリボンキャンペーンについて
認定NPO法人乳房健康研究会

乳がん患者はここ10年間で倍増しています。
乳がんについての正しい知識を持ち、しっかりとご自身の体と向き合っていくことが求められています。

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中村 眞弓株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

企業での健康相談や産業保健の経験を生かし、「じっくり聴く・しっかり考える」保健師を目指しています。社員の皆様・人事の皆様と一緒になって企業の健康を支えていけるよう頑張ります。
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