片脚で靴下を履けますか?|働く世代が知っておきたいロコモティブシンドロームのリアル

ロコモティブシンドロームとは?なぜ注目されている?

ロコモティブシンドローム(以下ロコモ)とは、運動器の障害のために立ったり歩いたりするための身体能力が低下した状態です。

ロコモ度の分類状態
ロコモ度1:移動機能の低下が始まっている
ロコモ度2:移動機能の低下が進行している
ロコモ度3:社会参加に支障をきたしている

ロコモ度テストを用いた住民調査から、ロコモと判定されるロコモ度1以上の人は4,590万人と推定されています。

移動手段が便利な現代社会では、気づかないうちに運動機能が低下、つまりロコモが進行している場合があります。
年代別ロコモの状況をみてみると「ロコモ度1」の割合は50代の男性で41.5%、女性で42.1%であり、60代では男性で54.0%、女性で51.8%と、中年期以降の世代にとっては決して他人事ではない健康リスクであるといえます。

先述した通り、ロコモは高齢者の症候群に限ったわけではありません。
働く世代の50代の約4割以上がロコモになっていることから、40代から気を付けておく必要があります。
現代社会では、定年退職年齢延長や雇用延長等で働く世代が増加しており、健康で元気に働くためにも、運動機能の低下を防ぐ必要があるのです。
また、要支援・要介護になった原因のトップは転倒、骨折や関節の病気など、運動器の故障です。
健康寿命を延ばすため、普段からのロコモ予防が大切となります。

日本人の2人に1人ががんに罹患する時代!がんロコモとは?

がんロコモとは、がん自体あるいはがんの治療によって、運動器(骨や関節、筋肉など)の障害が起きて、運動機能が低下した状態です。
進行すると、日常生活が不自由になり、介護が必要になるリスクが高まります。また、がんの治療自体にも影響します。
ここで気をつけないといけないのが、がん自体の痛みなのか、がんロコモに起因する痛みかを判断する必要があることです。
がんロコモドクターという専門医に相談することも可能です。

ロコモチェックをしてみよう!

◎立ち上がりテスト

1)40cmの台を用意します
2)両脚テストを行います。40cmの台に両腕を組んで腰かけます。両脚は肩幅くらいに広げ、床に対して脛がおよそ70度になるようにして、反動をつけずに立ち上がり、そのまま3秒保持します
3)できなかった人はロコモ度2になります。できた方は次に片脚テストを行います。40cmの台に両腕を組んで腰かけます。両脚は肩幅くらいに広げ、床に対して脛がおよそ70度になるようにします。そして、左右どちらかの脚を上げます。このとき上げた脚の膝は軽く曲げます。反動をつけずに立ち上がり、そのまま3秒維持します
4)どちらか一方の片脚で40cmの高さから立ち上がれない人はロコモ度1になります

◎2ステップテスト

1)スタートラインを決め、両足のつま先を合わせます
2)できる限り大股で2歩歩き、両足を揃えます(バランスを崩した場合は失敗とします)
3)2歩分の歩幅(最初に立ったラインから、着地点のつま先まで)を測ります
4)2回行って、良かったほうの記録を採用します
5)以下の計算式で2ステップ幅を算出します
2歩幅(cm)÷身長(cm)=2ステップ値
6)2ステップ値が1.1以上1.3未満だとロコモ度1、00.9以上1.1未満だとロコモ度3、0.9未満だとロコモ度3となります

◎運動器の衰えサインの確認

以下がいつでも当てはまればロコモの心配があります。

・ 片脚立ちで靴下が履けない
・ 家の中でつまずいたりすべったりする
・ 階段を上がるのに手すりが必要である
・ 家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)
・ 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(1ℓの牛乳パック2個程度)」
・ 15分くらい続けて歩くことができない
・ 横断歩道を青信号で渡り切れない

予防方法は?

1) 片脚立ち

左右とも1分間1セット、1日3セット行い、バランス能力の向上を目指します。
転倒しないように必ずすぐにつかまれるものがある場所で行いましょう!

2) スクワット

5~6回で1セット、1日3セット行います。
下肢筋力の向上を目指します。
ポイントはお尻を後ろに引いて膝がつま先より前に出ないようにすることです。
スクワットができない場合は椅子に腰かけ、机に手をついて立ったり座ったりする動作を実施してみましょう!

3) 食生活

・ たんぱく質だけでなく、エネルギー源となる炭水化物や脂質もしっかり取りましょう
・ カルシウムだけでなく、たんぱく質、ビタミンDやKもしっかり取りましょう
・ 毎日、栄養バランスの良い食事を取りましょう
※オススメの食品:魚、乳製品、大豆製品など

働く世代にとって、健康寿命を伸ばすことはとても大切です。
今回注目したロコモ予防も、健康寿命を伸ばすために重要な取り組みであり、仕事の生産性向上を見込むことができます。
適度な運動や食生活を整えることで、ロコモ予防に取り組み、より良い健康状態を目指しましょう。

<参考>
・ 公益社団法人日本整形外科学会「ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは」
・ 公益社団法人日本整形外科学会監修、一般社団法人日本運動器科学会 監修、ロコモティブシンドローム診療ガイド策定委員会編集『ロコモティブシンドローム診療ガイド2021』(文光堂、2021年5月、20頁)
・ ロコモ チャレンジ!推進協議会「働く人々の運動器の健康課題、『勤労者ロコモ』にチャレンジ!」
・ 公益社団法人日本整形外科学会ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト「ロコチェック」

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横野 凌株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

大学病院に看護師として勤務する中で生活習慣病を抱える人の多さに驚くとともに、予防医療の重要性を再認識しました。その後、保健師学校に入学し、保健師資格を取得しました。現在は成人、特に働く世代の方たちが健康に働くことができるよう産業保健師として活動しています。より多くの方が健康に関する知識を身に付け、病気を予防することができるよう努めていきます。
【保有資格】保健師、看護師、第一種衛生管理者、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種、Ⅲ種
【ドクタートラストの保健師サービスへのお問い合わせはこちら】
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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