【2024年10月スタート!条件は?】51人以上の企業はパート・アルバイトも社保険加入の対象に

3月に入り、新年度に向けた準備も大詰めの企業が多いのではないでしょうか。
年度の変わり目は、新入社員の入社などに伴い、従業員数が大きく変化するタイミングでもあります。

今回は、従業員数にかかわる事項のうち、2024年10月から適用範囲が拡大する「短時間労働者の社会保険」についてわかりやすく解説します。

2024年3月時点の適用範囲は従業員数101人以上、10月から51人以上に

社会保険の適用範囲変更は、2020年6月に公布された「年金制度改正法」(年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律)によるものです。
多様な就労を年金制度に反映する目的で、被用者保険の適用拡大を実施し、短時間労働者を被用者保険の適用対象とすべき企業規模要件を段階的に引き下げています。

具体的には、短時間労働者(パート、アルバイト)の社会保険(厚生年金保険、健康保険)加入について、従前は従業員数501人以上の企業が義務適用とされていましたが、従業員数の条件が、2022年10月から101人以上に、そして2024年10月からは51人以上にまで拡大されます。
なお、50人以下の企業については労使合意に基づく任意の適用とされています。

対象となる企業、従業員の条件は?

以下では、2024年10月以降、義務適用となる「従業員数51人以上」のカウント方法、および該当企業で対象となる短時間労働者の条件を見ていきます。

(1)「従業員数51人以上」のカウント方法
従業員数は、以下2つの合計値になります。

・ フルタイムの従業員数
・ 週労働時間がフルタイムの3/4以上の社員

この総数が1年のうち6か月以上51人以上となる企業が、今回の「従業員数51人以上」に該当します。
ここでいう従業員には、パート・アルバイトも含みます。

(2)加入対象となる従業員の条件
該当企業で新たに社会保険加入対象となるのは、以下の条件を「すべて満たす」従業員です。

・ 週の労働時間数が20時間以上30時間未満
この数値は契約上の労働時間を指し、残業のように臨時で生じた時間は含みません。
ただし、契約上は20時間未満であっても、実労働時間が2か月連続で20時間/週であり、この状況が続くと見込まれる場合は3カ月目から対象となります。

・ 所定内賃金が8.8万円以上
この所定内賃金とは、基本給および諸手当を指します。
賞与や残業代、通勤手当などは含みません。

・ 2か月を超える雇用の見込みがある

・ 学生ではない
ただし、休学中の学生、夜間学生は対象となります。

さいごに

2023年に公表された総務省「令和3年経済センサス-活動調査 調査の結果」によると、2021年6月1時点での企業などの数は368万4,049あります。
このうち、今回の社会保険適用の影響を大きく受ける従業員数50人以上99人以下の企業などは6万2,268あります。
これら企業では、まず新たに加入対象者となる人の把握を行い、社内周知とともに、対象者などへの説明会や面談を実施しましょう。

<従業員に伝える内容>
・ 社会保険の新たな加入対象者であること
・ 社会保険加入のメリット
・ 今後の労働時間 など

適用拡大の対象となる企業には、2024年9月上旬までに日本年金機構から通知書類が届きます。
書類を作成のうえ、2024年10月7までに「被保険者取得届」をオンラインで提出しましょう。

また前述のとおり、従業員数50人以下の企業でも、労使の合意があれば短時間労働者を社会保険に加入させることができます。(2023年9月末までは100人以下の企業)
2023年11月に株式会社アイデムが公表した「2023年9月 イーアイデム会員対象 仕事探しに関するアンケート調査」によれば、パート、アルバイトでの雇用を希望するうち32.7%が「社会保険に加入できる仕事につきたい」と回答しています。

50人以下の企業でも、社会保険加入の適用をぜひ検討しましょう。

<参考>
・ 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内」
・ 総務省統計局「令和3年経済センサス-活動調査 調査の結果」
・ 株式会社アイデム「2023年9月 イーアイデム会員対象 仕事探しに関するアンケート調査」

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蜂谷未亜株式会社ドクタートラスト 編集長

投稿者プロフィール

出版社勤務を経てドクタートラストに入社。産業保健や健康経営などに関する最新動向をいち早く、そしてわかりやすく取り上げてまいります。
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