2022年4月、船員の働き方改革スタート!何が変わる?これまでとこれからの歩み
- 2022/3/16
- 働き方改革
コロナ禍以降、多くの企業でテレワークが導入されたり、20時までに帰宅するような施策のため残業があまりできず、労働生産性がより重視させるようになったりと、良い点悪い点はもちろんありますが、働き方改革が半ば強引に進んできました。
しかし、そのような状況下でも、就業環境などに起因して働き方改革がなかなか進まない業種・職種があり、その一つが「船員」です。
今回は、「船員」の働き方改革のこれまでとこれからをわかりやすく解説します。
2020年9月に本格着手!船員の働き方改革
船員と聞くと、どんな方々を想像しますか?
筆者はたくましい壮年の男性を想像したのですが、皆さまもそうでしょうか。
「船員といえばこういうイメージ」があるということは、船員として働いている方々の性別や年齢がある程度固まってしまっているともいえます。
そのため、他の業種でももちろんいえることですが、生産年齢人口の減少や船員(内航船員)の高齢化など、今後も長く働いてくれる船員の確保が難しいという現状があります。
また労働時間も長い傾向にあり、将来を見据え、優秀な船員を確保するためには「船員の働き方改革」を実施して、若者や女性など幅広い方々にとって魅力的な職業にしようという取り組みが始まりました。
その一歩として、まず2020年9月24日に国土交通省から「船員の働き方改革の実現に向けて」が公表されました。
これは、働き改革を行うにあたって、現状の課題の洗い出しや、どこを見直すべきなのか、環境整備についてまとめたものです。
国土交通省「「船員の働き方改革の実現に向けて」を公表します ~交通政策審議会海事分科会船員部会の議論をとりまとめ~」
2022年1月、国土交通省が「船員モデル就業規則」を発表
上記のように働き方改革への一歩を踏み出したわけですが、まず必要なのは適切な「就業規則」ではないでしょうか。
労使双方で定めたルールを互いに守ることで、船員は安心して働けるうえに、無用なトラブルを防ぐことができます。
「船員の働き方改革の実現に向けて」でも就業規則について以下のように記載されています。
適切に就業規則を整備することは、労務トラブルの未然防止にもつながることから、行政においても、陸上労働者の取組みを参考にしたモデル就業規則を作成の上、浸透させるとともに、就業規則の作成や変更に係る届出の手続等を通じて確認や指導を行っていくことも検討されるべきである。
これを踏まえて、国土交通省では2022年1月31日に「船員モデル就業規則」を作成しました。
「船員モデル就業規則」では、以下がまとめられています。
・ 就業規則に必ず記載が必要な事項
・ 各船舶所有者でルールを定める場合に、就業規則に記載が必要な事項
就業規則作成は常時10人以上の船員を使用する船舶使用者に義務化、また常時10人未満の員を使用する船舶使用者も本モデルを就業規則などの社内規定整備に活用してほしいとされています。
船員モデル就業規則については以下で詳細を確認できます!
国土交通省「「船員モデル就業規則」を作成しました! ~就業規則の作成・見直しにご活用ください~」
2022年4月、船員の働き方改革スタート!
2021年5月に公布された「開示産業強化法」に基づき、船員法・船員職業安定法及び内航海運業法が改正され、このうち「船員の働き方改革・内航海運の生産性向上等」が2022年4月に施行されます。
船員の労務管理体制や、労働時間の範囲見直しなどが入っており、船員はもちろんオペレーターや荷主にも関係があります。
業界関係者全員が協力して「改善と業界の魅力アップを目指そう!」ということですね。
以下のページでは法改正についてまとめてあり、動画解説もあるのでぜひ参考にしてください。
国土交通省「船員の働き方改革」
今回は、船員の働き方改革をわかりやすく解説しました。
まさにこれから改革に向けて各所にメスを入れて、よりよく、魅力的にしていくさなかにあるといえるでしょう。