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オフィスの防火対策、今一度見直しを
- 2019/7/23
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7月18日に発生した、京都アニメーションの放火事件によりお亡くなりになられた方々に謹んでご冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族のみなさまにお悔やみ申し上げます。
負傷された皆様の一日も早い御回復をお祈りいたします。
事件では、1階よりも3階のほうが火の勢いが大きかったこと、一瞬にして燃え広がったこと、そして亡くなった方々が3階から屋上に行く階段に集中していたことが注目を集めました。
今回の事件で用いられたガソリンが、液体として室内に広がり、さらに蒸気となって蒸発し、室内全体に充満したこと、1階から3階にかけて設けられたらせん階段によって炎と煙の勢いが拡大したとの指摘があります。
7月21日放送「ANNnews」(テレビ朝日)では、東京理科大学の大宮喜文教授監修のもと、模型を用いて被害が拡大した理由の検証を行っています。
検証の映像は下記リンクよりご覧いただくことができます。
「模型で再現 「京アニ放火」被害拡大の謎を検証」(2019年7月21日放送)
オフィスの防火対策は万全ですか
ここであらためて、オフィスの防火体制について見直してみましょう。
消防法8条では、事業場など多数の者を収容する防火対象物について、一定の資格を有する者から防火管理者を定めること、「防火管理に係る消防計画」を作成させること、そしてこの計画に基づいて防火管理上の業務を行わせなければならないとされています。
① 防火管理者とは
防火管理者は、防火管理業務の推進責任者で、防火管理上必要な業務を行う責務があり、具体的には次のとおりです。
・ 「防火管理にかかる消防計画」の作成・届出を行う
・ 消化、通報および避難の訓練の実施
・ 消防用設備等の点検・整備 など
また、防火管理者が必要かどうかは、消防法または火災予防条例で定められており、一般的な事業場の場合は、収容人員50人以上がその基準となっています。
防火管理者の資格取得には消防庁の行う防火管理講習を受講するなど、一定の要件が定められています。
②防火計画に係る消防計画
前述の防火管理者の業務のうち、特に重要なものは「防火管理に係る消防計画」の作成です。
この計画は、火災が発生しないように、また、万一火災が発生した場合に被害を最小限にするため、実際にあった計画をあらかじめ定め、職場内の全員に守らせて、実行させるものです。
消防計画を立て、日ごろから防火対策に努めましょう
前述のとおり、防火管理者を立てる必要のある事業場は一定規模以上に定められています。
基準を満たす、事業場では、防火管理者を選任し、「防火管理計画に係る消防計画」の作成・届出を行う必要があります。
しかしながら、防火管理者の選任義務がない事業場でも、日ごろから防火対策に努めなくてはいけません。
以下では、「防火管理計画に係る消防計画」のうち、どの事業場にも共通してかかわってくる点をご紹介します。
守られているか、実施できているか、今一度確認しましょう。
① 取扱、対策を定める
・火気の取扱い
・放火防止対策
② 設備の点検・整備
消防用の機器については、法定点検の実施時期が定められています。
また点検・整備の対象物によっては資格が必要となる場合があります(外部委託可能です)。
点検時期と点検者をあらかじめ定めて実施しましょう。
・機器点検:6ヶ月ごと
・総合点検:年1回
③ 避難施設などの維持管理
防火度、防火シャッターなどの近くには、閉鎖障害となる物品等を置かないでください。
また、廊下や階段、非常口付近に、避難の障害となるものを放置してはいけません。
廊下などに段ボール箱が山積みになっている…なんてことはありませんか。
産業医とともに職場巡視を行う際には、この点も必ず確認しましょう。
さらに、火災発生時の初期消火、通報連絡、避難誘導、救出・救援、消防隊への情報提供など、自衛消防活動を効果的に行うための訓練を定期的に実施し、いざというときに備えましょう。