世界の労働時間ランキング、日本は何位?

日本人は働きすぎか?

「日本人は働きすぎ」といわれて久しいですが、諸外国の労働時間がどのくらいかご存知ですか?
「ヨーロッパは短いんじゃないか……」「アジアは労働時間が長そう……」など漠然としたイメージはありますが、実際のところどうでしょうか。

OECD(経済協力開発機構)は加盟国を中心に、国民一人当たりの年間総労働時間の調査を行っています。
総労働時間なので、法定労働時間のみでなく残業も含めた労働時間ということになります。
有給取得率が低く、働きすぎといわれる日本ですが、少し意外な結果となりました。

長時間の1位はメキシコ、2位は韓国

2013年のOECDの調査を基に国民一人当たりの総労働時間を順位付けすると、1位は「メキシコ」で2,226時間!
2位は「韓国」(2,163時間)、3位「ギリシャ」(2,034時間)、4位「チリ」(2,029時間)といずれも年間2,000時間超が続きます。
そして経済大国「アメリカ」は1,788時間で11位。

日本はイタリアの次の16位で年間1,735時間という結果に。
日本が16位で、ギリシャやイタリアよりも労働時間が短いといわれてもピンと来ない方も多いのではないでしょうか。
日本をはじめ多くの先進諸国が週5日制を採用していますが、週5日制でない国は、たとえ日々の残業が少なくても年間の労働時間は長くなる傾向にあります。
さらに日本は世界の中で年間祝日が多い国であり、「お盆休み」「お正月休み」「ゴールデンウィーク」等の概念が社会に浸透しているため、年間の労働日数がやや少なくなる傾向にあります。
しかし、これらの順位は申告された残業を含めた総労働時間のランキングですので、「サービス残業」という概念が未だ残る日本の現状を考えると、おそらく16位よりも上位になるでしょう。

短時間の1位はオランダ、2位はドイツ

反対に年間労働時間の少ない国は、1位オランダ(1,380時間)、2位ドイツ(1,388時間)、3位ノルウェー(1,408時間)、4位デンマーク(1,411時間)と欧州諸国が並んでいます。
筆者はドイツに対して「まじめで勤勉な国」「EUの中の経済大国」というイメージがあり、もっと労働時間が多いのではないかと思っていたので、こちらもまた少し意外な結果でした。
ドイツでは労働時間内に終わらせるという意識がとても強く、時間内に帰れない=勤務時間中に怠けていたという評価につながることが多いようです。
「長く働く真面目な国民性」ではなく「真面目に働き時間の管理ができる国民性」がこのような結果につながっているのでしょうか。

いかに生産性を高めていくか

職種や仕事の内容によって働き方は異なります。どうしても勤務時間内に終わらない突発的な仕事が発生することもあるでしょう。
しかし、長く働けばそれだけ頑張っている、残業の多い人が出世するという考え方は決して褒められたものではありません。
個人のみならず会社や社会全体が「決められた仕事を何時間でこなすのか」ではなく、「決められた時間の中でいかに良い仕事をするか」という考え方にシフトしていくことが求められているのです。

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田中 祥子株式会社ドクタートラスト 産業保健部 保健師

投稿者プロフィール

企業の健康管理室で働いていた経験をさまざまなかたちで皆さまにお届けします。
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