人生100年時代 高齢労働者が注目されています

日本の総人口のピークは2008年の1億2,800万人で、以降は減少の一途を辿っていてます。
今後、日本は世界でも有数の高齢化率の高い社会となっていきます。
2060年には総人口が9,000万人を下回り、生産年齢人口(15歳~64歳)の人口が約50%近くまで減少するとともに、65歳以上の人口は40%近い水準になると推計されています。(※1

そこで今回は、65歳以上の高齢者の働き方について考えてみたいと思います。

現在の高齢者の就労希望

内閣府が60歳以上の高齢者に何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいかを調査したところ、「働けるうちはいつまでも」と答えた割合が約3割と最も多く、「65歳くらいまで働きたい」から5歳刻みで「80歳くらいまで働きたい」という回答も含めると7割以上の高齢者が定年後も働きたいと考えています。
雇用者数の推移をみると2015年時点で60~64歳の雇用者は438万人、65歳以上の雇用者は458万人となっており、65歳以上が60~64歳を初めて上回りました。(※2
今後、その傾向はより顕著になっていくとみられています。

定年を超えて働くことのメリット

人生100年時代に突入していくこれからの日本にとって、60歳で定年退職するのはいろんな意味で早すぎるのかも知れません。
仕事一筋で病気とは無縁の生活を送ってきた人が定年退職を機に病気を発症したり、生きがいを失ったことで一気に弱ってしまったり、という話を聞くこともあります。
特に、仕事に没頭するあまり家族との関わりが少ない、仕事以外に趣味がないという人にとっては、定年で仕事から離れてからどのように過ごすかは大きな問題と言えるでしょう。

また企業にとっても労働白書の統計に表れている通り、将来的に日本の労働人口が減少していくことが目に見えているので、その対策を検討することが必要になってきます。
60歳を超えた労働者にはその会社のノウハウが蓄積されている、若手にはない人脈を持っているなど、高齢労働者だからこその強みもあるので、その知識を次の世代に引き継いでもらうことは会社にとってもプラスになるでしょう。

高齢者の健康管理には注意が必要!産業保健スタッフを活用しましょう

ただし、高齢労働者を雇用する際には社内規定等の整備が必要となるほか、対象の方々の健康管理にも注意も必要です。

当然のことながら加齢とともに疾病リスクは高まり、身体の機能は低下するほか、高齢労働者が直面する心理社会的問題として、かつての部下や後輩との人間関係の変化、報酬や権限にも変化が生じてきます。
そんな身体・心理の両面での変化が原因でこれまでのようなパフォーマンスが発揮できなくなることも考えられるため、高齢労働者の不調を未然に防ぐために産業保健スタッフが定期的に心と体の健康管理を行っていくこと、健康診断の結果をもとに毎年面談を実施して就業制限するなど60歳以上の労働者だからこその対応も必要となってきます。

高齢になっても働き続ける就業環境の整備は企業にとって避けては通れませんので高齢労働者について改めて考えてみてはいかがでしょうか。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のホームページでは「65歳超雇用推進マニュアル・65歳超雇用推進事例集」が掲載されていますので参考にご覧ください。(※3

<参考>
※1
「平成28年版 厚生労働白書 ―人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える―」(厚生労働省)
※2
「平成28年版高齢社会白書(全体版) 第1章 高齢化の状況(第2節 4)」(内閣府)
※3
「65歳超雇用推進マニュアル(全体版)~高齢者の戦力化のすすめ~」(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)

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